↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第20章 深淵とは何か

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

259/259

23

 

 楓花は、ひとりで虹湖に来ていた。

 深淵との戦いが始まって4か月近くの間、ここに来たのは1回だけだった。

 

 出来るだけルーティーンで過ごすと決めていた楓花だったが、深淵との戦いが始まるとそんな余裕はなかった。

 あの時見つけた魔水の川が、あんな騒動になるとは思っていなかった。

 アートンのギルドマスターのクリスフォートとヒルストンのギルドマスターのセイヤには、今までのようには来られないと言って、大和時間の毎週から2週に1回へと卸す頻度を変えてはいた。

 出来るだけ来ようと思っていたけれど、深淵との戦いではその余裕がなかった。

 卸した肉も倉庫に積みあがっていた狼肉とウサギ肉だった。

そして、卸す量は少し控えていた。そうしないと量が足りないかもと思ったのだ。

 大和時間の4カ月の間に、倉庫の狼肉と角ウサギ肉はきれいさっぱり無くなった。

 倉庫にあるのは、木の実ウサギとホワイトジャイアント、元から入っていた狼とウサギ以外の肉たちだった。

 

 今日は、必要以上に狩るつもりもないけれど、寄ってくる分には仕方がないとも思う。

 深淵は消えても深淵の影響は強く残っていた。

 どうやら深淵が現れると、獣や動物が魔物化するだけではないようだ。


 敬一郎さんが、ヒシフォートで実験をしたらしい。

 穢れたままの魔石を動物小屋へ置くと、普通の動物たちの繫殖が強まったという。

 小さな魔石でもその効果はあるらしい。

 そして、生まれた仔の数は変わらないが、生まれた仔が大人になる率が上がったという。

 それならば、異常繁殖も納得がいった。

 木の実ウサギや角ウサギもそれが理由だろう。

 狼が増えていたのも同様だろうし、ブラックベアーもそうだろう。

 だからと言って魔物になってはいないらしい。

 肉にも魔による汚染はないようだった。


 

 ん?

 あれ?

 人の魔石は数ミリから数cm、聖職者でも10㎝だったよね…?

 ウサギとしては大きな木の実ウサギは、体が人より小さいのに魔石の大きさが変わらない?8~10㎝の楕円形で聖職者並みだ。

 ブラックベアーは体長3mで18㎝前後の楕円形だ。

 ホワイトジャイアントは5m前後で30㎝ほどだった。

 ブラックベアーやホワイトジャイアントを参考にするなら、体長1m当たり6㎝前後になるけれど、木の実ウサギは体長の割に大きいことになる。

 角ウサギは…普通のウサギサイズで魔石は1㎝程度しかない。

 でも、いつだったか…大量の角うさぎに襲われた時の魔石は2㎝近くて大きかった気がする。あの時はよくわかっていなくて大き目でラッキーくらいにしか思わなかったけど…。

 魔の影響を受けると魔石は大きくなる?

 いや、聖に触れると大きくなるのではなかった?

 魔物…ううん、獣ってどうやって聖に触れるの?

 聖水の川の下流なら触れるだろうけれど、それ以外は?

 

 聖水は聖教会本部にしかないと言っていた。

 あとは聖なる泉があるから実質2か所だ。

 その下流なのだろうか?

 確かに魔の森にあるから、下流の可能性はあるけれど…でも魔の森以外の獣だって魔石を持っていて、大きさはあまり変わらない。


 そんな訳ないよね…。

 だとしたら…聖も魔も関係ない?

 聖や魔と呼ばれている物に含まれている何かに影響されている?

 だったら、あの深淵って何?

 違う。

 魔は確かにあった。

 黒い霧を撒き散らし、穢れと呼ばれるに相応しいものだった。


 『ピーーーーー!!敵対行為を受けています。』


 ナビの警告音に、楓花は釣り竿を置いた。

 思案に耽っている場合ではないようだ。

 弓を取り出し、矢をつがえる。

 こちらへ向かって突進を繰り返している巨体に向き合う。

 足を止めて、狙いを定めて放てば巨体の眉間から後頭部へと矢が通った。

 矢が通っても数回足を動かし、それから動きを止めた。

 動かなくなるのを待って、楓花は横から近づいた。

 斜め掛けバックから剣を取り出し、首へ解体ナイフを突き刺した。

 それからすぐにガード内へと戻った。


 1,2mとは言え、ガードの外なのよね。

 前はどうやった?

 こんな大きなイノシシは、私の力では動かせない。

 そうだ、とりあえずガードを広げて獲物を入れよう。

  

 「ナビ、ガードを13mに広げて。」

 『かしこまりました。ガードを半径13mに広げました。』


 ガード内に入ったのを見て仕留めたし、ガードに入れたので周囲への警戒もいらないことに安心すると、獲物を見た。


 【ワイルドボア:毛皮は防具になる。心臓や肝はグリフォンの好物。肉は歯ごたえがあり美味。】


 「食用出来るのね。よかった。サクラも喜んでくれそう。」

 

 楓花は食用であることを確認し、仕分け札を貼ったバケツと解体ナイフを斜め掛けバックから取り出した。

 シャベルも取り出し、土を軽く掘ってもらうと血や内臓と書いた仕分け札を落とした。


 「では、解体ナイフさん、バケツさんお願いね。」


 楓花は、解体の依頼をするとその場から離れた。

 それから、立て続けに攻撃を受けた。その度に仕留めては解体をしていく。

 まったり釣りが出来ない。

 それに…敵対行為ではない、獣も増えていた。

 ガードの近くに座っているだけのモノたちがいた。

 近くで仕留められる獣がいるにも関わらず、ここにいるのは解せなかった。同じように仕留められるとは思わないのだろうか?


 まぁ、こういうのって…小説なら弱っている獣を助けて仲間になるのだろうけれど、生憎だけど私には獣に好かれるなんて才能はない。サクラが懐いてくれたのだって奇跡的なものだった。

 だが、敵対行為を受ける度に、仕留めた獲物が入る程度に広げていく。気が付くとガードは25mまで広がっていた。

 そして、その外周には敵対行為ではなく、まったりと寛ぐ鹿や羊らしきものたちもいた。

くつろぐものたちは、ガードを広げる度に数メートル後ろへ下がった。

 私は寛いでいる生き物を狙うことはするつもりがなかった。

 天龍がいたら、彼らは狩りに来るから狩るのは当然だ。

 

 今日の成果(敵対行為をしてきた)は、ワイルドボア4体に、角ウサギ10羽だった。

 いつものブラックベアーはいなかった。

 違和感しかない。



読んでくださりありがとうございます。

リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。