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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第3章 ヒシフォート

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8


 ならば、なぜ癒しの水がある?

 敬一郎は慎重に楓花に問いかけた。


 「何をしたか覚えていますか?これは元々用意されていたものとか?」

 「いえ、確かに元々用意されていた物はありましたが、自分で積み込んだ物でも同じでした。それにポーションはポーションで用意されていました。」

 「は?」

 「この魔法鞄?に4種類5本ずつ入っていました。基本みたいで、全部のバックに用意されていて…」

 

 はぁぁ!?

 あんのじじい。それはやりすぎだろう。

 4種類ってことは、初級・中級・高級・エリクサーだ。

 エリクサーなんて何億出しても手に入れられるかどうか…。

 「せめてあの奥さんにエリクサーを飲んでもらいたい。」

 そう言っていたのを思い出した。

 この女性は事故の影響で両手の握力がかなり弱くなっていたはず。手続きの時にも何度かペンを落としていた。スマホには紐を付けて補助していた。

 

 「楓花さん、ポーションは飲みましたか?」

 「いえ、飲んではいません。」

 「では、万能ポーションを出して今すぐに飲んでください。」

 「万能ポーションを?」

 「はい。今すぐです。」

 「わかりました。」

 



 楓花は戸惑いながらも、万能ポーションを取り出した。

 蓋を開けて飲む。

 初めて飲んだけど、あれだ!エナジードリンクの味がする。あまりこの味好きじゃないのよね。

 飲んで、ビンをバックに入れた。

 身体がびりびりジンジンしてくる。

 

 「どうですか?」

 「なんだか変な感じがします。」


 楓花は汗まで出てきて、困ってしまう。

 嫌だな…そういえば、あんなに動き回って汗をかいた後であんなに密着してしまった。汗臭いと思われているよね。それなのにさらに汗をかくとか本当に困る。

 楓花は恥ずかしくて小さくなってしまう。


 向かい側にいる敬一郎も戸惑っていた。

 目の前にいるのは40才の女性だ。おばさんである。興味もわかないはずの相手だ。ポーションが効いているだけで、扇情的と思ってはならない。

 ポーションのそれが頬を赤く染め、しっとりと汗をかいてもじもじとしているのを見てなぜか血液が集中してくる。これはまずい、視線を反らして別のことを考えた。

 大体、この人はなんで大き目のTシャツにサムエルパンツなんだ。マントを着ていたから気にならなかったけれど、この世界の女性でこのような姿はありえない。Tシャツからは下着の紐も見えている。これはいかん。


 いや、そうだ。報告書が来ているかもしれない。

 楓花さんに聞きたいことはあるが、今日は遅い。泊まってもらう手配もしなくてはならない。

 敬一郎は、自分にそう言い聞かせて立ち上がった。

 ドアを開けると、警備の騎士2人の他にメイドと第1騎士団長リハルドが立っていた。


 「報告です。」

 「それなら、中に入ってしてくれ。」

 「はっ」

 「あ…ちょっと待て」


 そうだった。楓花さんのあの恰好を見せるわけにはいかない。



 「楓花さん、とりあえずマントを着てください。」


 敬一郎はドアを閉めると、楓花に近づき言った。


 「え?」

 

 楓花は、言われて初めて自分を見た。

 パジャマだ!

 寝起きに襲撃に気が付いて急いで外へ出たのだった。

 

 「すいません、急いでいたからパジャマ…」

 「え?パジャマ?」

 「はい…見苦しくてごめんなさい。」

 「いえ、マントを羽織れば大丈夫でしょう。」


 楓花はマントを着ると、髪を手櫛で整えた。

 足の先までマントで隠す。

 

 リハルドとメイドが部屋へと入ってきた。

 楓花は人が入ってきたことで冷静になり、居住まいを正したが頭の中は「シャワー浴びたい」で溢れそうだった。

 

 リハルドは2人の座っているテーブルの下座に立った。

 メイドは、ポットのお茶をカップに注いで2人に出し終えると、リハルドの斜め後ろに立った。


 「それでは、今現在調べたことをお伝えします。」

 

 それを聞いて、楓花はびくりとした。

 私が聞くのはよくないだろう。席を立とう。


 「楓花さん、どちらへ?」

 「先ほどの報告なら、私はいないほうがよろしいのでは?」

 「構いません。座っていてください。こちらのチョコレートもおいしいですよ。」

 「はぁ、では…お言葉に甘えて。」

 

 楓花は、ついチョコレートに手を出した。

 つやつやで美しく、口に入れるといろいろな味が出てきて楽しめる。

 敬一郎は、それを見てからリハルドへ視線を向けた。


 「報告です。被害者はバウム・クーヘン率いるクーヘン商会です。警備に雇い入れた10人のうちの5人が犯罪グループギドラの構成員でした。」

 「ギドラか。」

 「彼らは前日の朝、獣に襲撃させて食料を奪いそのまま金品を奪う予定でしたが、食料しか奪えず、追加の襲撃を決行したようです。ただし、野営地に居合わせた魔導士様が夕食を分け与えたことで襲撃は難航。そこに魔導士様が結界を発動させたことで、襲撃は失敗。襲撃者は捕縛したようです。」

 「なるほど、それならばかなり状況はよくないのでは?私が行ったときに死体は転がっていなかったようだが。」

 「はい、それも魔導士様のお陰だと、バウムとその秘書が証言しております。朝の襲撃から逃げたものの空腹と緊張、怪我などで限界だった隊列だったが、ふるまわれた夕食でかなり回復したと。さらに襲撃により、大怪我を負ったバウムとその秘書をはじめとした隊員たちを魔導士様が、治癒してくれたとも申しておりました。」


 リハルドは視線を楓花へと向けた。


 

 「その魔導士は、こちらのフーカ様でよろしいですか?」

 「私のことだとは思いますが、食料を分けてほしいといわれたのですが、皆さんかなりクタクタでしたから私が料理をしてお出ししただけです。対価は頂きました。」

 「なるほど、治癒というのも?」

 「治癒って…ただの手当ですよ。水で洗ってから薬を少し使っただけで…。」

 「楓花さん、薬というのは?」

 「ちょっと待って、今出しますね。」


 楓花はバックの中から、中級癒し水と消毒薬を取り出した。初級も同じく出した。


 薬局でくれるようなプラスチック容器だ。

 それを見て、敬一郎たちは首を傾げた。見慣れない容器だった。


読んでくださりありがとうございます。

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