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聖教会のお膝元で育ったルーイは、貧しい家で育った。
母は病弱で、針子をしながら育ててくれたけれど、最近はあまり起きていられなくなった。妹もいるけれど、3つ年下の7才だった。
10歳のルーイは毎日、どこかで手伝いをして小遣いをもらって、それで家族3人で生きていた。
教皇様が交代なさってからは、聖教会の炊き出し回数が増えていた。
今では毎日15時頃に、薄い麦入りのスープが炊き出されるようになった。前よりも具は少ないけれど、毎日というのは大きい。この炊き出しには家族3人で並ぶのが日課であり、列が進むと受け取る手前に祈る場所が設けられていた。母もこれだけは頑張ってくれるので、列にいる間は椅子に座って待ってもらった。
祈る場所では、神様へ感謝を捧げましょうと言われているので、いつも「食べ物を頂ける事」への感謝を捧げるようになっていた。
それにスープを食べ終えた頃に、翌朝の手伝いの募集も行われるようになった。
畑の手入れや家畜の世話だった。夜明けすぐに集まり仕事前に教会に向かって「仕事を得られた事」への感謝の祈りを捧げた。仕事を終えると、パンとスープと収穫した作物を貰えた。パンとスープはその場で食べ、持ち帰った野菜などを母と妹に食べてもらった。
そして、教会では午前と午後に手習い所が開設されていた。好きな時に行って、文字や数字を教わることも出来るようになった。
特に数字を知ると、世の中が変わって見えた。
母と妹の分と数えずに、3つ購入という概念が出来た。
3つあれば、家族分のパンが足りる。
手紙や荷物を届ける仕事は、1回で銅貨2~5枚をもらえる。
銅貨は10枚分稼ぐのを目標にしていた。
銅貨3枚で小さなパンを1つ買えるので、パン3つを買っても1枚が残る。それ以上稼げれば残る銅貨も増える。銅貨10枚あると串焼きが1本買える。串焼きには肉が3つ付いているから、家族3人で1欠片ずつ食べられた。銅貨10枚より多く稼ぐことにすると、毎週のように肉串を1本買えるようになった。
数字を教わってそれがわかる前は、毎日我慢ばかりで心細かったけれど、数字を覚えてからは、先の見通しを立てられるようになった。
ある日、聖なる泉へ立ち入りを許される日があることを知った。
聖なる泉がある中庭は、入るのにお布施がいるらしい。
それもとても高額でとても出せるものではなかった。
だが、「お花畑が美しい」とか「夢のような場所」と聞いて、遠くからも見に来るお客さんがいることを知り、どうしても見たくなった。
ルーイは、毎日のパン3つと週に1回の肉串は継続しながら、精一杯頑張って仕事を求めた。
ルーイは、銅貨10枚になる度に小銀貨と交換した。
これは、お布施のためのお金だから使ってはいけないお金だ。
だけど、小銀貨1枚で少しいい聖水を貰えると聞いて、1本だけ求めた。
体の弱った母に飲んでもらうと、少しだけ元気になった。
いろいろな仕事をしたので、指先はガサガサと荒れていた。それでも、母が元気になったので、少しほっとした。
そして、銀貨5枚を貯めた。
いつも見ているだけの聖神殿本殿に入るため、朝の仕事を終えたると川で水浴びをしてから、小銀貨5枚を懐へ抱え向かった。
本殿の入り口でお布施を渡すと、中庭へ入るための札を渡された。
大金を持っている不安から解放され、大勢の人たちについていく。
「本殿に入る前に身を清めます。ここに来る前に水浴びをしていると思いますが、手足を浸けることをお勧めします。」
浸ける?
周囲の人たちは、さっと水に入れるだけのようだけど、ルーイは池の中を進み人が少ないところで手も浸けた。
「ここなら邪魔にならないはず。だけど…案内人は浸けると言ったのに、みんな洗うだけなのはなんでかな?」
ルーイは、池から出ると他の人を見習い川に行き、口を漱いだ。
川で口を漱いで違和感を覚えて手を見た。
川の水でふやけたのか、ガサガサが落ち着いていた。
それから、美しい建物の本神殿に入ると席について祈りを捧げる。
ここに入る時に「主神アリフレーゼ様には、お礼をお伝えしましょう。」と促された。
だから、「日々食べられる事と仕事を貰える事」への感謝を祈りとともにお伝えした。
それから教皇様が前にお立ちになり、ありがたいお話を聞いて、一緒に歌を歌った。
歌を終えると、中庭への案内が始まりルーイもぞろぞろとついていく。
細い廊下を進むと、質素な建物になった。本神殿がとても豪華で美しかったので、飾り気のない裏側に少し驚いてしまう。
そこを進み、美しい石畳の建物に移動した。
真っ白な石で出来た建物を通り抜けると、美しい花畑があった。
細い川と花畑と道が幾重にも重なっている。
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