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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第19章 楓花の悔恨

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 「信じられない。なんでこんな事に…。」


 楓花は、真珠宮の談話室でソファーへ崩れるように座った。

 その呟きに敬一郎は苦笑いをしていた。

 楓花はだらしないが、背もたれへ背中を預けてしまう。

 

 「リリカを入れたお茶をどうぞ。気分転換になりましょう。」


 ギルバートさんが出してくれたお茶を一口飲んだ。

 レモンティーに似たさっぱりとしたお茶で美味しい。


 「美味しい…。」

 「あの誓いって…前にアシュレイ様にされた時は、光なんて飛ばなかったのに…。」

 「辺境伯は、人間ですからね。」

 

 その言葉にいろいろと聞きたいことはあった。

 敬一郎さんは苦しそうだった。

 だから、何か誤解させているかもしれないと思い当たった。


 「リハルドさんは、大丈夫です。まだ変化の途中なだけで、悪く傾くことはありません。」

 「そうなのですか?」

 「はい。あの暗い赤い瞳を見ると不安になると思いますが、そこまでではないです。だから、安心して養生するように言ってあげてください。」


 ふと顔を上げて周囲を見回した。

 ここには、私と敬一郎さん、それにギルバートさんがいるだけだった。

 私がお茶を飲み干すと、ギルバートさんがお代わりを注いでくれた。


 「旦那様、甘い物をお召し上がりになりませんか?」


 ギルバートが、敬一郎へ菓子を進める。

 敬一郎は、取り分けられたジャムの乗ったクッキーをひとつ食べた。


 「これは…あれか…」

 

 ギルバートがほほ笑む。

 楓花はじーっと見ていた。

 ギルバートさん、不思議なほど若返ったような気がする。

 立ち居振る舞いは今まで通りだけど、肌の艶が違っていた。

 何か特別な事をしたのだろうか?前の方が、渋みがあって好みだったのにとほんの少しだけ残念な気持ちになる。

 違う。そうじゃない。

 今は、リハルドさんの事と真人や鬼人になった方たちの事を話し合わないといけない。

 そう思うのに、現実逃避したい気持ちが強いようだ。


 「ギルバートさん、真人や鬼人って…どういうものですか?彼らが喜ぶ理由がわかりません。」

 

 楓花の声は、掠れていた。

 真人や鬼人がどういう者かは、鑑定で分かっていた。

 だけど、聞きたいのはそれを彼らがどう受け止めるものなのかだ。

 ギルバートは、敬一郎の許可を得てから話し始めた。

 それを見て、敬一郎さんに聞くべきだったと気が付いた。


 「真人は、真なる人と言う意味です。鑑定ではかなり上位の鑑定の才がなければ読み取れぬものです。人間が50年の寿命に対し、真人は100年と言われています。鬼人は、真人よりも上位の人属です。寿命は長く、人間の罹る感染症に強いそうです。過去に大きな感染症が出ても、鬼人は罹らなかったと記録が残っております。」

 「違いはそれだけですか?」

 「フーカ様、寿命が長いというのはそれだけでも価値はあるものです。」

 「そうですか?寿命が長いと言っても、命に関わる怪我をすれば関係ないですよ?」

 「楓花さん…。」


 敬一郎さんに名を呼ばれたけれど、スルーして言葉を続けた。


 「人間じゃなくなって本当に嬉しいのでしょうか?私に気を使っているのではありませんか?」

 「それは違います。この先、10年あるのと50年あるのでは生き方が変わります。長ければ希望が持てるものです。」

 

 それもわからなくもない。

 けれど…心のどこかが引っかかるのだ。


 「フーカ様、私を鑑定してください。」

 「ギルバート?」

 「ギルバートさん?よろしいの?私、結構見えてしまいますよ?」

 「どうぞご覧ください。その上で、旦那様にも知っていただきたい。」


 ギルバートさんに促され、鑑定をした。


 【ギルバート・ドラ・リーシャ、69歳、森人。執事、斥候。】

 

 楓花はそこまでを読み上げた。それ以上は見なかった。

 でも…69歳?それに森人?

 読み上げて驚いてしまった楓花は、ギルバートが驚いた事に気が付かなかった。


 「ギルバートさん、69歳だったのですね。森人とはなんですか?」

 「鑑定なさってみませんか?」

 

 ギルバートの声は少し掠れていたのだが、やはり楓花は気が付かなかった。

 敬一郎は、ギルバートの反応に気が付いていたものの、触れずに見守っていた。

 

 【森人:人属の上から2番目。〇▽→森人→鬼人→真人→人間。森人の寿命はおおよそ400年程度。】

 

 「一番上は文字化けして読めません。人属の上から2番目だそうです。寿命は400年程度だそうです。」

 「400年ですか…。」


 400年…長すぎる。

 ギルバートさんは、何事もなければ残り330年はあることになる。

 人はそれほど長い生を耐えられるのだろうか?


 敬一郎さんは、絶句しているように見える。

 そこでやっと楓花は落ち着いてきた。

 ギルバートさんは、いつも通り穏やかだ。

 


読んでくださりありがとうございます。

リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。


何度も書き直しているうちに、前にも書いたのかわからなくなっています。

重複しているようでしたら、申しわけないですが教えていただけると助かります。

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