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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第2章 イルルジオーネ

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32/63

5

 

 翌日、楓花は昨日のブラックベアーの肉を食べようと思ったがバケツの中には相当に大きな状態で入っていることがわかった。

 仕方がない。切り分けるか…。

 楓花はキャビンに戻りキッチンの扉を開けた。

 あっ逆だ。

 楓花の包丁は左側の扉に入れていた。だが右側にも包丁が入っていた。柄の部分に用途が書いてあった。肉用、魚用、野菜用、果物用の4種類だ。

 楓花は、その肉用の包丁とまな板を持って外へ出た。

 ブルーシートを敷いて、その上で作業をすることにした。

 バケツを置き、まな板を乗せてその横に肉のバケツを置いた。

 手袋を付けて肉を取り出す。大きすぎてまな板には乗らないので、半分くらいはバケツの中に残っている。

 手に持って切るつもりはあるのだが、念のために声を掛けた。

 

 「ナイフさん、この肉をおおよそ20㎤くらいの塊に切り分けて。」

 

 ナイフが動き始めた。

 美しい断面に切り分けてくれる。

 切られた肉がバケツに戻ってくるのは、前の命令が生きているのだろう。

 1本の肉を切り終えたところで、美味しそうな肉を取り出した。

 ほどほどのさしが入っていて美味しそうだ。

 楓花は発泡スチロールのトレーを取り出した。これは肉を買ったときのトレーを洗った再利用品だった。


「肉用ナイフさん、しゃぶしゃぶ用3トレー、生姜焼き用スライス3トレー、余りは小間切れに」


 そう指示を出して見ている。

 肉用ナイフは、華麗な動きで肉を繊維に沿って半分にすると、繊維を切るように薄切りに切りはじめた。

 しゃぶしゃぶ用を切り終え、生姜焼き用も切り始めた。楓花のイメージした物の2段重ねなのは予想外だったが、楓花にはできそうもない綺麗さだった。そして小間切れ肉は予想以上の山積みになっていた。1トレーでは無理そうなのでトレーを3つ追加した。


 思ったより多かった。

 楓花は、1トレー500gはありそうな物をビニール袋へ入れていく。いくら時間停止だとしても、そのまま冷蔵庫に入れるのは気が引けた。そして、残りの肉の塊も数個ずつビニール袋へと入れて、アイテムバックへ入れておく。流石にバケツのままでキャビンに運び入れるわけにはいかない。


 アートンで売ろうか?

 いや、それでは天龍の商売の邪魔をしてしまいそうだ。

 過剰に入れば買い取り金額が下がる。

 う~ん…。


 『ピーーーーー!!敵対行為を受けました!』


 悩んでいると、また何か来たらしい。

 楓花は、腰にショートソードを携え、マントを着て外へ出た。

 今度は豚鼻の動物だった。

 これは確かオークだ。二本足で立ってはいるけれど、かなり太った感じで人間とは全く違った。

 オークは、本に書いてあったのを思いだした。ノートの文字と本の文字は同じだったのだ。


 楓花はオーク5体が、ガードを叩いている光景を見て、ゾッとした。

 こんなことをされては、いつ壊されても不思議ではない気がする。ガード耐性の強さがわからないので不安なのだ。

 

 ガードを叩いているオークの頭を刎ねていく。

 この剣だとあまり斬った感じもない。

 

 斬ったそばからこちらに倒れてくるのは、ガードがドーム状態なために前傾姿勢だからだろう。

 楓花は斜め掛けバックからロープを取り出した。それを使い木の枝にオークを吊るしていく。

 うん、5体も吊るすとかなり怖い光景になるね。その辺中が血塗れだ。

 それにしてもブラックベアーと同じ場所だと思ったけれど、どうやら何か臭いがするらしい。

 車に戻り、倉庫から新しいバケツを取り出した。

 仕分け札を取り出し、書き込みをしていく。オーク血抜きした40㎤以下の大きさの肉と上にナイフ、オーク血抜きした心臓・肝臓、オーク皮、と魔石でいいのかな?

 ノートを見ながら追加する。オーク耳と頬?なるほど…あとは牙ね。ん~肉の札に頬も書き足した。そして、耳は別の札を作る。5つの札を作り、バケツに貼り付けた。

 解体ナイフは大型4つ足でいいのだろうか?

 まぁ持って行ってみよう。シャベルとナイフ、バケツを重ねた物を持ってオークの素へ向かう。

 オークの近くに穴を掘り、仕分け札を落とした。


 「ナイフさん、オークの解体をしてね。選り分けバケツさん、選り分けよろしく。」


 楓花は、最初にガードぎりぎりからガード外のオークの頭に向けてナイフを出すと、ナイフは飛んでいきオークの顔をえぐり始めた。バケツも置くと。

 耳と頬の回収の間、楓花は背中を向けて待った。

 足元の草花を見て、これはどこかで見たような?と思ったけれど思い出せない。

 

 10分ほどでカタリと音がした。

 振り向くと、肉のバケツにナイフが入っていた。

 それを持ってオークの体のところへと行き、ナイフを一番端のオークに向け、バケツは5頭の間に置いた。


 楓花は、スマホで30分にセットした。

 ブラックベアーは20分後には完全に終わっていた。

 5体だけれど、ブラックベアーよりは小さい。

 

 楓花は、キャビンに戻り手を洗った。

 ノートを開いて、売るべき街を探す。

 ページをめくっていると、気になる1文のある街を見つけた。

 

 ・ヒルストンは、小さな町だ。農業が盛んだが動物がいない。人々は温厚で人懐っこく気さく。徒歩で2時間離れたところまでウサギや狼を狩りに行くが、十分ではない。

 

 ん~つまり、農耕民族なのね。昔の大和のようなもの?同じように動物性たんぱく質が十分ではない地域ってこと?

 それなら丁度いいかも。

 

 楓花は単純にここでいいかと決めた。

 悩むだけの情報量がないのだ。

 

よし、ここで売ろう。 


 楓花は、待っている間にブラックベアーの肉を20Lのゴミ袋へ取り出していく。袋を使っていないバケツにかけ、20㎤以下に切り分けた肉をバケツ一杯になるまで入れていく。全部のバケツがいっぱいになったら手袋を脱いで袋の口を結び棚に並べていく。

 肝と心臓は小さな袋へ入れた。毛皮は大きかったので、45Lでは入りそうもなく70Lをキャビンに取りに行ってきてバケツをひっくり返して入れた。重いので持ち上がらない。仕方がないので床の奥へと転がした。


 先ほど調べたら、アートンからは東に80㎞ほどだった。車で向かえば2時間くらいで到着できそう。これだけひんやりとした倉庫であれば、常温放置でも問題ないだろう。

 肉には熟成期間も必要なのだ。

 熟成は低温で行われるのに、そんな事を考えていた。

 わざわざバケツから取り出しているのは、アイテムバックや異空間収納はこの世界でも当たり前ではなさそうだからだ。

 ケントさんたちは持っていなかった。

 私がバックから物を取り出すと、ぎょっとしていたのだ。

 楓花もそれくらいは、気が付いていた。


 ブラックベアーの袋詰めを終えた楓花は、オークのバケツを回収しに向かった。

 シャベルで穴を埋めると、ロープを4本それぞれに丸めて斜め掛けバックに入れた。


 バケツ2つにロープを半分に折ったものをバケツに通し反対側にもバケツを通して縛ると肩に掛けた。バケツ1つを左腕にかけ、両手に1つずつ持った。

 なかなか大変な姿だ。

 少し歩きにくい。違う、シャベルもあった。

 楓花は戻って、肩のバケツを下ろすとロープを取り出そうとバックを開けて気が付いた。

 

 「やだなぁもう…」


 楓花は、バックにシャベルを入れた。

 バケツは入るのだろうか?

 空間収納同士の場合のエラーが一瞬頭に浮かんだ。

 コインケースが入るのだから、入るだろう。楓花はバケツの取手にバックの口を掛けた。シュンっと収納された。順番に収納していく。

 なんだ。これでよかったじゃない。

 全て収納し、身軽になった楓花は倉庫へと戻った。

 倉庫の中でバケツを取り出し、魔石は棚の下段に入れた。

 先ほどの作業を繰り返し、棚がいっぱいになったところで肉を全て取り出すのは諦めた。心臓と肝を分けて袋に入れ、皮は1枚ずつ45Lの袋へ入れて床に転がした。耳も別の袋へ入れて転がし、肉が残っているバケツを下段の戸の中へと収納した。

 楓花はキャビンへと入り、手を洗う。

 顔も洗い出かける準備だ。

 その前にランチを食べておこうか。

 朝の残りのごはんに、ちりめん山椒をかけて食べる。

 簡単だけれど、それなりに満腹になる。

 コーヒーをマグに入れて運転席へと持ち込んだ。

 走らせる前にチョコレートを1欠け食べた。



 「ナビ、アートンまで空間移動してからヒルストンへ向かいたい。」

 『かしこまりました。ヒルストンのどちらにしますか?』

 「南門前より100mの壁沿いに…」

 『かしこまりました。ヒルストン南門前100mの壁沿いに案内します。アートンまで空間移動を行ってから向かいます。』

 

 アートンまであっという間に移動し、そこから1時間半でヒルストンの南門100mの場所に到着した。

 





読んでくださりありがとうございます。

アイコンタップと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。


自動で理想通りに切ってくれるナイフ欲しい…。

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