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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第20章 深淵とは何か

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9


 「リハルド、お前を鑑定をしてもいいか?」

 「もちろんです。」


 敬一郎がリハルドの隣へと座ると、鑑定レンズを向けた。

 う~ん…近いなぁ。

 敬一郎さんは、背は高いけれど細身だ。細くても体幹がしっかりしているので、ひょろひょろはしていない。

 リハルドさんは、肩幅もありがっちりと鍛えた体つきをしている。ここに来てからは自重トレーニングとランニングくらいしか出来ていないはずなのに、体はしっかりしたままだ。

 向き合うと、とても絵になる。


 敬一郎は、瓶を取り出した。

 楓花は、自分が以前渡したヒールベリーのジャムの瓶を見ていた。

 どうするつもり?


 「リハルド、口を開けろ。」

 「はい。」


 敬一郎はジャムを掬ったスプーンをリハルドの口へと入れた。

 ティースプーンではなく、カレーライスを食べるようなサイズなので結構な量だった。

 なぜ急にジャム?

 しかも、口にいれちゃうの?

 あんなにジャムだけ食べたらいくらなんでも甘そうだ。

 言ってくれたらパンくらい出したのに…。


 「リハルドさん、お茶をどうぞ。それだけで食べるには甘いでしょう?」


 楓花は、リハルドのカップにお茶を注いだ。

 リハルドさんは、発光していて思わず声が出た。


 「えぇ?」

 「これは何ですか?」


 リハルドは敬一郎に尋ねたが、視線は自分の手に向けていた。

 それを見た楓花は、ギルバートの話を思い出した。

 ここまで見てわかるほどに影響があったの?

 こうやってヒールベリーが効果を出して人種が変わるの?


 「それ…ただのヒールベリーのジャムよね?」


 楓花の声が掠れていた。


 「以前いただいた物ですよ。ただのというのは同意できかねますが。これを食べて中途半端な状態から確定させたことがあった。リハルドも中途半端で悩んでいるなら、鬼人や真人でも森人でも確定させればいいだろう。」

 「ヒールベリーのジャム!?」


 リハルドが、楓花を見た。

 楓花は、ギルバートから聞いてはいたけれど、心のどこかで否定していた。

 他の要因があるはずだと。

 そう思わないと自分の仕出かした結果に潰されそうだった。


 「ヒールベリーをジャムにしただけよ?」


 声が掠れてうまく話せなかった。


 「聖水で育ったヒールベリーを楓花さんがジャムにした品ですよ。ただのジャムではありません。」

 「ヒールベリーをポーションに使わずにジャムにしたのですか?」

 「そうよ。だって沢山収穫出来るの。ポーションばかり作っても楽しくないじゃない。」

 「そういう問題ですか?ポーションにしたら売れますよ。」

 「それはそうだけど、ここのお金は十分ですから…。」


 お金は十分だなんて、聞く人によっては面倒になる言葉を発してしまった。

 ポーションも以前よりマシとは言え、十分ではない。

 もちろん、今回の戦いには大量に提供している。

 高級ポーションや万能ポーションは、受け継いだ品であり自分で作った品ではないけれど、中級は自分で作った品も入っている。


 「そんな効果があるとは…ヒールベリーのジャムは美味しいけど、使い道が難しいですね。美味しいって食べるだけでは済まないのはよくわかりました。」


 楓花の言葉に敬一郎は苦笑いを浮かべた。

 ギルバートさんの変化は、本当に私のジャムのせいだったのだろう。

 リハルドはまだ発光していた。

 2人はそれを見ていた。しばらくすると発光が収まった。

 それから敬一郎は鑑定レンズを向けた。


 「リハルド、お前は森人になっている。」

 「森人!?それは伝説の森人ですか。」

 「そうだ。森人が何を出来て、何を出来ないのかはわからないが、書庫に何かあるかもしれない。探すといい。それと…ギルバートと話してみるといいだろう。」

 「伝説の森人って何ですか?」


 楓花の問いかけに、リハルドは信じられないという顔をしていた。

 森人はギルバートさんで存在を知っていた。だけど…伝説?


 「フーカ様、この御恩に報いるよう、必ずやお護りいたします。」


 リハルドに守ると言われ楓花は戸惑っていた。

 リハルドは、敬一郎の配下だ。そのついでで私を守ることはあっても、今の言い方はそのニュアンスではなかった。


 「楓花さん、リハルドの言葉を受けてやってください。」



 楓花は、戸惑いながらも頷いた。


 「リハルドさんありがとうございます。」


 それ以上の言葉は出せなかった。

 相応しい言葉が見つからない。

 


読んでくださりありがとうございます。

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