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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第2章 イルルジオーネ

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4


 これだったか。

 楓花は、3階の寝室の武器の引き出しでウエストポーチを見つけた。

 ウエストポーチと言っても、弾丸用のポーチだ。

 999種類999個×2はこのジッパー部分よね?

 片側は20㎝?いや18㎝かな?それと…コインケース部分は幅が5㎝くらいしかない。ここに999種類ってそもそも何が入る?

 いや、一部でいいのだ。

 楓花は改ためて武器の引き出しを開けていく。

 私が使えそうなのは、この弓矢だろう。

 高校生の頃の部活で弓道部に所属していた。勘が鈍っているだろうけれど、練習さえすれば矢を射られるようになるはずだ。無軌道でいいならば、今でも射るくらいはできる。

 あとは…短剣は、あってもいいだろう。

 普段、ショートソードを持ち歩くにしても、万が一の護身用に短剣があった方がいい。

 大きな銃は、反動が大きいだろうから、私には向かない。銃身を保つことすら無理がありそうだ。

 事故の影響で握力が極端に弱い。とてもじゃないけれど銃の場合、反動もそうだけれど、そもそも引き金を引く自信もない。

 楓花は、ウエストポーチから銃弾のパックを取り外し、銃と同じ引き出しに戻した。


 ウエストポーチを腰に巻いた。金具で止めるだけでなく紐もついている。

 万が一、落ちないように2重にあるらしい。楓花はしっかりと紐も結んだ。ウエストポーチは腹から右腰に掛けて取り付けた。これは剣を左側に携えるためだ。

 

 スマホのタイマーが鳴った。

 もう1時間、経ったらしい。

 楓花は、ブラックベアーと猪を吊るした場所へと戻った。

 

 バケツ8個があり、一番上の肉にナイフが刺さっていた。

 持って行ったシャベルで骨や内臓を入れた穴を埋めようとして穴をのぞいたが、何もなかった。

 あれ?ああ、そういうことか。札の内側に入るのなら穴の底の中に入ったのだろう。そうなるとここまで深くなくてもよかったかも?

 そう思いつつ、シャベルで土を戻した。

 このシャベルは軽くて楓花でも容易に扱えた。


 バケツは持ってくるときは重ねて持ってきたので楽勝だったけれど、持って帰るには両手に1つずつしか持てない。楓花は地道に4往復して運んだ。

 斜め掛けバックにでもウエストポーチにでも入るのだが、楓花はそんなことは思いつきもしていなかった。


 楓花は倉庫の右側の下段の引き戸を開けてバケツを収納した。とりあえず時間停止になるなら、あの肉をどうするかはゆっくりと考えよう。


 とりあえず、読みかけのノートの続きを読もう。

 キャンピングカーの後ろを通ってキャビンに入ろうと思ったのだが、違和感がある。梯子がある後ろ部分は軽ワゴンと同じ上に上げるタイプだったような?どうして両開きになっているのだろう?


 楓花は、恐る恐るドアを開いた。

 開いた場所には、奥行きの薄い棚があり空瓶が並んでいた。飾り棚のようだ。下部には何かが折り畳まれている。引き出してみると会議室で使うような長机が出てきた。それを2台取り出すと、下には大きなバーベキュー台が入っていた。

 3台とも、長さが同じで開いたドアの間に丁度嵌った。よく見ると、棚の上部にはカーテンのような巻き取りされているものがあった。それを引っ張り出すと、ドアに引っ掛ける場所があった。ドアの下にも支えが隠れていて、引き出してみるとドアも地面に固定できるようだ。


 「へぇ…屋台みたい。」

 「これを出した状態でガード範囲を調整すれば安全に商売が出来るってことかな?」

 

 ガードの範囲には、薄い光の線が見えるので、そこからいろいろと調整して、安全な配置を見つけた。

 

 屋台商売も可能なのは、うれしい。

 その前に、お金の価値を知らないといけない。

 宿は大銀貨1枚だけど、この場所で泊まるなら金貨1枚の価値はあるらしい。天龍のチームハウスは金貨2枚とも言っていた。

 串焼き屋さんは、1本銅貨3本だった。

 肉1㎏が銀貨5枚で売れていた。

 それだと100g銅貨5枚になるだろう。肉串の肉自体は30gくらいなので原価を考えるとそのくらいで普通かな。

 そこで問題なのは、銅貨1枚が実際にいくらなのかだ。

 10円くらいかとも思ったけれど、今持っている情報では、少し違和感があった。

 これは、もうちょっといろいろと知った方がよさそうだ。


 広げた物を片付けて、キャビンへと戻った。

 そしてまたノートを読み始めた。

 あっこれだ。


 【通貨の価値は、変動はあるが銅貨1枚で安価な野菜が1つ買える。串焼き肉を売るのなら銅貨3枚から10枚程度が望ましい。】


 幅が大きすぎる…。

 

 【庶民の稼ぎは、日当稼ぎの者たちで1日銀貨3枚~10枚。】

 【冒険者の稼ぎは、1日銀貨5枚~青天井。】

 【商店などに住み込みで働いている者たちの生活費を引く前で、月金貨1枚から2枚。】


 あれ?月の稼ぎが金貨1枚から2枚!?

 つまり月に10万から20万として考えると金貨1枚が10万円くらい?

 ええっ?

 それなら、今いくらあるの?

 通貨の種類は何枚あるのよ。


 【コインの種類は、銅貨・銀貨・大銀貨・金貨・大金貨・白金の6種類。】

 【紙幣は存在しない。】


 ん~つまり、お金の価値はこの素材そのものに準じているということね。

 今の通貨の価値とは考え方が異なる。中世くらいの価値観なのだろう。

 金を10万円とするなら、大銀貨で1万円、金貨で1000円、銅貨で100円相当かな?そう考える方が、しっくりくるかな?


 【この世界の金を含む金属は、鉱石の採掘の他に獣の持つ魔石にも含まれている。】

 

 へぇ…獣に魔石が、あるの…魔石?

 私、肉と心臓・肝と爪・牙・毛皮だけを回収した。魔石が、あったのかもしれない。でも、掘り返すのも面倒だし、見たくないよね?

 次、次の機会があったら、魔石のバケツも用意しよう。


 【この世界の魔石や鉱石は地球の物とは違う時間と理論で出来ており、掘削量の限界はなさそうだ。だが、成分の構成は全く同じだ。ある程度なら地球に持ち込み換金することも可能だ。】

 

 なんと!いいお知らせだ。

 それなら、お金に困ったらその魔石とやらを地球に持ち込めばいいのか。いや、原石的な物を素人が持ち込んで買い取ってくれるもの?インゴットならともかく現物…無理だわ。

 一瞬、喜んだことを早くも後悔し始めた。


 日が落ちて来たらしい。

 日差しが弱くなってきた。楓花は室内灯を付けた。

 今日は、冷蔵庫の肉と野菜を食べよう。自分ひとりだし、適当でいいか…。豚肉と玉葱を炒めてショウガ醤油で味付けをし、野菜を煮た汁にインスタントの味噌汁を入れて具沢山な味噌汁にした。

 即席の生姜焼き丼と味噌汁の夕食だ。

 

 カレーライスとかハヤシライスを作ろうと思って、材料は入れてあるのに前回も今日も作る気にならなかった。


 食後には、この間受け取ったコインをあらためて数えてみた。

 肉を売った代金として受け取った袋だけで金貨が15枚と大銀貨や銀貨などトータルで400万円相当があった。

 こんなにあるもの?

 いや、もしかしたら肉の販売金は全てくれたのかもしれない。

 彼らは、元々捨てるしかないと言っていた。それなら、毛皮やその他の部位は彼らが受け取ってはいるのだろう。

 それで同じくらいになっているといいけれど、楓花には見当もつかなかった。

 

 楓花は、もうひとつの袋を思い出した。

 彼らが、最初に出してきた袋だ。

 それを開けてみると、中には金貨が数枚と大銀貨や銀貨、たくさんの銅貨が入っていた。

 これだけでもやはり相当金額がある。命の対価と言っていたけれど、こんなにもらってもよかったのかと心配になる。

 急にお金持ちになっていた。




読んでくださりありがとうございます。

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