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「リハルド、お前を鑑定をしてもいいか?」
「もちろんです。」
敬一郎がリハルドの隣へと座ると、鑑定レンズを向けた。
う~ん…近いなぁ。
敬一郎さんは、背は高いけれど細身だ。細くても体幹がしっかりしているので、ひょろひょろはしていない。
リハルドさんは、肩幅もありがっちりと鍛えた体つきをしている。ここに来てからは自重トレーニングとランニングくらいしか出来ていないはずなのに、体はしっかりしたままだ。
向き合うと、とても絵になる。
敬一郎は、瓶を取り出した。
楓花は、自分が以前渡したヒールベリーのジャムの瓶を見ていた。
どうするつもり?
「リハルド、口を開けろ。」
「はい。」
敬一郎はジャムを掬ったスプーンをリハルドの口へと入れた。
ティースプーンではなく、カレーライスを食べるようなサイズなので結構な量だった。
なぜ急にジャム?
しかも、口にいれちゃうの?
あんなにジャムだけ食べたらいくらなんでも甘そうだ。
言ってくれたらパンくらい出したのに…。
「リハルドさん、お茶をどうぞ。それだけで食べるには甘いでしょう?」
楓花は、リハルドのカップにお茶を注いだ。
リハルドさんは、発光していて思わず声が出た。
「えぇ?」
「これは何ですか?」
リハルドは敬一郎に尋ねたが、視線は自分の手に向けていた。
それを見た楓花は、ギルバートの話を思い出した。
ここまで見てわかるほどに影響があったの?
こうやってヒールベリーが効果を出して人種が変わるの?
「それ…ただのヒールベリーのジャムよね?」
楓花の声が掠れていた。
「以前いただいた物ですよ。ただのというのは同意できかねますが。これを食べて中途半端な状態から確定させたことがあった。リハルドも中途半端で悩んでいるなら、鬼人や真人でも森人でも確定させればいいだろう。」
「ヒールベリーのジャム!?」
リハルドが、楓花を見た。
楓花は、ギルバートから聞いてはいたけれど、心のどこかで否定していた。
他の要因があるはずだと。
そう思わないと自分の仕出かした結果に潰されそうだった。
「ヒールベリーをジャムにしただけよ?」
声が掠れてうまく話せなかった。
「聖水で育ったヒールベリーを楓花さんがジャムにした品ですよ。ただのジャムではありません。」
「ヒールベリーをポーションに使わずにジャムにしたのですか?」
「そうよ。だって沢山収穫出来るの。ポーションばかり作っても楽しくないじゃない。」
「そういう問題ですか?ポーションにしたら売れますよ。」
「それはそうだけど、ここのお金は十分ですから…。」
お金は十分だなんて、聞く人によっては面倒になる言葉を発してしまった。
ポーションも以前よりマシとは言え、十分ではない。
もちろん、今回の戦いには大量に提供している。
高級ポーションや万能ポーションは、受け継いだ品であり自分で作った品ではないけれど、中級は自分で作った品も入っている。
「そんな効果があるとは…ヒールベリーのジャムは美味しいけど、使い道が難しいですね。美味しいって食べるだけでは済まないのはよくわかりました。」
楓花の言葉に敬一郎は苦笑いを浮かべた。
ギルバートさんの変化は、本当に私のジャムのせいだったのだろう。
リハルドはまだ発光していた。
2人はそれを見ていた。しばらくすると発光が収まった。
それから敬一郎は鑑定レンズを向けた。
「リハルド、お前は森人になっている。」
「森人!?それは伝説の森人ですか。」
「そうだ。森人が何を出来て、何を出来ないのかはわからないが、書庫に何かあるかもしれない。探すといい。それと…ギルバートと話してみるといいだろう。」
「伝説の森人って何ですか?」
楓花の問いかけに、リハルドは信じられないという顔をしていた。
森人はギルバートさんで存在を知っていた。だけど…伝説?
「フーカ様、この御恩に報いるよう、必ずやお護りいたします。」
リハルドに守ると言われ楓花は戸惑っていた。
リハルドは、敬一郎の配下だ。そのついでで私を守ることはあっても、今の言い方はそのニュアンスではなかった。
「楓花さん、リハルドの言葉を受けてやってください。」
楓花は、戸惑いながらも頷いた。
「リハルドさんありがとうございます。」
それ以上の言葉は出せなかった。
相応しい言葉が見つからない。
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