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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第2章 イルルジオーネ

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 「すごいな…それポーションか?俺にも使ってくれるのか?」

 「違うものを使う。知っているだろう?膿が出ているとポーションは効かない。」

 「その噂、本当なのかよ。ポーションを買えたら俺の腕も助かると思ったけど、もうダメなのか…」

 「それはわからん。これが本物ならその膿を治してくれるかもしれん。」

 「なんだって?」

 「試していいか?かなり痛いらしいぞ。」

 「治るなら痛いのは我慢する。」

 「包帯を外せ。一度湯冷ましで洗ってから薬を使う。」

  

 もう一人の包帯を外すと、やはり膿んでいた。その腕を盥の中へ置いて湯冷ましで洗い流していた。これは、前回私が水で流したからだろう。

 傷口をよく洗ってから、腕を足の上に置き動かないようにしてから、腕の傷口へスプレーをシュッと押した。


 「うがぁぁ!!」


 雄叫びを上げたけれど、その場で耐えているようだ。

 スプレーを吹きかけた場所は、黒ずんでいた肌が、紫色に…そして、肌色へと戻っていく。

 それを見て、まだ紫の場所に追加で吹きかけていた。

 肌色になったところに、癒し水をぽたぽたと落としていた。それで治っていくのが見ていてわかる。


 「すげぇ…俺の腕、切らずに済んだのか?」

 「ああ、大丈夫そうだな?」

 「時間をかけて治してくれるようですから、今日は家に帰ってゆっくり休んでください。」

 「わかった。ありがとう。本当に治療費はいらないのか?」

 「ああ、これは薬の効果を試したかっただけだからな。」


 セイヤさんはそう言って、患者たちを返すと戻ってきた。


 「待たせて申し訳ない。」

 「肉の清算が出来たので、先に肉の代金を…。これで全額になる。」

 「はい、確かに受け取りました。」

 「それで、こちらの薬だが…」

 「軟膏は試していないですよね?」

 「そうだな…おい、リア…これを指に塗って見せろ。」

 「私がいいのですか?」

 

 お姉さんの指先を見ると、あかぎれだらけだった。

 あれが治るなら、私も使いたいかも…。水仕事なので、ある程度は荒れるのだ。

 お姉さんが、指先に少し取って塗っている。ワセリンなので硬いクリームだ。温まって溶けてくるまで塗りにくい。

 それでも、軟膏をのせて体温で緩んだものを塗り広げる。お姉さんのあかぎれだらけの指では、傷が塞がり、薄く肌がはったのがわかった。


 「すごい効き目…」

 「一瞬で治ったな。」

 「はい、これは素晴らしいです。」

 「よし、これだけ効果があるなら、フーカ様買い取り価格だが、軟膏で金貨…」

 「金貨はだめです。10万円はちょっと高すぎます。」


 そういったものの、病院であの傷を縫ってもらったら3割負担でも1万円コースだから3万円以上はかかる。膿んだのは、抗生物質を使って同じくらいかな?そうなると…う~ん…高くはなかった?


 「それなら、軟膏と癒し水は大銀貨8枚、消毒薬とやらは金貨1枚だ。これは譲れない。今までどんなヒールの使い手でも、どんなポーションでも治せなかったものだ。」

 「わかりました。それでお願いします。」

 「それと…先ほど、ポーションがあると言っていたか?」

 「はい、10本しかなくて…」


 20本出来たけれど、念のために少なく申告した。


 「10本も!?」


 あれ?失敗した?もっと少なく言った方がよかった?


 「その…ごにょごにょ…」

 「ちょっと待っていてくれ、リア金庫の金の確認を…あれを…」


 セイヤは、有り金の確認を始めた。

 自分の目を治してくれた楓花に、金を渡すことに躊躇はない。

 しかも、大量の肉だけでなく、薬を3種類しかも消毒薬とやらはとんでもない代物だ。これで救われる人が、何人いるのかわからない。今治したやつに使った容器にも、まだ薬は残っている。1本で数人を救えるなら金貨3枚だって構わない。それを金貨は高すぎるとは…。

 いや、この間大きなポーションボトルを大量に使った人だ。

 人を救うことを使命としているのかもしれない。

 だとしても、対価を受け取らねば商売のバランスが崩れる。

 こちらは、買い取り価格の倍以上の値段で販売するのだけれど、そうだとしても…この人を前にすると気が引けてしまう。


 「セイヤさん、お支払いは後日でも…」

 「フーカ様、それはいけない。対価を用意しその場で解決しなくてはとりっぱくれる。もちろん、後日というのもなくはないが今日の場合は受け取っていってくれ。フーカ様のためにもならない。施しは最小限にしよう。」

 「わかりました。ごめんなさい。」

 「いえ、私はフーカ様に救われた。お金ではなかなかお返しできないが、せめてこういった当たり前の事は伝えさせてもらう。」

 「ありがとう。そういうことを教わることの方がうれしいです。」

 

 楓花としても言われるまでもなく、当たり前の事だ。しかも、手段が少ない場所ならなおの事その場で完結させた方がいいのだろう。


 「すまないが、中級ポーションは3本にさせてほしい。だけど、できるなら他には売らずにまた次来るときにもってきてもらえないか?」

 「それはいいですよ。」

 「すまない。では、これが薬の代金だ。」

 

 楓花は、大きな袋を受け取った。

 もちろん、その前にトレイに乗せて枚数の確認を受けた。本当に有り金を集めたらしく、銅貨もかなりの枚数になっていた。聞いているだけで、疲れてくるほどだった。


 「今日はありがとう。では、車へ送ろう。」

 「お願いします。」

 

 外に出ると、人々が集まって賑やかになっていた。

 車は、無事だったらしくステルスはかかっていなかった。お金は重いからとセイヤさんが運んだ。車のところで受け取り、助手席へ置いた。


 「魔導士様!ありがとうございます!」

 「魔導士様!お肉ありがとうございます!」

 「私は売りに来ただけですから、お礼を言われるようなことではないですよ。」

 「昨日、数年ぶりに肉を食べられました!」


 周囲の人たちからたくさんの声をかけてもらう。

 商売に来たのに、なんだかむずかゆい。

 楓花は、車に乗り込み発車した。どうにも落ち着かなかった。


 


読んでくださりありがとうございます。

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