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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第20章 深淵とは何か

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17



 元帥閣下が後ろ手で合図をした。

 それを見て、ジリアント伯爵は会議室を後にした。


 「フーカ様、お待たせしました。泉にご案内します。」


 フーカ様を聖女たちの前に出すか出さないかは、今の会議次第だった。

 元帥閣下の判断は、「紹介する必要などない。」だったのでこのまま泉を見ていただこう。

 庭の奥にある小綺麗な林の中の泉の前に移動した。

 先ほどまで、聖女や枢機卿たちが見ていた泉だ。


 

 「先ほどの清めで清められていますが、聖水ではありません。」


 ジリアント伯爵は、鑑定レンズで確認をしてフーカ様へ報告をした。

 

 「そのようですね。それに…。」


 フーカ様が視線を移した先には、紫煙を放つ魔石と神職の衣装が落ちていた。

 供をしている兵士がそれを回収する。

 フーカ様は、顔を上げられ周囲を見回した。


 「美しいところですね。」

 「そうですね。本来は国一番の清浄な場所で、限られた者しか立ち入れません。」

 「そうなの?」

 「はい。ご覧ください。泉の水は多くなく、ここで汲み上げています。ですが泉の大きさも小さく。」

 「でも、うちの泉よりも大きいわね。」

 「え?」

 「泉の大きさと湧き出る水の量はイコールではないですよ。」

 「それは、そうですが…。」

 「ここは聖水が沸いていたのよね?」

 「そのはずです。元から聖水でなかったとは思えません。」


 フーカ様は、水の中を見て目を凝らしていた。

 そして、水の中から何かが上がってくる。

 水晶玉のようなものが割れていた。

 

 「これは?」

 「わからないけど、見えたから引き上げました。」


 そういいながら、フーカ様は鑑定をしているのかじーっと見ていた。

 

 「鑑定します。」


 ジリアント伯爵は、鑑定レンズを見た。

 

 「聖水の源泉玉(破損)」だそうです。」

 「源泉核って何かしら?聖水って自然の泉ではないの?」

 「それは、私も初めて拝見しました。」

 「これ治らないのかしら?」


 フーカ様の言葉に、周囲の小さな光が集まってきた。

 フーカ様は周囲を見回してから、私たちを見た。


 「皆様、気休めですが舞を舞いますので、周囲を開けて目を伏せていただけますか?」

 「場所を開けますが、目を伏せる?」

 「舞は見てはいけないのよ。」

 「仰せのままに。」


 ジリアント伯爵が膝をつき顔を伏せた。

 その場にいる者は、同じように膝を付き恭順を示すと立ち上がり背を向けた。

 フーカ様を守るために、周囲の警戒をするためだ。


 ジリアント伯爵は、地面しか見ていないのにも関わらずあまりの眩さに眩暈を覚えた。

 これは、たしかに見てはいられない。これを目にしたら気絶してしまうだろう。

 

 「顔を上げてよろしいわ。」

 

 辺り一面が輝き、清浄な光を放っていた。

 圧倒的な清浄さだ。

 フーカ様は舞で息が上がっていらっしゃるようで、頬をピンク色に染めていらっしゃる。肌がしっとりと淡く輝いていた。

 鬼人の目には、眩しすぎるお方だ。

 

 「源泉玉が修復されています。」

 「あら、本当ね。でも…もう少し…。」


 フーカ様が、聖水を取り出しボトル1本分を注いでいた。

 

 「このまま少し待ちましょうか。」


 フーカ様が周囲を見回されて、地面に座ろうとしたので「お待ちください」と止めた。

 座りたいようだが、椅子はない。

 ジリアント伯爵は、手足を付いて背中を平らにした。


 「フーカ様、私の背にお座りください。」

 「え?いえ…あの…それはちょっと…」

 「閣下では気が引けるでしょう。私の背をお使いください。」


 戸惑われているフーカ様を見た部下たちが地面へ手をついた。


 「あの…やめてください。座るところならあります。」


 そうおっしゃると、フーカ様は魔導車を出して中へ入られた。

 ジリアント伯爵や部下たちは立ち上がり、両手を叩いて土を落とし、膝を叩いて土埃を叩き落とした。



 しばらくすると、フーカ様が下りてこられた。

 

 フーカ様が周囲を見回して、首を傾げられた。

 ジリアント伯爵もその先へと視線を向けた。

 そこには、あの聖なる場所のように、泉から小川が伸びている。

 少し先まで延び、源泉を囲むように円を描き、人が通れる程度の道を残して円の外側へと向かった。

 小川はさらに伸びていく。

 小川の先は光っており、妖精たちが掘り進めているようだ。

 

 フーカ様は源泉玉を手に取られた。

 ジリアント伯爵は、それを鑑定レンズ越しに見た。


 【聖なる泉の源泉玉(癒しの聖女により修復済み):水に入れると毎秒5Lの聖水が沸く。魔を清め、癒す効果がある。】


 「フーカ様、前の聖水より強い効果があるようです。」

 「それは、聖水になるからでしょう?」

 「いえ…癒しの効果も付加されたようです。」

 「癒し?そうなの?それはラッキーね。」


 フーカ様はまるで他人事だ。

 ご自分のお力で与えた効果とは思っていらっしゃらないようだ。

 フーカ様は、源泉玉を聖教会の泉へと戻された。

 水の中へゆっくりと源泉玉が落ちていく。

 そして、眩い光を発した。

 周囲にあの聖なる場所と似た光が満ちた。あの場所と比べると控え目だが、それでも穏やかな光に満ちている。

 小川には、輝く水が流れてきた。

 これは自分が鬼人だからそう見えるのだろうが、只人だとしてもこの清浄さに気が付くだろう。



読んでくださりありがとうございます。

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なぜか、変な動きし始めた。

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