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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第2章 イルルジオーネ

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20


 ヒルストンのセイヤとリアは、楓花を見送り部屋へ戻ると、へなへなと椅子へ座った。

 野角ウサギ157羽の大群がいた。襲撃を受ける危機が発生していて、知らない間に解決していた。

 そしてギルド最大のポーションと薬という取引が、降って沸いて無事に終えたのだ。

 精神的な負荷は、相当に大きかった。


 「リア、手を見せてもらっても?」

 「はい、どうぞ…先ほどよりさらにきれいに治っていますね。」

 「本当にそうだな…」


 そこに、職員の1人が部屋へ入ってきた。


 「ギルマス、毛皮は職人へ依頼をかけた。肉は販売に回した。あとはどうする?」

 「怪我で動けない連中を集めろ。まだ治っていない奴ら限定だ。それと…膿んでいて腕や足を切り落とすかもしれない状態で、動けないなら家に行く。治療代は金貨1枚から4枚、後払いも許す。湯を大量に沸かして、沸騰したものを冷ましておいてくれ。」

 「はい!」


 傷は、湯冷ましか清水で洗うようにと楓花に言われていた。清水などないから、湯冷ましを使うしかない。消毒薬は、目や口の中、股には使わないようにと注意も受けた。

 そして、今回の肉は売るしかない。

 ギルドの保存庫に入れると、半月はもつようになるが前回のオーク2頭分程度で満杯になっていた。入りきらない分は加工所へ回してあった。加工場も手いっぱいだ。

 とてもじゃないが、うさぎ肉まで手が回らない。それなら、皆で買い分けて食べてもらったほうがいい。


 「それで、ギルマス…その…リアさんの手を握って、何をしているので?」

 「あぁ…見てみろ。」

 「はぁ…リアさんの手は、つるんとしていてきれいっすね…えぇ?」

 

 部下の1人は、セイヤがリアを口説いているように見えたので、揶揄ったのだ。

 ギルマスが、真剣な目で見てみろと言うので、リアの手を見た。傷ひとつない。きれいなつるりとした美しい手があったが、そんなはずがない。あかぎれを作り、書類に赤い点をつけるのがリアだった。


 「うそだろ?」

 

 部下がリアの手を取り、撫でまわした。

 セイヤから見てもやり過ぎだ。リアも困っているけれど、部下は真剣に確認している。そこに別の者がやってきた。


 「おい、何リアさんを口説いてんだ?忙しいのだから仕事しろ。」

 「いや、見てみろよ。きれいだろ?」

 「はいはい、きれいだ!いいから仕事!って…は?ちょっと見せて!」

 「わはははは!ほら、お前も同じことをしているじゃないか。」

 「ギルマス!止めてください。」


 リアが、抗議の声を上げた。


 「それで、これはなぜ?」

 「わかっただろ?今薬が手に入った。治療が必要な者を集めてくれ。治療費は後払いで構わん。が証文は取る。それで知らせろ!」

 「わかりました!すぐに!」


 職員たちは、慌ただしく治療所の設営をする。

 ヒルストンの冒険者ギルド、その一角に急場の治療所が開かれた。

 この町には、治癒士がいない。

 首都に行けば薬師がいる。ポーションは、手に入り、治癒士に診てもらうこともできる。

治癒士への謝礼は金貨1枚からだ。

 少なく見積もっても交通費を合わせると金貨5枚以上はかかる。一人で行けるわけではないので、実際には金貨9枚はかかってしまう。さらに、外食費が乗ると金貨10数枚だ。

 月の稼ぎは、商家の奉公人で居住食を差し引く前で金貨2枚といわれている。金貨9枚は、生活費を使う前の4か月分以上の稼ぎだ。それを治療費に充てられる者は多くない。

 冒険者は、獲物を得て持ち帰ることができれば儲けは大きいが、その分リスクも大きい。町の雑用などもあるが、それだけでは大した稼ぎにはならない。

 町の雑用の中でも、掃除関係を専門にする掃除人や、家の修繕や家具の移動などを行う修繕人などもいるが、月に金貨2枚を稼ぐのは容易ではない。


 冒険者が狩りをするとしても、この町は森などから遠いため、町を出て少し歩いたところの荒野にいるウサギや狼を狩ることが多い。

 ウサギは、1羽の肉が大銀貨1枚、毛皮が銀貨5枚から大銀貨1枚になる。月に20羽手に入れられたなら金貨3~4枚の稼ぎだ。商家の奉公人と比べて結構な儲けだが、怪我は自分持ちだ。ポーションが必要な怪我を負うと冒険者は終了となる。

 

 「治癒士が来たのか?」

 「いや、治癒士はいないが、薬とポーションが手に入った。リアと俺が治療する。お湯は、ぐつぐつとするまで沸かしてから自然に冷ましてくれ。」


 人が集まってきたので、セイヤとリアは階下へ降りた。

 サブマスターのクリスが、患者たちの治癒が必要かどうかの見定めをすることになった。

 代金は金貨1枚から3枚だ。ポーションを瓶ごと使うなら金貨4枚だとも伝えた。

 傷の状態に合わせて薬を使い分ける。

 金額は事前に伝えたが、それを聞いて帰る者はいなかった。たとえ金貨4枚だとしてもこの町の者にとっては格安なのだ。


 「ずいぶんとざっくりいったな?」

 「まぁ…刃が当たっちまったからなぁ…すぐに治るならまた稼げる。このままにしていたら、腐りそうで怖い…」

 「そりゃあそうだな。まずは、ぬるま湯で洗ってから薬を使う。」


 セイヤは、傷を洗い流して赤くなっていないか?膿んでいないかを見た。そういった症状がないようなので、中級癒し水を1滴ずつ5か所に垂らした。みるみるうちに傷がふさがっていく。

 それを見た周囲の者たちからどよめきが起きる。


 「治ったように見えてもまだ完全じゃない。きれいに洗った包帯を巻いて2日くらいは過ごしてくれ。」

 「わかった。ありがとう。これで仕事ができる。」


 治療を終えて、笑顔で帰っていく。 





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