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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第4章 リストシア

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 ヒシフォートを出た楓花のキャンピングカーの助手席には、敬一郎が座っていた。

 敬一郎が、車の性能を見てみたいと言って同行してきたのだ。

他愛のない話をしながら進む。


「そろそろ昼食にしませんか?」

「いいですね。」

「せっかくですからこの世界の料理を食べてみませんか?」

「食べてみたいです!」


 敬一郎さんから、昼食の提案をされたのはアートンから110km走った場所だった。そこから少し方向を変えて北に少々進むとレンガ積みの壁が見えてきた。


 「ここはリストシアという町です。見ての通りレンガの町でこの中には広い畑もあります。」

 「畑の外側にこれほどの塀を築いているの?」

 「そうです。ここは魔の森に近いですから、時折魔物に襲われるのです。」

 「そうなのね…これほどの塀を築くなんて…大変だったでしょうね。」

 「今も拡張しています。」

 

 リストシアの外壁の近く、楓花は車を止めていた。ステルス状態なので、誰にも気が付かれない。


 「町へ入る時の注意点ですが、こういった塀で囲まれたところに入る時には、必ず姿を見せて入ってください。車をステルスにしてしまえば、出入りできますが、それでは入場の確認が取れず危険です。」

 「わかりました。車はどうしたらいいですか?」

 「バックに収納して徒歩になるか、ステルスを解除して車のままで入場するのがよいでしょう。今回は車のままで入りましょう。」

 「わかりました。」

 「それから、窓を開けた段階でガード範囲によっては隙間ができます。兵士が近づけない距離では敵対行為とみなされますので、加減が必要です。」

 「ガード50㎝にしますね。」

 「それがよいでしょう。万が一のためにマントを着ているようにしてください。マントは縫い取りのあるものでお願いします。剣も携えてださい。」

 「わかりました。」

 

 楓花は、キャビンに移動し、剣を携えるためのベルトを腰に巻き、剣を持った。それから上等な方のマントを着た。

 運転席に戻ると、剣を助手席との間に差し込むとステルスを解除してガードを50㎝に設定した。

 

 「では、向かいますね。」

 

 走ってすぐに兵士がこちらに気が付いた。

 駆け寄ってくるので、車を止めて窓を少しだけ開けて待つ。


 「失礼、身分証と要件を聞きたい。」

 

 兵士は礼儀正しく聞いてきた。


 「楓花さん、取引用のタグを見せてください。」

 「わかりました。」


 楓花は窓の隙間から、ギルドのタグを見えるように掲げた。

 タグというのは根付のような組紐のついたキーホルダーのようなものだ。


 「魔導士様で間違いな…!?…失礼しました。」


 兵士はキーホルダーを確認して、隣にいる敬一郎へ視線を移して直立した。


 「彼女は、楓花さんです。私の大切な人ですから粗相のないように。」

 

 敬一郎さんがそんな事を言うと、兵士たちは右腕を左肩へと当てた。

 敬礼の一種だろうか?


 「お待たせして申し訳ありません。フーカ様、中へお進みください。」


 兵士に促されて、塀の中へと入った。

 入ってすぐの場所には農地が広がっていた。正面にも斜め向こう側にも壁も見える。


 「壁が見えますね?」

 「はい、ここは第3地域と言って中央から3番目の地域です。4つに分かれていて、その間には壁があり、小さな出入口でつながっています。」

 「へぇ…」

 「今通ってきたのは正門ですから、道なりにまっすぐ進んでください。次の門も広いので車のまま通れます。」

 「わかりました。このまま抜けていいですか?」

 「お願いします。」


 10㎞ほど進むと次の門があった。

 間に迂回する場所があり、迂回する中央には大きな彫像が立っていた。

 そこを過ぎると、門がありそこに入ると石畳で舗装されていた。


 「ここからは左に進んでください。少し走ると…ここです。こちらで停めてください。車は私が収納します。」

 「わかりました。」

 

 収納は目立つ。

 それをいかにも弱いおばちゃんである私がやってしまうと危険なのだろう。

 閣下と呼ばれている敬一郎さんがする方が安心なのはわかる。


 「こちらはレストランです。この辺りでは、美味しいお店です。」


 レンガ造りの建物の街並みの中でも、一際凝った造りをしていた。

 窓にはガラスが嵌められている。

 

 楓花が車を停めると人が集まってきていた。


 「え?」

 「魔導車が珍しいのでしょう。」


 すぐに魔導車が消えたことでどよめきが起こる。

 楓花は、慌てて敬一郎へと近寄った。


 敬一郎にエスコートされて店へと向かった。


 ドアの前にいた店員は、敬一郎を見て直立し先ほどの兵士と同じように左肩へと右手を付けた。それから目礼をして入り口のドアを開けてくれた。


読んでくださりありがとうございます。

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