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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第19章 楓花の悔恨

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10 (気分が沈む方は読まないでください。)

楓花の苦しい自問自答があります。

落ち込みやすい方は飛ばす事をお勧めします。

読まなくても、大筋に影響はありません。

5日続けて繊細な方にはおすすめ出来ない話が続きます。


 

 「お前は罪深い。いくつ罪を重ねるつもり?」

 「ごめんなさい。」

 「ごめんなさい。」


 「ご主人様。」


 「ごめんなさい。」


 「ご主人様、ご主人様!」


 目の前にエルがいた。

 慌てて起き上がる。

 そうだ、泉の家にいるのだった。

 べったりとした脂汗をかいていて気持ちが悪い。

 魘されていた。

 いつもの夢だけど、実家に帰ったからかより鮮明だった。

 

 「はぁはぁ…」

 「おはようございます。お水を召し上がりますか?」

 「ん…ありがとう…。」

 

 声が掠れていた。

 コップを受け取り、飲み干した。

 コップを返すと、お代わりだと言って冷たいコップを渡された。


 「冷たい…。」

 「きっとさっぱりします。」

 「うん…ありがとう。」

 

 飲んでいると目元が熱い。

 泣いていたみたいだ。

 きっと酷い顔をしているだろう。

 楓花はショールを頭から被ってシャワーを浴びに向かった。


 

 

 「楓花の旦那様は、愛されているのね。楓花は生きているのだから、償うべき罪があるはず。」


 あの事故から2~3か月が経った頃、母に言われた言葉だ。

 神道からは外れた考え方だ。

 仏教のどこかの宗派だったか、それとも…別の神のことだったか…。

 母は、いつもの通りに適当なことを言ったはずだ。

 もしかしたら、あまり考えずに小説か何かのセリフを流用したのかもしれない。私が早まることがないように釘をさしたのだと思う。

 だけど、それは酷い言葉だ。

 母の引用元の使い方はわからないが、私になんの罪があるというのか。

 そう思うけれど、もしかしたらと思ってしまうものだ。

 


 他意はなくとも他人を傷つける言葉はたくさんある。

 言葉をどんなに選んでも、受け取り手次第なのだ。

 わかっている。

 わかっているのだ。

 でも、夫を亡くし、お腹の子も失い、私自身も利き手の握力をほぼ失っていた。

 それでどうにか生きていかなくてはならない状態で言われたのだ。

 それもその状態を見ている母に…。

 ショックだった。

 私の泣き言に嫌になったのだろうとも思う。

 だけど、それはあの時に言うべき言葉ではないはずだ。

 あの母はいつだって、言わなくていいことを言ってくる。


 

 「ご主人様、何かお手伝いしましょうか?」

 

 エルの声に、慌ててシャワーを止めた。

 タオルで体を拭いて、バスローブを羽織る。

 

 「エル、髪を乾かしてもらえる?」

 「はい。かしこまりました。」


 エルは、余計な事は言わない。

 頭に巻いたタオルを外すと、乾いたタオルで髪を拭いてくれる。

 私が、顔や首へと保湿剤を塗っている間に、毛先にオイルを塗ってくれる。

 顔にパックシートを広げて手で押さえていると、髪をドライヤーで乾かしてくれた。

 髪を乾かす時には、手で髪を梳く。それが頭を撫でられているみたいでほっとする。

 ヒシフォートへ顔を出さなくてはならないけれど、今は気分じゃなかった。

 戦いは終わった。

 聖水もいらないのだから、私が必要な仕事は多くないはずだ。

 それから、ぐるぐると同じことを考えては打消し、また考えるループに入ってしまった。

 2日間、エルに部屋まで食事を運んでもらい過ごした。

 3日目になってようやくリビングへと向かった。


 「リハルドさんお久しぶりです。」

 「フーカ様、お久しぶりです。お世話になっています。」

 「ここは勝手が違うことが多いと思いますが、不自由はありませんか?」

 「いろいろな便利な造りに驚きますが、慣れてきました。あまりにも過ごしやすくて、自分の屋敷に戻って生活できるのか不安になるほどです。」

 「必要な物で足りていない物はありますか?」

 「もし可能でしたら、木剣でいいのであると助かります。今のままでは体がなまりそうで…。もちろん、まだ武器を持たせられないと判断なさっているなら従います。」

 「木剣ですね。ご用意します。」

 「ありがとうございます。」

 

 リハルドさんは、ウッドデッキで筋トレのようなことをして、外を走り始めた。

 野原のスペースを走っている。

 ここでダラダラと過ごしてもいいのに、そうしないで自分を追い込んでいるようだ。それに加えて、川下に造られた温泉にも入りに行っている。

 水をよく飲んでいるのは、早く現場に復帰したいのだろう。

 

 楓花は、アートンへ行き、天龍のチームハウスへ顔を出した。

 それから依頼をし、アーサーの伝手で木剣と一般的な剣を手に入れ、泉の家へと戻った。

 リハルドさんは温泉に入ってきたようだ。


 「リハルドさん、こちらをどうぞ。」


 リハルドさんへ木剣と一般的な剣を渡すと目を輝かせた。

 やはり、騎士様だから剣から離れているのは辛かったのだろうか?


 「それと、もし良かったら獣狩りに行きませんか?」

 「獣狩りですか?ここにいなくていいのですか?」

 「そろそろ飽きません?魔の森に狩りに行こうと思って。ここに戻らないといけないので、4~5時間程度ですけど、お手伝いしてくれますか?」

 「そういうことでしたら、喜んで。」

 「一度アートンへ向かって、ケントさんやアーサーさんと合流しますね。」

 「私がご一緒してよろしいのですか?」

 「問題ないですよ?それに、私のガード内なら魔人になったら消えてしまうのは、リハルドさんです。」

 「皆さんにご迷惑を掛けずに済みますね。安心してご一緒出来ます。」

 

 リハルドから出たのは、苦しいほど割り切った言葉だった。

 楓花には、返す言葉が見つからなかった。

 リハルドさんの気を紛らわす提案が、彼に諦めや割り切りをさせてしまったのかもしれない。


 エルが防具を出してくれた。

 重要な部位は金属だが、それ以外は丈夫そうな皮が使われている。

 動きやすさを優先した防具だった。

 

 「リハルドさん、こちらの防具を使ってみますか?それとも、全身鎧がいいですか?」

 「獣狩りでしたら、こちらを使わせてください。」

 「剣は使えそう?もっといい物もあると思うけれど…。」

 「いえ、こちらで十分です。騎士団で使っている剣と遜色ありません。」

 「そうなの?それならよかったわ。」


 リハルドさんを車に乗せ、空間移動でアートンへ向かった。ケントとアーサーを乗せると、魔の森のいつもの湖へと空間移動した。

 ルーシーたちを呼ばないのは万が一に備えてだった。

 魔人になったら消えると分かっていても、懸念事項がある以上は避けたかった。


 楓花たちは、久しぶりにトラウト釣りを始めた。

 20分ほどの間に、数匹の釣りを楽しめたが、その後はブラックベアーや角ウサギがガードに攻撃をしてきたために、狩をする。

 ケントとアーサーは相変わらずの連携で、楓花とリハルドは2人のサポートをした。そのうちに複数個所から攻撃を受けたために2手に分かれた。

 楓花は弓を使い、リハルドは剣を使った。

 

 数体を仕留めたところで、囲いを付けて名札を付けたバケツを用意し、解体ナイフに任せた。仕留めた獣は、重いのでいつも通りにバックに収納し囲いの中へと運んだ。

 楓花にとっては4カ月ぶりの獣狩りだった。


 これでやっといつものルーティーンに戻れそうだ。

 それから、連日にわたり二人を迎えに行っては、狩をしてまたアートンへ送った。

 

 午後の狩りの時間以外は、ぼんやりと過ごしていた。

 やるべきことはあるけれど、そんな気になれなかった。

 考えてばかりはよくないけれど、どうしても考えてしまう。

 それでも、自宅にいては悪い方に考えてしまうので、泉の家で過ごした方がましなのだ。


読んでくださりありがとうございます。

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