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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第3章 ヒシフォート

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 治療が落ち着いてきたころ、秘書さんがやってきた。


 「魔導士様、助けていただきありがとうございます。それと…賊を捕まえました。獣の襲撃は、人為的な物でした。警備にも…賊が混ざっておりましたが、魔導士様のガードに弾かれた事で主犯も捕らえました。」

 「まぁ…。」


 治療をしている間に、そんな大捕り物があったのか。

 

 「秘書さん、貴方…大怪我だわ。これを飲んで。」


 楓花は、秘書さんに高級ポーションを飲ませると頭に中級消毒薬を吹きかけた。頭が、大きく切れていて血を流しているし、肩や二の腕の肉の一部が無くなっていた。

 秘書はポーションを飲むと、その場に座り込んでしまった。

 貧血だろう。

 

 「皆さま、治療も終わりました。今皆さんの馬車をガード内に入れましたから、安心してお休みください。」

 「待ってください。誰か伝令に走れる者はいないか?騎士団を呼ばなくては!」

 「行けます!」

 

 手を挙げた4人に秘書さんは指示を出していた。

 このまま出発するつもりだろう。


 「ちょっと待って、そのままではお腹が空いてしまうから、これを食べてこれを飲んでから行ってらっしゃい。」

 

 楓花は、その場で保存食の高エネルギークッキーの封を開けて1人ずつに渡した。これは喉が詰まるので、水の入ったペットボトルを開けて渡した。

 

 「遠慮せずに食べていってね。飲みにくいからその水も飲むのよ。」

 「はい!!」

 

 彼らは、食べ終えるとペットボトルをどうしようかと戸惑っていた。楓花はそれに湯冷ましを入れて水筒替わりに渡した。彼らはそれを受け取ると、一番近い領都へと向かって馬を走らせていく。

 高エネルギー食と癒し水のお陰で、疲れ知らずになっていた。


 商隊の人たちはガード内に安心して眠り始めた。

 ここ数日、まともに眠ることが出来ていなかった。交代で警戒しながらの旅はいつにも増してきついものだったのだ。



 楓花は、朝食どころではなさそうなので、キャンピングカーに戻った。ガード範囲を狭めた。とりあえず15mにしたが、10mで収まってくれた。


 キャビンへ移動してロールパンに切れ目を入れて焼いた肉を挟んだ。それとスクランブルエッグをマヨネーズで和えた物を挟んだロールパンも作った。それらを籠へ入れるとガードの外へ出て、警備に当たっている冒険者へ渡した。


 「お疲れ様です。目を離せないと思うので、こちらを召し上がってください。他の方には別の物を用意するので、食べてしまって大丈夫です。」

 「あの…魔導士様」

 「はい?」

 「そのありがとうございます。あなたの手当のお陰で、兄は助かりました。」

 「そうでしたか、お役に立ててよかったわ。お仕事頑張ってくださいね。」


 キャビンに戻った楓花は、彼らが目覚めたら何を食べさせようかと悩む。

 怪我して治ったところだから…ポトフにしよう。お腹から温まるものがいいだろう。

 鍋でウサギ肉を炒め、玉葱も一緒に炒めてから水を入れて煮込む。大根と人参も入れチキンブイヨンをいれて煮込む。

 パンは出したくないから…マカロニ?

 あっ…じゃがいもがあるから、ニョッキにしようかな?

 楓花は、芋をふかしてから潰し、小麦粉と練ってから棒状にした。それを包丁で切ってから、ポトフの鍋に入れていく。

 40人いたのだった。いや賊がいたし伝令に4人出て行ったから、30人くらいかな?

 だとしても…これでは足りないかな?やっぱり、マカロニも入れておこうか。


 楓花は、シェルマカロニも2袋入れた。

 その結果、なかなかの具沢山になってしまった。


 まぁ…足りないよりはいいよね?

 窓から外を見ると、起き上がる人も出てきた。


 楓花は、バックを掛けて剣も携えてから外へ出た。倉庫からテーブルとイスを取り出し、長机も2台取り出した。


 鍋を持って外へ出ると、会頭さんも起き上がった。

 秘書さんと何か話をしているようだ。

 よし、皆さんなんとか持ち直したようなので食事をしてもらおう。


 「皆さん、食事にしましょう。カップを持ってきてください。これは、皆さんが元気になった私からのお祝いです。」

 

 シールを配ってくれた女性を見つけたので、声を掛けた。

 

 「会頭さんと秘書さんへこれを持って行ってくださる?」

 「はい!」


 彼女にカップを2つ乗せたトレーを預けた。

 それから、来た人たちのカップに配膳していった。


 ワイワイとニョッキ入りのポトフを食べてくれていた。

 皆の表情は明るくて、今朝の騒動は嘘のようだ。

 よかった。

 トラブルがあったにせよ。助けることが出来た。


 

 急に空が暗くなり、大きな鳥が舞い降りてきた。

 その鳥の背から、馬で駆けていった人たちも降りてきた。どうやら無事に助けを求めることが出来たらしい。

 かなり大きな鳥で3mは超えている。もしかしたら4mあるかもしれない。嘴は鋭く、頭には王冠のようなものが付いていた。首に赤ちゃんの涎掛けのような物を付けていて、刺繍が入っていた。どこかで見たような色と縫い取りだった。

 

「ヒシフォート・グリフォン第1騎士団だ!賊はこれか?代表は誰だ?」


 警備の人たちが、降りてきた人たちとやり取りをして賊を引き渡していた。

 会頭が立ち上がり、ゆっくりと騎士団へと近づいていく。


 「バウム・クーヘンと申します。我が商隊に賊が紛れておりまして、こちらの魔導士様に助けていただきました。」

 「魔導士?」


 楓花は、面倒事は嫌だなあと思いつつ前へ出た。

 下手に逃げない方が良さそうだ。


 「私です。」


 楓花は、ガードギリギリまで出るとフードを外した。

 騎士はなぜか声を潜めて聞いてくる。


 「私は、リハルドと申します。御名を伺ってもよろしいか?」

 「私は、橘楓花です。」

 「フーカ様!?失礼いたしました!」




読んでくださりありがとうございます。

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