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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第3章 ヒシフォート

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 楓花は、ヒルストンを出ると、大きい街を検索した。領都や首都という大きな街の一番近いところで386㎞先らしい。

 単純に走っても、休憩を考えると7時間くらいはかかるだろう。

 今日中に着くのは無理だから、適当なところで休もう。


 そう思って楓花は走り始めた。

 2時間ほど経って、開けた場所に出た。焚火跡も複数あるので、安全な場所らしい。

 楓花は、焚火から少し離れた場所に車を止め、ガードを5mに設定しステルスを解除した。


 大きな町に行ったら、屋台広場のようなところはあるだろう。

 私も何か売ってみたい…そう考えた楓花は、倉庫からウサギ肉の入ったバケツを取り出して、キャビンへと移動させた。

 冷蔵庫に入るかをまず試した。バケツでも冷蔵庫には入れられる。

 それなら、こちらに持ってきても腐る心配はない。楓花は大きなボールに袋を掛け、肉を移し山盛りにしてからバケツを冷蔵庫へと入れた。

 肉を唐揚げサイズに切り分けるよう、ナイフに指示した。仕分け札を張って、切った肉は別の大袋に入れてもらう。重さも書いてあるので、入ってこなくなったら札を剥がし別の袋に貼りなおした。重量の入った袋の肉には、味をつけていく。

 1度目の肉には、酒と塩コショウ。

 2度目の肉には、酒とニンニク、ショウガと醤油。

 3度目の肉には、ワインと家で収穫したローズマリー、塩コショウだ。

 植木鉢のローズマリーを畑に移したところ、急激に大きくなっていた。その一部を摘み、乾燥させて持ってきたのだ。

 

 袋の口の縛り方を変えたが、見た目にも違うので間違うことはないだろう。そう思って冷蔵庫に入れた。

 いや、冷蔵庫はリスト化されるのだから、それこそ間違わないじゃないと自分に突っ込みを入れてしまう。

 この冷蔵庫は時間停止があるから、冷えた後は時間停止になり味が染みないのだが、そんなことは頭になかった。


 ちょっと遅めの昼食にしようかな?

 楓花は、別にとっておいたウサギ肉を焼いて、家から持ってきた間引きしたレタスを付け合わせ、作り置きの味噌汁とごはんで食べる。


 ウサギ肉は、鶏肉に近いけれど少し癖がある。ニンニクを効かせると、気にならずにとても美味しい。

 満足して、食後のデザートにイチゴを食べた。

 スーパーで安売りしていた。季節終わりの小さなイチゴだ。


 周囲には、いつの間にかたくさんの荷馬車が、入ってきているのに気が付いた。

 どこかの商隊のようで、荷馬車には同じ印が付いていた。

 楓花が車から降りると、疲れた顔の男が2人でやってきた。


 「こんにちは。」


 つい、挨拶をしてしまう。


 「こんにちは。魔導士様とお見受けいたします。私、首都でクーヘンという店を構えて商売をしているバウム・クーヘンと申します。」


 クーヘン商会…本には国で2番目の大店と書いていたような…。


 「あのクーヘン商会の会頭さんですか?」

 「おぉ、ご存じでしたか。ありがたいことです。」

 「それで、何か御用でした?」

 「はい、実はこの辺りには、とてもいい香りがしておりまして…」

 「はぁ…」

 「もし魔導士様の食材に余裕がおありでしたら、その…図々しいお願いとは存じますが、対価のご用意はできますので食材を分けてはもらえませんか?ここに来る途中で獣に襲われ、食料を置いて逃げてきたのです。」

 「はぁ…なるほど…わかりました。材料はありますが…お疲れのようですし、私の調理でよければ作りますよ。もちろん、明日以降の食材になりそうな物もご用意しましょう。」

 「まっ!誠でございますか!?」

 「はい、何人いらっしゃいます?」

 「商会の者に、警備を入れると40人ほどになります。」

 「それでしたら1時間くらいかかりますけどいいですか?食器などはお持ちですか?」

 「もちろんです。もちろんでございます。食器はあります。ありがとうございます。」


 楓花は、キャビンへ戻るとコメを研いで炊飯器にセットした。

 それから外へ出ると、後ろのドアを開けて屋台セットを整えた。

 バーベキュー台に火を入れて、網を乗せる。

 車に対して逆Lの字型に長机を置いていて、その上にガス台を乗せて10Lの寸胴に半分ほどの水を入れて乗せた。コンソメを入れて火をつける。

 もう一台の長机は、足元にだけガードがかかる位置に置いた。


 キャビンに戻り、肉を漬けた袋を取り出した。

 洋風の人たちだったからローズマリー入りにしてみる。ボールに袋を2つ入れてバーベキュー台の近くの長机に置いた。味は染みていなさそうなので、塩コショウを追加した。

 キャビンに戻り、使い捨てのパーティー皿を取り出した。

 ケントたちとバーベキューをするつもりで、用意したものだけれど、使ってしまおう。

 冷蔵庫から、カット野菜取り出して持っていき、お皿の中央へと盛り付ける。パンのほうがいいだろうけれど、人数分は出せない。そんなことをしたら、自分の食べる分がなくなってしまう。だからご飯を炊いていた。

 1升炊きだから、一度にはせいぜい20人分しかない。絶対に足りない。その分は、パンを出すしかない。8枚切りパンを4等分に切ったものを2袋分籠に用意した。一口ずつでも1人1枚以上はある。

 バーベキュー台で、肉を焼き始める。

 中央の火力のあるところで、表面をしっかりと焼き、周囲において余熱で火を通す。数えていくと80数個あったので、1人2個くらいだ。足りないようなら、また焼けばいいだろう。

 2回目のお肉を焼いている途中で、キャビンへ戻りおかまの中のごはんを混ぜ、熱いので鍋にひっくり返して移すとバターと塩を軽く振って混ぜてから蓋をした。お釜と違い、鍋には取手があるので持ちやすい。

 それを持って、バーベキュー台へ戻り、肉をひっくり返す。

 もう少しかかるので、鍋に入れたごはんを混ぜた。バターが溶けているので、混ぜて置かないと味が偏る。それからまた塩を振った。


 出来上がった料理を、ガードギリギリに置いた長机に乗せた。足はガード内、テーブル面はガード外だ。


 「出来上がりましたよ。」

 「おぉ…これはありがとうございます。初めて見るもののようです。どのような料理かお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 「こちらが、バターライスです。これはパン、お皿の料理は野菜とウサギ肉の香草焼きです。おひとり2切れはあると思います。あっスープもあります。今持ってきますね。」


 楓花はスープの具に困り、玉ねぎと卵のスープにしていた。


 「こちらは卵と玉ねぎのスープです。」


 周囲が騒めいた。



読んでくださりありがとうございます。

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