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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第1章 物語の始まり

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18


 楓花は、2階へ移動して声を掛けた。

 ケントたちが降りてくる。


 「アートンってここで合っていますか?」

 「ええ、アートンです。」

 「信じられない…。」

 「…1日でここに戻ってきたのか!」

 「うおおおおぉぉぉ!!!」

 

 ケントさんとアーサーさんが、雄叫びを上げた。驚いた楓花は、耳を塞いでしまう。

 ルーシーさんは目を潤ませているし、テンさんとハナさんは泣いている。

 まぁ…あれほどの怪我をしたのだから、不安だったのね…。

 

 「すげー声に来てみればお前らか…」


 兵士2人が走ってきた。


 「おぉ、久しぶりだな!」

 「ああ、お帰り早いな。」

 「そうだろう?魔導士様につれてきてもらったのさ。」

 「はぁ!?」

 「おい、あれ見ろよ。」

 「ああ、それにあの紋章って…。間違いなく魔導士様だな。」

 「知っているのか?」

 「まあな…」


 兵士の一人が、門内に走っていく。

 

 「魔導士様、ようこそアートンへ。田舎ですが、歓迎いたします。」

 「ありがとうございます。中へ入るために何か必要ですか?」

 「いえ、ヒシ家の魔導車にお乗りのお方ですので、調べはございません。そのままお進みください。」

 「はぁ…」


 楓花は戸惑ってしまう。

 ヒシ家?

 この軽キャンピングカーは新車だと言っていたけど、この世界に来たことがあるのだろうか?

 

 「あの…なぜヒシ家と?」

 「それは、こちらの紋章でございます。」

 

 兵士が指さしたのは、車のエンブレムだった。

 菱型の枠がついているのに、今頃気が付いた。

 なるほど…特注車なのね…。

 いや、キャンピングカーだし当たり前に特注よね?


 

 「フーカ様、よければ我々のチームハウスに来ませんか?」

 「チームハウス?」

 「はい、天龍の家があります。部屋もあるので…」

 「いえ、お部屋までは…あっ、でもお庭があるなら車を停めさせてもらえますか?できれば数日…。」

 「ええ、もちろんです。いくらでも停めてくれて構いません。それで、ブラックベアーのお肉ですが、今から買い取り所へ向かってもらえませんか?」

 「それはもちろん。」

 

 仕方がないので、ケントさんを助手席に乗せ案内してもらう。

 走り出してすぐはケントさんが大騒ぎをしていた。

 ゆっくりと車を走らせ、買い取り所という建物の前に停める。人々が集まってくる中、二階から大量の肉が降ろされていく。

 買い取り所の職員だろうか?

 人力の2輪車を押してきて肉を数袋受け取ると中へ戻る。それを何度も繰り返していた。

 

 そして、戻ってきたケントさんが手を出すように言ってきた。


 「あの、お金はもういらないですよ?」

 「これは約束の肉の代金の半分だから受け取ってもらわないと。俺たちをここまで運んでもらったし…。」

 「いえ、それはルーシーさんに町を案内してもらうので…。」

 「これは受け取ってくれないと困る。フーカさんは命の恩人だ。」

 「うん、私たちもう帰ってこられないと思っていたし、帰ってきたのは奇跡。フーカさんのおかげです。案内もちゃんとします。」

 

 ルーシーさんがそんなことを言ってくれるので、ありがたく受け取ることにした。

 その日は、街中を抜けて少し郊外にある一軒家の庭先を借りた。

 ここが、天龍のチームハウスらしい。ここで一緒に暮らしているというので驚いてしまう。


 楓花は、改めて2階に入ってみた。

 シャワールームもトイレも使ったはずなのにとても綺麗だった。

 客室のシーツなどもベッドメイクされたように戻っている。

 どういうこと?彼らがこんなに綺麗に戻せるとは思えないのだけど…。


 楓花は、キャビンに戻った。

 運転席からマニュアルを取り出し、ソファーに座って読み始めた。

 一定期間無人の状態が続くとリペアで元の状態になるらしい。

 持ち込まれた物は、入り口近くのベッドの上に集められるようだ。

 つまり、彼らの忘れ物はないようで安心した。

 3階は別で、ベッドと床はクリーンとリペアされるが、他はされないらしい。置いた物は置いた場所にそのままになるという。

 なるほど、住人用のスペースで外2階は来客用なのだろう。

 楓花は、とりあえず人里に来る事が出来て安心していた。

 

 

  



読んでくださりありがとうございます。

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やっと初の人里へ到着しました。

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