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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第19章 楓花の悔恨

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 楓花は、キャビンに戻りシャワーを浴びた。

 ガードがあるから大丈夫だと思うけれど、念のためだ。

 それから、果物の用意をする。

 彼らに追加で聖水を飲んでもらい、1口大の果物を用意した。

 ヒシフォートの部隊には、いつも通り30個の聖水を渡してある。

 今回は長く滞在する予定だったので、予備に20個持っているからそれを使えばいい。

 間に合わなければ、重度の人たちを優先して車へ乗せて泉の家へ連れて行こう。

 

 それから砦に留まり彼らの世話を続けた。

 専用のテントを張ってもらい、そこで生活をしてもらった。

 キャンピングカーから清水が出てくれるのに助けられていた。

 彼らには、清水のお風呂に入ってもらい、聖水を噴霧する。

 それを1日に3度繰り返してもらい、魔を祓った。

 毎日果物も食べてもらい、聖水も飲んでもらった。

 3日繰り返し、聖水の残りが心許なくなっていた。

 リハルドさんやジリアント伯爵など2割近い人たちは、赤目のままだった。

 敬一郎さんと相談し、1日早く切り上げた。


 離れる前に、敬一郎さんへ持っているガードの指輪を渡し、時間の保証は出来ないと説明した上で、結界石を渡した。

 結界石は起動させると、半径5mにガードを張ることが出来る。強さはよくわからなかったが、キャンピングカーと同様に聖水を噴霧すると魔を防ぐことも出来た。


 この戦いが始まってから、何度も読んだ魔に関しての記述を楓花は思い出していた。

 


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 魔に長く触れると魔人になる。

 だが、それまで聖に触れた時間が長い者ほど、それに耐える力があるようだ。

 聖は聖水・神域などだ。

 この世界の人間は体内に魔石を持っている。

 それはとても小さい。これを魔石の核と呼ぶことにする。

 死産の嬰児は3㎜程あり、赤子は5㎜程度。

 庶民は男女ともに1㎝前後まで育つ。

 貴族は、女で2㎝前後、男は2~3㎝前後ある。女より男、高位貴族ほど大きい。

 聖神殿に残されている歴代聖女の魔石は8㎝前後。

 神官は5~7㎝前後、高位になるほど大きい。

 聖騎士は4~7㎝前後、神官や聖女に近い者ほど大きい。

 これらを考えると、教会での聖水との接触回数の差と思われる。

 人として亡くなれば、残した魔石を家で奉る文化がある。

 色は様々だが、生活の影響が大きいようだ。

 魔石の核は、聖に触れると育つようだ。

 大きさに応じて、貯められる魔の限界量は異なる。

 持っている魔石が小さいほど魔人になるのも早い。

 同じ生活をしている家族の場合、子供が最初に魔人化し、その後に母、そして父となる事例が多い。

そのことからも、魔石の大きさが魔人化までの時間の差に影響していると考えて差し支えないだろう。

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 これを参考にあの対応をしたけれど、足りなかった。

 私が出来ることは、もう聖水に浸からせるくらいしかない。


 楓花は、リハルドやジリアント伯爵をはじめとした21人を泉の家へ連れて行った。

 彼らを下ろす前にエルに相談しなくてはならない。

 珍しくエルが家から駆けだしてきた。

 

 「ご主人様!ご無事ですか?」

 

 私をペタペタと触ってくるのは、とても珍しい。

 

 「エル…」


 エルの顔を見て、少し気が緩んでしまったようだ。つい抱きついてしまった。


 「ご主人様、いかがなさいましたか?とても濃い魔の気配がします。」

 「あ…そうだった。」


 エルを抱きしめていた手を放し、一歩下がった。


 「エルにお願いがあるの。」

 「なんでしょうか?」


 いつもとは違う響きは、どこか警戒を含んでいた。


 「エル、魔に侵された人を21人連れてきたの。ここで清めさせてもらえないかな?」

 「ここで清めるとは、具体的にどうなさるおつもりですか?」

 「できれば家に入れたいの。21人も泊るところがないから、雑魚寝になってしまうけど…。」

 「ご主人様、それらを泉に近づけることはなりません。」


 はっきりとした拒絶に悲しくなるけれど、悲しんではいられなかった。

 

 「泉からどのくらい離れた場所なら許してくれる?」

 「そうですね…川のここから先ならば…。」

 

 エルが示したのは、ガードの端の方10m程度だった。

 そのスペースなら、テントくらいは張れるだろう。

 

 「テントを用意します。いくつ必要ですか?」

 「1つで何人くらい眠れるの?」

 「最大で10人程度でしょうか。」

 「それなら3…4張りお願いしてもいい?」

 「かしこまりました。4張りご用意します。」

 「エル、私のせいなの。私のせいで魔に侵されているの…。」

 「ご主人様…。」

 「だからお願い。彼らを助けたいの…。」


 子供みたいだ。

 ただ一方的に要求を突き付けている。

 エルには泉を守るお役目がある。理解しているのに、お願いしてしまう。


 「テントをご用意します。この辺りでしたら、川も5mほどは使えます。体を浄めることも出来るでしょう。」

 「エル。ありがとう!」

 「私は近づきたくありません。彼らから5mは離れるようにお願いします。」

 「5mね。わかったわ。」



読んでくださりありがとうございます。

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