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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第20章 深淵とは何か

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 楓花は、鑑定を待った。

 敬一郎が鑑定レンズを向けた。

 そして、目を見開くと顔を強張らせた。

 何が見えたのだろう?


 「ケイさん、リハルドさん、他人にはどう見えるのか知りたいので書き出してもらえますか?」

 「わかりました。」


 A4用紙を1枚ずつ渡した。

 敬一郎はびっしりと書き始めたが、リハルドは半分ほどまでだった。

 書き終えたリハルドは、おずおずと差し出した。 


 ==============================

 フーカ・タチバナ 40才 大和人 死別

 癒しの神女(みこ)・清めの神女(みこ)

 聖なる泉の持ち主

 ヒシフォートクラレンス侯爵家当主の義妹

 ヒシフォート騎士団グリフォン隊相談役

 大魔導士(土・火・水・雷・闇・聖・光の7属性)

 薬師・指導者

 契約獣:グリフォン(サクラ)

 ==============================


 「詳しくわかるのね…。」

 

 巫女が神女になっているのは、表現の違いだろうか。

 私の言葉に、リハルドさんが問いかけた。


 「神女(みこ)というのは?」

 「神に祈りや舞を奉じる女を指します。」

 「祈りや舞ですか?」

 「はい。そういう家に生まれただけですよ。お祭りで奉納舞とかあるでしょう?」

 

 リハルドさんの目が宙を彷徨う。そういう習慣はないのかな?だとしたらピンとこないかも。

 

 「神殿で行われる舞のことだ。」


 敬一郎の声が静かに響いた。

 敬一郎は、書き出した紙を楓花へ渡した。


 私がケイさんを見たのと同じように、かなり詳しく出ていたようだ。

 会釈をして紙を受け取ると、さっと見てバックへ収納した。


 「楓花さんが運ぶ水が、癒しの水になるのは癒しの巫女だったからですね?」

 「そうみたい…自分ではよくわかっていなかったけど。今年は清めの巫女を仰せつかっている影響かも…。」

 「それは、その座にいるのは今だけですか?」

 「う~ん…普段通りでしたら4・5年に1回廻ってきます。」

 「なるほど…」


 敬一郎が難しい顔をしたまま腕を組んで考え込んだ。

 待っていると、エルが桃を切ってくれた。

 紅茶を飲みつつ、桃を食べる。

 口に入れると甘酸っぱくてとろりとしていて美味しい。


 「フーカ様、死別というのは?」

 「それは…夫を亡くしているの。」

 

 リハルドさんが目を見開いて私を見てから、敬一郎さんを見ていた。


 「楓花さんは、結婚していた。国に届けは出していないから、他言しないように。」

 「かしこまりました。失礼な事をお聞きして申し訳ありません。」


 リハルドさんが、頭を下げている。

 困った。

 どうやって話題を変えようかな?


 「楓花さん、リハルド実は…。」


 改まった敬一郎を見て、楓花とリハルドも姿勢を正した。


 「今回の深淵の魔石は、過去数回現れた深淵の魔石と酷似していた。」

 「深淵の魔石って似るの?」

 「最初はそう思ったのですが、こちらをご覧ください。」


 目の前には、過去の深淵たちの魔石を写した絵が並べられた。

 元の獣には関係なく、同じ魔石の形状をしていた。

 何枚も並べられるにつれて違和感が出てきた。


 「3種類の形状ですか?種族か属性か何かで分かれるの?」

 「3種類が交互に現れていると思っているとは思っていました。ただし、これらの魔石は聖神殿での清めを終えると、下の形状になって戻されていました。」

 「え?」

 「形状が違う…。」

 「その通りだ。形状が違う。だがそういう物だと言われてきた。」

 「石なのに変わるの?」

 「おかしいですよね?」

 「ええ、おかしいと思う。」

 「そこで、今回は楓花さんの聖水を使い清めました。映像を出します。」

 

 敬一郎は、定点カメラの動画をテレビへと映した。

 音はなく映像だけだった。

 黒い魔石から少しずつ黒が抜けて透明感が出てきた。


 「形状は変わらないですね…。」

 「そうです。変わりませんでした。」

 「それって…清められずに入れ替えられていたの?」

 「フーカ様、それは流石に…。」

 「楓花さんの言う通りです。差し替えられていました。続きをご覧ください。」


 聖水が抜かれて、新しく注がれた。最初の時は魔石近くにガードが展開されて水が満ちていたけれど、今回は檻の広さにガードが展開されていた。たっぷりの水に浸かった魔石は美しく透明な色に変わった。

 大勢の白い服の人たちが入って来て、魔石を取り囲むと魔石が浸かっていた水が流れ落ちた。

 その瞬間、数人が消えて真っ黒な魔石が落ちた。



 「!?」

 

 楓花とリハルドは、身を乗り出し目を瞠った。

 

 「今のもう一度よろしいですか?」

 「ええ、どうぞ。」


 敬一郎からリモコンを受け取り、何度も戻して再生した。

 

 「この白い人たちは何者ですか?」

 「聖神殿の教皇と神官たちです。」

 「では、この立派な法衣の方が教皇?」

 「そうでした。」

 「他の神官も金糸が入った法衣ですね…。」

 「ええ、聖神殿の聖職者・聖騎士の上位の者たちが魔石になりました。」


 聖職者が魔石に!?





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