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行列の足が止まった。
「皆さん、こちらは聖なる泉のある中庭となります。御覧の通り、泉の周囲には花畑と川が重なっています。こちらをどこまで進めるのかは、妖精に決められます。進めなくなりましたら右に回り川の水を汲んでお帰りください。こちらの川は聖水が流れています。汚さないようにお願いします。今から容器をお渡しします。」
容器は、袋の中に5本入っていた。案内人について左向きへ左側通行に進んだ。反対側から帰ってくる人も多い。
建物沿いに1周すると、道沿いの花の色がピンクから黄色へと変わった。
そこをルーイも先に進むことが出来た。入ると修道女がまた容器をくれた。今度の容器は、この間母に飲ませた聖水が入っていた容器だった。
「これはこちらの右側の川で使ってください。」
「ありがとうございます。」
それから1周している間に、人々が戻って来ていた。
突き当りに行くと、案内人が道を塞ぐように立っていた。
「この先へは進めませんか?」
「いえ、進んでかまいませんよ。試しますか?」
案内人が数歩下がったので、進もうとしたけど不思議なことに進めなかった。
なるほど、これが妖精に選ばれるかどうかなのか。あの案内人は選ばれていて、僕は選ばれなかった。
「あれ?入れません。」
「では右側に曲がって少し進んだところで水を汲んでお帰りください。」
「わかりました。」
ルーイは、新しく受け取っていた容器いっぱいに水を汲んだ。
そして、進んでいくと黄色い花のところに出た。すると、前にいる人が最初に渡された容器に水を汲み始めたので、僕も水を汲み始めた。
「あの時の坊主か、ここには初めて来たのか?」
声を掛けられ、見ると母のための聖水を売ってくれたおじさんだった。
「うん、おじさんありがとう。おかげで母さん起きている時間が長くなった。」
「そうか。それはよかった。」
「坊主、ここに来たなら気が付いたか?」
「何を?」
「第五区画…ピンクの花のところで水を汲んだか?」
「うん。」
「ピンク花の水は第五聖水として売れる。上ギリギリじゃなく指2本分までの間ならギルドで買い取ってくれる。」
「指2本分?」
「そうだ。」
「そうなの?僕はいっぱいにしたから大丈夫かな?」
「坊主、指2本分より上ならいいんだ。多い分は取り分けてもいいんだよ。」
「とり分ける?…あ!」
「母ちゃんに飲ませればいい。瓶の方は1本小銀貨1枚で売れるが、ギルドの買い上げなら銅貨8枚になる。」
銅貨8枚が5つだと銅貨40枚になる。
「そうなんだ。こっちは?」
「こっちは中庭の聖水と呼ばれる一般的な聖水だな。ギルドに行けば銅貨4枚で買い取ってくれるぞ。」
「それが5本あるから…、銅貨20枚だ。」
「そうだ。」
「あれ?入場に銅貨50枚支払って、全部売れば銅貨60になるの?」
「お?計算出来るのか。えらいぞ。そういうことだ。坊主は、小銀貨5枚支払えば小銀貨6枚と母ちゃんに飲ませる聖水が手に入るな。」
「それは、すごいです。」
商人さんにお礼を言って、家に帰ると母に瓶の上澄みの聖水を飲ませた。
瓶は全てギルドへ持ち込んだ。
「今日の入場券は持っている?」
「うん、これでいい?」
「ええ、それでいいわ。第五区画に入れたのね。」
「うん。」
「ルーイさん、第五区画に入れる人は選ばれた人よ。神様に選ばれたの。でも、穢れるようなことがあると入れなくなるわ。」
「穢れ?」
「そうよ。これ代金ね。見てわかる通り、第五区画に入れる人は全部を売れば入場料を払ってもおつりがくるの。だから、入場日には是非入場してギルドに卸してね。」
「わかった。」
ギルドのお姉さんは親切だ。
利益が出ることを教えてくれた。
僕は、6枚の小銀貨を受け取ってギルドを後にした。
僕の手のガサガサは少し落ち着いていた。
それから、毎週ある中庭の開放日には神様へ参拝するようになった。毎日祈っているけれど、あの中庭は特別だ。何度見ても美しくて心が洗われる。
聖教会のお膝元の町でよかった。
お母さんの症状もよくなってきている。聖教会のお仕事をして、配達の仕事があるのも聖教会があるからだという。
聖教会本神殿の前の清めの池は、癒しの池と呼ばれるようになった。
僕の手もつるつるに戻っていて、小さな傷なら治してくれるようだ。
お母さんが立っていられるようになったら、妹も連れて3人で中庭に行ってみよう。
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