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先に謝ります。全ての40歳以上の方ごめんなさい。
優しい気持ちで読んでくださいm(__)m
メイドは、一般的な晩餐の服装を伝えた。
すると楓花は、緑色のドレスを取り出し、バックへ戻した。
次に紺色のカシュクールドレスを取り出した。
二の腕が出ているので、30を過ぎてからは着ていないけれど入るだろうか?
ブラは、ナイトブラのままでもいい?一応ちゃんとしたタイプだしいいよね?
楓花は、気前よく上から脱いだ。
メイドは、楓花が脱いだドレスを受け取りベッドへと置いた。
下に来ていた下着に目をやって、目を見開いた。華やかなレースに盛り上げられたバストと美しいレースのショーツを履いているのだ。
下着にこんな華やかなレースを使うなんて信じられない!
あっ…そうか、旦那様と夜を過ごすために着ているのか。
そう思うと、少しだけ落ち着いた。
お手伝いをせねばと思うのだけれど、お客様はおひとりでストッキングを履き、ドレスを着て何かを摘まんで引き上げた。背中が縫い合わされ、上半身のラインを美しく立体的に彩り、腰にはゆったりと布がかかっている。
ドレスの裾が長く、ちらりと見える細いソールの靴には後ろに光るダイヤモンドが揺れていた。
嘘でしょう?
おひとりでここまで身に着けられるものなの?
どうやって背中を閉じたのよ。
「すいません、髪を結い上げてもらえますか?」
ふいに声を掛けられて、メイドはすました返事をした。
「かしこまりました。」
「髪飾りですけど、このドレスにどれが似合うと思います?」
目の前に並べられたのは、真珠のついた櫛やダイヤモンドのついた櫛だ。土台には金属が使われている。
キラキラと輝いていて繊細な造形をしていて美しい。
こんなものが存在するの?
「この美しい髪でしたらどちらもお似合いですが、お靴にダイヤモンドが付いていますから、こちらがよろしいかと…。」
「では、そちらでお願いするわ。結わえるのにこれを使ってね。」
出されたのは黒い輪になったものだった。
この輪をかければいいの?
メイドは腕にかけて、髪を束ねてから掛けようとして驚く。
この紐伸びる!どういう仕掛けなの?
何度もかけて、もう掛けられなくなるまで巻いていった。伸びた紐がぎゅっと締まって外れる様子はない。なにこの紐…欲しい…これがあれば髪を結わえるのは簡単になる。
結わえた髪が1本になっていてまるで馬の尻尾のように美しい。
この髪をこれ以上結わえるのはもったいないような…でも、この櫛は使いたい。
髪の半分を編み、根本へと巻き付けていくその最後に櫛で止めた。
「いかがですか?」
「いいですね。ありがとう。では、これを付けてもらえるかしら?」
出されたのは、大粒のダイヤがついた細く美しいチェーンだった。留め具をあけて首へとつけた。先ほどから信じられない品ばかりを見せられている。
子爵家の5女として育ったので、それなりに美しい物を知っているはずだった。
だけど、これほどの品を晩餐だからと身に着けられる人がどれだけいるのか。
この方はどこかの国の王女様なのかもしれない。
美しく装飾された化粧品を取り出すと、あっという間にご自分でお化粧をしてしまう。もう、メイドも騎士も言葉が出なかった。
自立していて、華やかな物を身に着けている女性。
それが2人の楓花への印象となった。
それから取り出したのは、先ほどのショールの色違いだった。同じようなデザインの色違い!?嘘でしょう?この繊細な刺繍を施したものが何枚もあるの?
予想外の事に、もはや言葉も思いつかない。
近くに控えている騎士を見ると、同じく動揺しているようだった。
彼女も子爵家の出だ。それなりの品を見て育っているはずなのだ。
楓花は、腕を出しているのは恥ずかしいと思い、先ほどとは色違いのショールを取り出した。こちらはグレー地の薄絹にエメラルドグリーンと紺色と淡い黄色の差し色が入っている。
敬一郎は、晩餐に現れた楓花を見て息を飲んだ。
色のなかったはずの未亡人が妙に美しく見える。
黒髪と紺色のドレスが白い肌をより白く輝かせていた。何より胸の豊かさが一目でわかる。
いや、待て待て…彼女は40歳のおばさんだ。今日の私は疲れ過ぎている。
最近、女性と遊んでなかったからといって、魅力的に見えるとは…まずい。
程よい関係を築いていかなくてはならないのだから、落ち着け。
敬一郎は、楓花の元へ行きエスコートするために手を差し出した。
ドレスを着ている事に驚いたが、さすがに手袋まではなかったらしい。その変わりに薄手のショールを掛けていた。
だが、随分と準備がいい。
ドレスもアクセサリーも向こうの物だろう。
こちらの品を送ってもいいのかもしれない。
席に座ってもらうと、敬一郎は楓花の正面へと座った。
料理が運ばれてくる。
こちらでの出来事を聞き出しながら、食事をした。
意外にも、以前会った時とは異なり表情が柔らかくなっていた。
こんな殺伐とした世界に来て表情が和らぐ理由がわからない。
それにしても…綺麗だな…。
肌が白い…だめだ。
考えるな。
こんなドレスを着ているからだ。
明日、明日なら露出のない服を着てくるだろう。
そうなれば、落ち着いて会話が出来るはずだ。
「旦那様、あの女性は何者ですか?」
部屋に戻った敬一郎に寝酒を出した執事長が尋ねた。
執事長は、敬一郎が取り乱した姿を見たのは初めてだった。
この家では18歳になるまでは外で育てられる。成人して初めて母屋である真珠宮と呼ばれるこの本殿に入ることが出来た。
それ以来の付き合いだが、その頃から冷めた目で周囲を見ていた。
女性たちが寄ってはくるのだが、相手にするつもりはないようだった。
以来30年もの間、お仕えさせていただいているが一度も女性を連れてくることはなかった。48歳になられた旦那様だが、一向に結婚なさらない。
そして見た目も若々しいままだ。何も知らずに会ったなら25歳くらいに見えるだろう。
だが、人生50年と言われている。長く生きても60前後だろう。
若々しい旦那様であれば、80歳も夢ではないのかもしれないが、それでも子をもうけていただかなくてはならない。どうにかして女性を娶ってもらわねば執事長としての務めを果たしたとは言えない。
「楓花さんの事か?」
「はい」
「そうだな…会ったのは3か月前だ。ただ…あのお方は、御大の関係者だ。」
「おぉ…それは、それは…。」
「いいか?あのお方に手を出すことはない。期待するな。」
「コホン…失礼しました。そうはおっしゃいますが、大変お美しい方でした。旦那様と同じ黒い豊かな髪ですな…」
「まぁ、そうだな。」
「旦那様、うるさい事を言わせていただきます。」
旦那様の片眉が上がったが言葉を続けた。
「旦那様の年齢であれば、もはや女性は乙女以外が望ましいのでは?慣れた女性もよいものでございます。」
つい余計な一言を付けてしまった。
旦那様が激しくむせている。
全くもって、年齢にふさわしくないほどの奥手だ。
「何を…ゴホゴホっ…いう…」
執事長は、タオルを差し出すと旦那様はそれで口を押えた。
「旦那様、あの装いの素晴らしさがお分かりになりませんか?」
「それはっ…美しいとは思ったが…ゴホゴホ…」
「あのように装うという事は、旦那様の事を意識はしてくださっているのではありませんか?」
「楓花さんだ。それはない。」
随分と強く否定なさる。
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