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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第20章 深淵とは何か

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15 ジリアント伯爵

誤字報告ありがとうございます。



 聖教会の警備、調査してきたジリアント伯爵と真人となった騎士たちがフーカを出迎えた。


 「フーカ様、お越しいただきありがとうございます。」

 「ジリアント伯爵、様子はいかがですか?」

 「関係者は別区画で管理しています。今、聖地に入っているのは聖女様と戦いに参加した国軍の騎士です。」


 ジリアント伯爵は、フーカを見て目を細めた。

 鬼人になって以来、聖なるものが光輝いて見えるようになった。そして、魔は紫煙を発して見えていた。

 ジリアント伯爵には、楓花は薄く発光しているように見えていた。

 そのせいで楓花の目尻の皺や首元の皺、ほんのりと弛み始めた頬などには気が付けない。

 そして、楓花の傍に妖精未満の光がふわふわと集まってくる光景を美しいと思っていた。


 「ケイさん、この辺一帯を清めればいいのよね?」

 「はい。お願いします。」

 

 フーカ様は、魔導車に乗り込み何かをなさると、大きな容器を取り出した。

 それを元帥閣下が受け取る。

 フーカ様は元帥閣下の立ち位置を細かく指示なさったあと、口を捻り聖水を出した。流れ出た聖水は、地に落ちる前に守護壁に触れ吸収されていく。薄く発光している守護壁がより密度をもって輝いた。

 

 聖教会を清めると元帥閣下に指示された時には、なんの冗談かと思ってしまった。

 だが、教皇を初めとした者たちが魔物であったことを考えれば、当然の判断だと思いなおした。


 「ジリアント伯爵、聖女様が宿泊所へ戻ったら始めますね。」

 「宿泊所ですか?」

 「ええ、うっかり人のいない場所で消えてしまうことがあっては困ります。もちろん消えないとは思いますが、万が一の事もありますので…。」

 

 フーカ様の言葉に、その可能性もあるのかと気が付いた。

 教皇が魔物であった以上はなんでもありだろが、それでもその可能性をなぜか排除していた。思い込みが激しくないつもりだったが、フーカ様の言葉で気が付いた。

 それから、フーカ様が魔導車を走らせ3か所で守護壁を展開された。

 


 4か所目となる広場には、聖女様と枢機卿たちが並び、その前に聖教会関係者たちが集まっていた。

 フーカ様の魔導車は、聖女様や枢機卿たちの後ろへ止まった。


 ジリアント伯爵は魔導車の運転席側に立ち、ドアが開くのを待った。

 フーカ様が降りる素振りをなさったので、手を差しだした。

 フーカ様は、慌てたご様子で手袋をつけて手を預けてくださった。

 物音で振り返った聖女様や枢機卿たちは振り返って見ている。

 フーカ様が降りられると、周囲にいた真人である騎士たちは、最敬礼をしている。

 戦いに出た騎士、兵士もそれに倣い最敬礼をした。

 人数を補うために参加したフーカ様を知らない騎士たちは、その様子に眉を顰めた。

 反対側のドアから元帥閣下が降りられ、フーカ様の隣に元帥閣下が立ちフーカ様が一歩下がると彼らも納得したように最敬礼をした。


 「聖女様、枢機卿、お集まりの皆様、私は元帥のケイ・イチロー・ヒシと申します。お待たせしました。もう少しで、元の場所へ戻れます。今一度お隣にどなたがいるのか、その目で確認してください。」


 元帥閣下が、通る声で挨拶をなさった。

 神殿の者たちは、もう少しで戻れるとの言葉に安心したように笑った。

 そして、隣人と微笑み合い、会話をしていた。

 フーカ様が魔導車へ乗り込み、守護壁を展開された。

 魔導車の周囲が薄いベールに包まれ、その外側に強い光を放つベールが現れた。

 そして、目で追えない速さでベールが外へと広がっていった。




 聖女様と話していた枢機卿が消え、足元へ紫煙を放つ魔石が転がった。

 それを聖女様と消えた枢機卿の隣にいた枢機卿が呆然として見つめていた。

 それから周囲を見回し、枢機卿が半数以下になっていることに気が付いたようだ。

 前を見ていた者は驚愕し、話そうとして隣を見てさらに驚愕し腰を抜かした。

 隣人と会話していた者はベールが広がってきた途端に魔石になった隣人に驚愕し、周囲に助けを求めようとして、多くの魔石と服が転がっていることに動揺した。

 阿鼻叫喚状態となったが、守護壁の中なので落ち着くのを待つ。




読んでくださりありがとうございます。

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