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ノートには、まだいろいろと書いているようだが、後回しだ。
とにかく、この解体ナイフを使えば解体はできるらしい。それとバケツも名前を付ければ仕分けてくれるなら、いい事だ。正直なところ解体中の現場は見たくない。学生時代に経験しているし、処理済みの食材としての物なら平気だけれど、未処理の特に内臓は見たくない。
楓花は、熊用のナイフと大型用ナイフを取り出した。
ブラックベアーの肉、ブラックベアーの肝・心臓、ブラックベアーの爪・牙、ブラックベアーの毛皮の4種類の仕分け札を作った。猪も同じく4種類に分けた。それをバケツに貼り付ける。
さらに白い札にブラックベアー・猪のその他と書いた。
楓花は、それらとシャベルを持って吊るした場所へ戻った。
シャベルで近くの土を掘るが軽い。
「シャベルさん、ここに3m深さの穴を掘ってくれないかな?」
楓花はなんとなく呟いたのだが、シャベルは勝手に動き始めた。楓花が広げた穴の入り口のままで深く掘ってくれているらしい。
これも自動機能付きだった。
うん、便利でありがたいけれど…考えるのはやめだ。
シャベルが戻ってくると楓花は、仕分け札を穴へと落とした。
その他と書いてあるそれの入った穴に、骨や内臓などが入るといいだろう。
「はい。ナイフさん、オークの解体をしてね。仕分けバケツさん、仕分けお願いね。」
持ってきたナイフは小型用と熊用だ。そのナイフが動き出した。
動きから考えると先に皮を剥ぐのだろう。
あまり見ていたくないので、楓花は一度キャンピングカーに戻る。
考えてもいなかったけれど、命をいただいている以上、解体は必要だ。
そして、その前に命を狩り取る人がいるのだ。
大和での生活では、誰かにその責を負わせているから肉を食べられている。
そんな当たり前のことに、今更ながら気が付いた。
普段意識しないようにしていたけれど、そういうことなのだ。牛の枝肉や豚の枝肉が冷凍倉庫に並んでいる景色はたまにテレビで目にする。それは動物感があって、目を背ける人もいるだろう。
でも、普段の自分たちは薄く切られた肉しか見ていない。
その前には、この工程があるのに…それに気が付かない。知らない。知っていても知らない事にする。
「命をいただいている」のだと改めて思った。
天龍の人たちに、ウサギの解体を頼んでしまった。
彼らだって心に負担だっただろう。
待っている間、つぶしてしまった獣たちの近くに穴を掘り、残骸を埋めた。幸いにも仕分け札を入れると近くにある残骸を引き込んでくれたので、触らずに済んだ。
これで臭いが出るのも防げるだろう。
楓花は、キャビンに戻るとカップにコーヒーのドリップパックを引っかけてお湯を注いだ。
生き物を殺した手の感覚はまだ残っている。
うん、猪とブラックベアーを殺した。
いや、ずっとガードを攻撃されていたら、いつかは壊れるからね。攻撃されたら反撃するのは当たり前だ。
日頃、口にすることはないけれど、自分を狩ろうとする相手なら狩っていいと思っている。自然とはそういうものだ。遠慮したらやられるだけだ。
獣相手には力で行くしかない。
うん、仕方がない。
正当防衛だ。
でも、狩ったからには責任もって食べてあげる。それは、約束できる。あなたの命を無駄にはしない。
ドリップパックのお湯を切り、引き上げた。
真っ黒な液体が、いい香りを放っていた。
「ん~美味しい。」
ソファーに座り外を見ると、野原が広がっていた。
いい景色だ。
車を収納できるのはわかったし、「何?」と思えば何かがわかるようになった。
ふとテーブルの上に自分の眼鏡を見つけた。
あれ?私、眼鏡をかけていなかったの?
そういえば、あの眼鏡は、消えたのだった…それにしても、眼鏡を掛けずに見えていたなんて…裸眼での生活は中学生以来していなかった。
コンタクトを入れていた時期もあったが、角膜が弱っているから駄目だとドクターストップがかった。それ以来、特別な時以外は眼鏡で過ごすようになっていた。
倉庫にあったノートを読む。
今は、このキャンピングカーや乗っている物がわからなすぎる。
少しでも情報が欲しかった。
スマホのタイマーを20分に仕掛けた。
スマホは大和時間を示しているようなので、この世界では3倍になるとしたら60分になる。その頃に様子を見に行けば解体は終わっているだろう。
最初は倉庫の物の説明だったけれど、途中からは思いついたまま書いてあるようだった。
【ウエストポーチ:収納魔法付き。時間停止付き。鞄の口に入るものなら何でも入る。最大数999種類999個まで×2。ただし、一部でも入れば収納可能。】
ウエストポーチなんてあった?後で探そう。ウエストポーチならいつでも身に着けていられるから、大事な物を持ち運ぶのにいいだろう。
【コインケース:99種類999個まで。軽量化加工。】
コインの種類は、99種類もないでしょうに。
でも、これはあのコインケースだろう。手のひらサイズで8cmくらいのジッパーがついていた。あれは、斜め掛けバックに入れたのだった。口も小さいから、大したものは入らないだろうけれど、お金を見えないように持ち歩けるのは助かる。
【ガードの腕輪:対象が身に着けたら見えなくなる。体表0.0001㎜から50㎝ほどにガードを張り守ることが出来る。指定がなければ1㎝で作動する。】
あの消えた腕輪の事だろう。
なるほど体表1㎝にガードを張って守ってくれるのか。持続時間が気になるところだけれど、過剰に安心せずに使っていこう。きっと持続時間が切れたら腕輪になるとか何かわかる動作があるといいな。消えて終わりだとわからない。
これとマントがあれば、ある程度は身を守れそうだ。
道行く人が、刃物を持っているのは正直怖い。
いつ誰に刺されても、不思議ではないのだ。だから、防具になる物があるならとても助かる。
【4Lプラ容器白5:水道水1800l入り】
【4Lプラ容器赤5:ガソリン1800l入り】
【4Lプラ容器青5:ポーション180l入り】
【4Lプラ容器黄色5:空】
んん?
水道水にガソリンにポーション?
そういえば、燃料切れになったら困るのか。この世界にガソリンがあるのかはわからない。なるほど、あの自動ポンプはそれに使うためか。
だけど、水道水って何?
このキャンピングカーの水道は無限に増幅されるのではなかった?
なんのための水?それにしても、4Lにお風呂10杯分が入っているのか。
ポーションは、お風呂1杯分なのは何か理由があるのかな?
そもそもこれはどこに?いやでも、こういうものって室内ではないよね?ポーションは室内かもしれないけれど、ガソリンは…いくらなんでも室内には置かないだろう。
楓花は外へ出て、倉庫のドアを開けた。
パッと見ても見当たらない。そうか、下の棚…楓花は左側の下の引き戸を開けた。そこには4色のポリタンクが綺麗に並んでいた。イメージしていた洗剤が入っているようなポリタンクだったが、縦ではなく横に入っていたので、その収納の仕方に少し虚を突かれた。
こんな並べ方あったのか…斬新だ。確実に手前から使うしかない収納が面白かった。
ウエストポーチはどこだろう?
楓花は、キャビンに戻ると3階の突き当りにある寝室に入った。
上から順番に見ていくけれど、ウエストポーチは見当たらない。
そうしているうちに、銃の引き出しを開けた。
弾丸とポーチがある。ポーチの表のオープンポケットには銃弾を入れたパックが並んでいた。
まさかこれってことはないよね?
パックを入れる表の後ろに平べったいポーチ部分があった。コインケースもついている。
いや、これなの?
「これは何?」念のために見てみる。
『ウエストポーチ:収納魔法付き。時間停止付き。口に入るものなら何でも入る。最大数999種類999個まで×2。ただし、一部でも入れば収納可能。』
これかぁ!
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