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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第3章 ヒシフォート

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 「これは一体おいくらご用意すれば…」

 「え?先ほどいただきましたので、大丈夫ですよ。お持ちください。」

 「は?え…」


 バウムは予想外の言葉に混乱していた。

 このお方は、自分を試している。

 そう気が付いて冷静になった。


 「ご冗談を、あれは作っていただいたお料理の対価です。魔導士様に料理をしていただくなど、普通はありえません。しかも、食べたことのないほどの美味しさでございました。食べている間は、もう止められず…次に次にと食べてしまいました。」

 「そう言っていただけるとうれしいですが…では、これはどうしましょう?いらない?」

 「是非買い取らせていただきたい!すぐに対価をご用意します。」

 「はぁ…」



 まぁ、お支払いしてくれる分には、構わないけれど…。

 なんだかなぁ…あの人たちお腹空きすぎだったのね。

 楓花には、試したつもりはない。

 物価基準が違うだけだ。


 対価として、またお金を受け取った楓花は、申し訳ないなと思いつつキャンピングカーへと戻った。

 ベッドに転がり、車のガードについての項目を読んだ。

 通常使っているガードの他に、許可を必要としない広範囲のガードがあるらしい。これは一時的に安全地帯を提供するための物のようだ。

 へぇ…。

 ガードの外側に展開できるのか…でも…展開時間はたった30分しかない。それに、龍などには無効…。

龍って…龍がいるのか…さすが異世界だ。

 ポーションの材料の竜と書き分けているなら、竜と龍がいることになる。どんな違いなのか…気になる。

 2番目のガードには、物資がいる。黒魔石か。展開させるための魔石ケースが2つあるらしい。つまり切れる寸前に掛けなおせば2回目が展開できる。でも、それでも1時間か…。

 楓花は、考えているうちに少し早めに眠ってしまった。



 悲鳴が聞こえたような気がして、楓花の目が覚めた。

 室内を見回して、何もないと安心して目を閉じ、慌てて起き上がった。

 周囲に商隊がいたはずだ。彼らに何かあったのかもしれない。


 「ピーーーーー!敵対行為を受けました。」


 楓花は、運転席に行き、運転席と助手席の窓を少しだけ開けた。

 剣を持ち、マントをつけてマントのフードをかぶった。


 外に出る。商隊に、オークとそれより小さいサルのような獣が、襲いかかっていた。その一部が、ガードに接触したらしい。

 外へ出て剣で刺すけれど、埒が明かない。

 会頭の秘書さんが、何かを守りながら剣を振っていた。


 このままでは、まずそうだ。

 楓花は、お腹の底から出来るだけの大声を出した。

 元々、声は大きいので出す気になれば、体育館並みの広さの端まで声を届かせる事は出来る。きっとナビに聞こえるはずだ。


 「ナビ!!第2ガード発動!範囲30m!!」


 楓花の声が響く。獣たちが、ビクッと動きを止めて楓花を見た。

 そして、次の瞬間光の輪が外へむけて走った。同時に獣たちが、外へ飛ばされ動きを止めた。


 「皆さん、怪我の様子は?今、シートを敷きます。動ける方は、怪我の酷い方をここに連れてきてください。」

 「はい!!」


 楓花は、走ってキャンピングカーに戻ると、車の向きを変えて車のライトを点けた。斜め掛けバックを掛け、籠を持って走った。

 怪我人は多いけれど、今すぐ危険な様子の人はいなかった。

 けれど、大怪我をしている事に変わりはない。

 真っ青になりながら秘書さんが、必死に人々を集めていた。

 手当をしようとしている女性はいるが、手当になっていない。


 「あなた、少しよろしい?」

 「はい!」

 「これを皆さんの手首に貼ってくださる?1人1枚ずつ。お願いできるかしら?」

 「わかりました。これを貼ればいいのですね。」

 「ええ。先ずは、ここにいる方にお願いね。馬にも貼って頂戴!」


 「動ける方で5人ほど…手当をするので手伝ってください。」

 「はい」

 「では、あなたもう一つ内側のガードの中でお湯を沸かしてください。」

 「そこのあなたとあなたは、患部が見えるように服を脱がせてください。」

 「そこのあなたとあなた、こちらで私の手伝いをして、こちらの手袋を付けてください。」


 「魔導士様、会頭から見ていただけませんか?」


 秘書の声に目を向けると会頭は、足を骨折していた。明らかにおかしな方向に曲がっていた。


 「バウムさん、こちらを噛んでいてください。骨の位置を戻します。」


 楓花は添え木を当てて足をまっすぐにした。バウムさんは、喉奥からくぐもった声を上げながらも耐えていた。曲がった状態でくっついてしまったら困るだろう。


 「失礼…体を見ますね。指も怪しいですね。こちらにも添え木をします。あとは大丈夫そうですから、こちらを飲んでください。」

 

 楓花は中級癒し水を飲ませた。患部にも数滴ずつかける。

 

 「すごい…痛みが引いていく…魔導士様…」

 「大丈夫です。このまま休んでいてください。」

 

 楓花は、そのまま数人の治療をしていく。

 噛まれた人や出血のある人には、水をかけて洗ってから中級消毒薬をかけ、少し経ってから中級癒し水を掛けていく。


 「魔導士様、全員に貼りました。」

 「では、あなたも貼ってね。」

 「はい。」

 「皆さま!シールを貼っていない方はいませんか?貼った方は指で〇を作ってください。大丈夫そうね。」

 

 「ナビ!!!第1ガードを15mに広げて!第2ガードは消していいわ!」

 

 ガードが広がり、馬車の一部は範囲外だが、人と馬は全てガード内に収まった。

 それから、順番に治療をしていくうちに朝日が昇ってきた。





読んでくださりありがとうございます。

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