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ブックマーク42人♪ありがとうございます。
「これは…広いですね。」
敬一郎は、改めてじっくり見まわしていた。
キャビンは、大型のキャンピングカーのような広さだった。
ソファーセットがあり、キッチンがあり、奥にはベッドまであった。ベッドルームとリビングの間には、ロッカーがあり、あれが寝室と分けているのだろう。
「ここだけで生活が出来ます。こちらにもシャワールームとトイレがあります。」
「へぇ…」
「では、ルーフへどうぞ。」
敬一郎は、楓花についてルーフへ上がり、さらに上へ進んだ。
「これは…」
「ルーフは、前のままですが、3階には、ベッドルームが3つとトイレがあります。一番奥は、いろいろと用意された寝室です。」
「なるほど…。」
部屋を開けていく。
2室はシンプルな個室だ。ワードローブとベッドがあり、折り畳みの机と椅子が置かれていた。
「こちらにどうぞ。」
案内された一番突き当りの部屋は、主寝室だった。
ダブルベッドに備え付けの机と椅子、それに大きなワードローブとタンスだった。
「このタンスに、武器が一式入っています。」
「武器が?見てもよろしいですか?」
「はい、どうぞ…」
敬一郎が、引き出しを一番下から出していく。
どれも価値のある武器だった。
宝物庫に入っていていいような物が並んでいる。なるほど、消えた品の一部は、こちらに入れてあったのか…。
「どれも素晴らしい武器です。使ってやってください。もちろん、使わずに済む方がいいですが…。」
「そうですね。あっ…弓一式と短剣もありましたが、バックに入っています。」
「弓を?」
「はい、自分の物はウエストポーチに入っていて、こちらに入っていた物はバックにあります。」
「なるほど…弓の心得がありますか?」
「はい、高校生の時だけですが、弓道をしていたので多少は…。」
「そうでしたか、では戦う手段はお持ちですね。」
「まぁ…多少は…。」
敬一郎は、次の引き出しを見て手を止めた。
「え…」
「それ、すごいですよね。ちょっとどうした物かと思っています。」
粗いが丸く研いである石が大量に入っていた。
この中にはスキルの入っている物もあるのだろう。
「この石は、時々愛でるといいでしょう。」
「愛でる?」
「ええ、手に取ってみてもいいと思いますよ。」
「そうなの?」
「ええ…」
あんのじじい。
ノートを残すなら、きちんと記録してやればいい物を…ちりじりな情報を書いていきやがって。
引き出しに入っている石は、どれも宝石の原石だった。
魔石の中でも上等な質の物だけが集められていた。
これらであれば、スキルを閉じ込めておくことも出来そうだ。
ゆっくり、スキルを取得出来るようにと言っても、どれだけのスキルを与えようとしている?
それから1階に降りて、ロッカーの中の金やローブを確認した後、棚の中などを見せてもらう。
なるほど、財産の数パーセントは棚に入っている物を買ったのか。
異常にチョコレートが多いのは、楓花さんが好きだと調べたからだろう。
あれほどの数を買えば、チョコレートだけでも数100万単位で飛んだはずだ。
時間停止を付けて保存するほどだ。大量すぎてどうやって手配したのかと思ってしまう。
冷蔵庫も同様に、時間停止がついていた。
人の入れる空間拡張に、部分的な時間停止か。
スキルを最大限使った…大盤振る舞いの車だった。
「すごいですね…。」
「そうですよね。私もまだ把握しきれていないところもあります。」
「これで終わりですよね?ナイフはキッチンにありますか?」
「いえ、キッチンにあるのは調理用で…外に出ましょう。倉庫があります。」
「は?まだあるのですか…。」
外へ出ると、楓花さんは運転席の後部座席のドアを開けた。
冷房のかかった倉庫だった。
「ここは、ひんやりとしていていいのですが、この下の段は時間停止のついた棚になります。」
「は?」
ここにも時間停止!?
「あと、このバケツが内容量4㎡もあるもので、これが30個あります。」
「30…」
「それと、ここに箱がいろいろとあるのですが、ポーションの空容器が入っていて、うち1箱はポーション入りです。」
「ポーション?入っている数量は?」
「9999本です。」
「はぁ!?」
あんのじじい。
ポーションの出荷を止めたと思ったら、ここに積み込んでいたのか。
「それと…調合器具や薬草類もあります。ただ、薬草はそこまで多くないので、採取していこうと思います。」
「なるほど…。それで…、すいませんが…その…保存されていたポーション4種類と、楓花さんの作ったポーションをいくつかいただくことはできますか?」
「はい、もちろんです。お薬もつけますね。それで、アートンとヒルストン以外には、ケイさんを通して販売すればいいのよね?」
「そうなります。こちらとしてポーションについては、初級を金貨2枚、中級を金貨8枚、高級を金貨40枚、万能を金貨90枚で買い取りたい。その上で、初級金貨3枚、中級を金貨10枚、高級を金貨50枚、万能を金貨100枚で売ります。」
「は?え?」
楓花は、敬一郎の提案した金額に驚いていた。
仕入金額だけではなく、売値を教えてくれるのはありがたいけれど…。
金貨100枚!?
それに初級を金貨3枚で売るの?ポーションは金貨1枚じゃないの?
「あのっ…ポーションは金貨1枚と聞いたのですけど、金貨3枚で売るの?」
「それは、薬師の作ったただのポーションです。所謂下級ポーションという物で、必ず効くとは限りません。」
「え?」
「ポーションには、薬師の作るポーションと魔導士の作る初級・中級・高級・万能があります。薬師でも高位の者になれば初級は作れるようですが、それは稀なことです。」
「そんな…」
「今、まともなポーションを作れる者は実質的に2人です。ただし、1人は初級までしか学んでおらず師を失いました。もう1人は、中級までは作れますが…偏屈でそう簡単に作りません。実は金貨50枚を積んでも作らないと思います。ですから、私は楓花さんから買い叩こうとしています。」
「あら…まぁ…そうなの?」
楓花は、首を傾げた。
確かに買い叩いているのかもしれない。
でも、高級の材料はまだ手に入れ方がわからないし、中級はなんとなく目途が立っていた。そう難しいとも思えないし、実際に作る事は出来ていた。
私にとっては十分に高額であり、使いきれないお金になることは確定している。
それで、助かる人が一人でもいるのならいいと思う。どう考えても全部を使いきれるとは思えないからだ。
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