*閑話* 楓花の友人② *繊細な方は読まないでください。
祝205238pv♪
20万pv超えました♪
読んでくださる皆さまに感謝です。
でも、相変わらずの繊細な問題に触れています。
苦手な方は飛ばしてください。
野乃花さんが、ベビーベッドにいた赤ちゃんを連れてきてくれた。
ぷくぷくした赤ちゃんを見せてもらう。
目が大きいけれど、服で口元が隠れていた。
「抱っこする?」
「いいの?ちょっと待って、手は洗わせてもらったけど…念のため」
楓花はバックからアルコールを取り出して手に刷り込んだ。
それから手を出して、赤ちゃんを腕に抱きしめた。
首を支えて受け取るが、ずっしりと重くて温かい。
「うわ~かわいい。ふにゃふにゃだぁ…。」
「一応首は座っているけどね。」
「そっかそれでも、気を付けるよ。」
座ったまま抱いているので、転ぶこともない。
それにしても、なんて柔らかくていい匂いがするんだろう。
「優希っていうの。」
「ゆうきくん?よろしくね~。ふうちゃんって呼んでね。」
「まだ早いよ。」
「そうだけどね。早く覚えて欲しくて…。」
楓花は、抱っこしている優希の顔を眺めていた。
大きな黒目に見つめられている。
赤ちゃん独特な大きな黒目だ。
ぷくぷくした頬も可愛い。
だけど…唇の数か所に傷跡がある。
ついそっと撫でた。
「やっぱり気になるよね…。」
野乃花は涙目をしていた。
「あ、ごめん。つい触っちゃった。」
「それはいいの。私の子に触ってくれるのは嬉しい。」
他人が触れるのを良しとしない親が多いのに、嬉しい?
信頼されていての言葉なら嬉しいけれど、違うかもしれない。
抱っこしている時点で触っているけれど、それと傷跡に触れるのは意味合いが違う。
不安定なのは、これが原因だろうか?
「実はさ、うちの親も向こうの親も優希を他人に見せるのは、もっときれいに治ってからって…だから、身内以外は楓花さんが初めてなの。それに、向こうの親は優希に会いにも来ない。きれいに治らないと会いたくないって、親戚にも会わせないって…。」
「なんでそんなことを?」
「うちの子、口唇裂だったの。ミルクを飲むのにも溢れちゃうからって早めに手術した。」
「そうだったの。」
「形を整えたけど、これからまだ手術するかもしれない。」
「そっか、でもきれいに整形されているし、そのうち分からなくなるよ。」
「そうかな?」
「うん。大丈夫。心配しないで、何回も手術する子だっているし、大人になればほとんどわからないよ。」
「だといいけど…。」
野乃花の目元は真っ赤だった。
楓花は、子供の頃から多くの親戚の中で育った。
両親ともに兄弟姉妹が多いので、その子供もそれなりの数がいた。
従弟には、心臓の手術をした子や口蓋口唇裂の子もいた。四肢の一部が不自由な子もいた。
口唇裂自体は、比較的きれいに治るのは経験的に知っていた。もちろん個人差はあるだろう。
だけど、今は皆元気に普通に生活をしている。
自分で働いて、収入を得て暮らしているのだ。
もしかしたら、他人に言わない不自由はあるのかもしれないけれど、それは多かれ少なかれ誰にでもあるものだ。
生まれつきのそれを好き勝手に非難する声も聞いたことはある。
だけど、非難したって意味がない。今後のお付き合いに影響が出るだけだ。
出来る事をしていればいいのに、なぜ他人が外からどうこう言うのか理解できない。
楓花だって事故の後に両手の力が入らなかったので、生活は不自由だった。そうやって後天的に不自由になることだってある。
私の場合は、見た目でわかるものではなかった。「芋の皮をむく」ただそれだけでさえ、持ち上げて作業は出来なかった。
見てわからないからこそ親戚一同の中で料理していたら、何か言われただろう。「横着しないで持ちなさい」くらい言われたはずだ。
エリクサーを飲んで完治したけれど、それまでは工夫でどうにかしてきた。
野乃花は、赤ちゃんを産んでからの事を勢いづいて話し始めた。
旦那さんは協力的なようだが、それでもどこか他人事のように感じているようだ。一緒にいるからこそ、同じ視点で見てもらえない不満が出てくるのは理解出来る。
それに、今までバリバリと仕事をしていた子だ。
1日中赤ちゃんのお世話と家事だけの生活のようだ。大人との会話が夜に帰ってくる旦那さんとだけであり、内容も赤ちゃんのことがメインとなると、ストレスが溜まるのも無理はない。
1時間以上、怒涛のように話すことを聞いて相槌を打ち続けていた。
聖水って魔を祓ってくれるけど、こういうストレスを緩和してくれないだろうか?
無理かな…無理だよね…いや、でも辛そうだ。
どうしたら少し楽になるだろう?
片手で優希を抱き、膝に乗せつつ、野乃花の背中を摩っていた。
摩るのを止めて、自分のバックから水の入ったペットボトルを取り出した。
「とりあえず落ち着いて来た?お水飲もうか。」
「うん、ごめん。ありがとう。」
やっと顔を上げた野乃花は涙でぐしゃぐしゃの顔をしていた。
ペットボトルを受け取り、飲むと少し落ち着いたようだ。
「あ…うちにも水あるのに、楓花さんのお水飲んじゃった。」
「そんなことはいいよ。落ち着いたならよかった。」
「なんかごめん、愚痴って少しすっきりしたかも。」
「愚痴は聞くよ。でも、出来れば子供の前ではやめた方がいいからね。」
赤ちゃんには聞こえているかもしれないけれど、今ならまだ理解できないはず。でも、言葉はわからなくても、記憶のどこかに残ってしまうかもしれない。
野乃花さんは、赤ちゃん用のガーゼのハンカチで顔を拭いた。
涙あとは消えても、目の周りの腫れや赤みはそのままだ。
楓花は、落ち着いた野乃花の腕に優希を戻した。
野乃花の腕の中の優希は、泣きはらした野乃花に小さな手を伸ばしている。
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