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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第3章 ヒシフォート

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13



 「さてと…では、改めていろいろとお聞きしたい。」


 団欒室と言うものらしい。

 楓花は、敬一郎に昨日の部屋に案内されていた。

 なるほど、応接室ではないからカウチがあるのか。カウチはソファーの片側に腕を預ける場所がないので、寝そべることができる。

 リラックスするための場所だったとは…。


 「これは、執事長のギルバードです。」

 「ギルバードと申します。お見知りおきください。」


 立派なスーツ…サラリーマンが着ているようなものではなく、燕尾服に近い立派な仕立ての服だ。

 執事って初めて見た。白い手袋もつけているのね。


「楓花です。よろしくお願いします。」


 挨拶をしていると、お茶が運ばれてきた。

 

 「どうぞ、お召し上がりください。」

 「いただきます。」


 ん~なんのお茶だろう?

少し苦味と酸味があるような…。


 「まず、こちらに来てからのことをお伺いできますか?」

 「わかりました。こちらに来て、戸惑いましたが釣り道具はあるので釣りをしようと、ナビに任せて湖に行きました。そこでお魚を釣って、釣りをして遊んでいたところ、ガードに敵対行為を受けて様子を見に行ったら、ブラックベアーに襲われそうになったところを天龍というチームの皆さんに助けてもらいました。ただ、他の2人が大怪我をしていたので、ペットボトルの水で傷口を洗って、手当をして車の2階で休んでもらいました。」

 「天龍ってアートンの?」

 「はい、それで…帰る方法もわからないので、天龍のケントさんに道を聞きながらアートンまで行って、帰る方法を見つけたので一旦、帰りました。」

 「ほぅ…」

 「帰ったら、時間差に気が付いて、それで他にも気になったことを、人のいない場所で検証して…いたのが、最近までです。まだ検証は終わっていません。」

 「なるほど…」

 「その検証中に獣たちがガードに攻撃をするので、致し方なく狩り、その肉はアートンだと天龍のお仕事の邪魔になるかと思って、ノートにあったヒルストンに向かいました。」

 「ノート?」

 「車においてあったの。見つけたのは2回目か3回目の時。」

 「ほぅ…あとで見せてください。」

 「わかりました。」

 「では、続きをお願いします。」

 「ヒルストンに到着して、お肉とか素材とかを売って…車に戻ったら、切りつけられて…」

 「え!?」

 「マントを着ていたので大丈夫です。それで、セイヤさんが攻撃してきた兵士を倒して、そのあとで兵士が来たので引き渡されていて…それで…それで、車の見張りをお願いしていた兵士さんが怪我をしたので手当をして…」

 「手当ですか…。」

 「はい、でも頭を怪我していたので血はたくさん出ていましたけど、怪我自体は大したことはなかったです。」

 「ふむ…それで?」

 「それで、薬を売ることになって…ポーションは少しで、作った薬3種を売って…」

 「ん?」

 「え?」

 「いえ、続けてください。」

 「その後で…結局アートンにもお肉を卸して…あとお薬も…ですね。そんな感じです。他の町に行ってみようと思って移動中に今回の事件が起きました。」

 「なるほど…出入りしている町や村は、アートンとヒルストンの2つですか?」

 「はい、あ…人はいませんが虹湖もです。」

 「虹湖ですか…」

 「はい、トラウトはふわふわでおいしいので…」


 敬一郎の視線が鋭くて楓花の声は小さくなっていった。

 敬一郎は前に身を乗り出し、指先を組んで話を聞いていた。とても圧迫感がある。

 大体、男性にしてはかわいらしい見た目だからうっかりするけれど、この人弁護士だった。頭脳明晰なのだ。私の脈絡のない話し方では聞いているだけでも面倒かもしれない。


 「はぁ…では、虹湖とアートンとヒルストンに行っていて、会っているのは天龍とアートン冒険者ギルドのセイヤとヒルストン冒険者ギルドのクリスフォートでよろしいですか?」

 「はい、そんな感じです。」

 

 敬一郎の視線が鋭くて怖い。

 敬一郎は、組んでいた指先を解くと、息を吐いて髪をかき上げながら、背もたれへと寄り掛かった。

 楓花は肩を竦めて、小さくなっていた。



 敬一郎は、ギルバートの耳に何か指示を出した。

 ギルバートは、出入り口へ行き、外にいる人へ何か指示をしているらしい。

 それほどの事はしていない。

 肉と薬を卸す商売をしていただけだ。

 それ以上でも、それ以下でもない。

 戻ってきたギルバードが大きな地図を広げた。


 「アートンもヒルストンもヒシフォートクラレンスの領地内です。位置関係でいうと、ここに魔の森があり虹湖があります。ここがアートンです。東に行くとヒルストンがあります。楓花さんが事件にあったのはヒシフォートとの間にあるここになります。」

 「なるほど…マップでも把握していたけれど、大きい紙で見るとわかりやすいですね。」


 よく見ると、端が白っぽく、途中からくっきりと茶色い。コピーしたものを張り合わせているらしいと 気が付いた。コピーした物にいろいろと書き込んでいる。だけど、それにしては真新しい感じがない。誰がコピーしたのだろう?


 「この地図は誰がコピーを?」

 「私です。」

 「そうなの?それにしては使い込んでいるような…」


 敬一郎はふっと笑った。


 「30年ほど経っていますので…。」

 「へぇ…え!?」


 敬一郎が、ソファーを立ち上がり、楓花へと近づく。

 触れない程度に近づいて小声で囁いた。


 「時間差に気が付いているのなら、わかりますね。」

 「あっ3倍?」

 「それです。」


 ごく近くで微笑まれて、楓花は思わずときめいてしまった。

 いやいや、さすがにそれは、ギルバートさんにも聞かれたくなかったから近づいただけだ。

心臓に悪い。

 かわいくてきれいな顔だと思っていたけれど、近くで見てもきれいとは…ずるいなぁ。

 話は…たぶん10年ってことだ。最初に出会ったのが10年前、そんなに前からこの世界に出入りしているのなら、どうやってやりくりしているのだろう。大和にいるだけでかなり時間が過ぎるはずだ。


 「楓花さん、私は48才です。」

 「まぁ…それは、そうなると年上になってしまうのですね。」


 こちらの世界では…ということだ。

 実際の年齢は28か29才なのだろう。一回りも年下に揶揄われているらしい。


 「うふふふ…」


 変な笑い方をしてしまう。


 「まぁ、ある程度はわかりました。今、人を呼んでいますので…それまでの間にグリフォンをお見せしましょう。」

 「グリフォンって乗ってきたあの大きい鳥?」

 「そうです。」

 


 見たいって言っていないし、思っていないよ?

 大きい生き物も鳥もというか、生き物は得意ではないのに…。

 敬一郎に連れられて、階段を上り城壁の上にある鳥小屋へと連れられてきた。



読んでくださりありがとうございます。

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