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短いです。
夕食になり、食事をしながらフーカ様は調理担当と料理の話で盛り上がっていた。
周囲はそれを聞いている。
一般的に貴族のご令嬢は料理をしない。
調味料の事にも興味がないものだ。だが、フーカ様は楽しそうだ。どんな風に使うのかを熱く語っていた。
リハルドは、ポーションなど薬草に詳しい延長と考えていたけれど、どうも違う気がしてきた。
日が暮れる頃、エル様がフーカ様を迎えにいらっしゃった。
フーカ様の魔導車に聖木や聖水を積み込むと、砦に向かわれた。
「これから深淵のところか…。」
「こちらからお持ちになられていたのですね。」
「そうだな…。」
「今回のような戦いは、並みの聖女様では出来ませんね。」
ある騎士の言葉に、皆が静まり視線を向けた。
「戻れたとしても、しゃべりませんよ。今まで…教会での清めをありがたく受けてきましたが、あのスプレーはその何倍もの効果がありました。」
「それは…。」
「あの有難い清めの言葉と聖水であったとしても、我々どころかあの日あの場にいた誰かを癒せたとは思えません。」
「それはそうだろうな…。」
「勇者たちの話でも、そんな話は聞いたことがない。」
「我が領の騎士団にも、清めの言葉の後で聖水を受けたが魔物化は避けられなかったと伝わっている。」
「元精鋭の魔物など、恐ろしいですね。」
「それを言えば、ここにいる誰が魔物になっても恐ろしいだろ?」
皆、周囲を見回した。
騎士だけではなく、兵士も勇敢であると名を馳せている者が多い。
だからこそ、接近戦で多くの穢血を被ってしまったのだ。
「考えたくもない。特に剣の武人と名高い大将殿が魔物になったら、止められません。我々が束になっても敵う気がしません。」
「そんなことはないが、どうやら魔人化はフーカ様のおかげで、食い止められそうだ。」
リハルドは赤い目を細めて笑った。
数日後、すっかりここの贅沢な生活に慣れてきていた。
毎日朝昼晩と風呂に浸かり、朝と午後の少しの時間収穫をする。
起床後と夕方には、体を戻すために敷地内を走り、筋力トレーニングをした。
身体の感覚が以前とは異なっていた。
いろいろな物を敏感に感じとってしまう。それに目に映る光景も異なったままだ。いつまでたってもここではキラキラと輝いている。ここが特別な場所で、日常に戻れば普通に過ごせるのだと思っていても、このキラキラとした光景にだけは慣れる感じがしなかった。
日にちの感覚がなくなっていたある日、空気が揺らいだ。
フーカ様がお越しになったようだ。
収穫をやめて、魔導車の元へ行き礼をとって待つ。
フーカ様と閣下が降りて来られた。
「一同整列!元帥閣下に敬礼!」
リハルドが声を上げると、皆の表情は引き締まり走って集合し、軍隊としての敬礼をした。
ここに閣下がお越しになるとは考えていなかった。
「皆、ご苦労。体調はどうだ?」
「おかげ様で、万全の状態です。」
フーカ様の診察を受けた後、リハルド以外は完治と診断された。
ジリアント伯爵は領地に戻るようだが、他の者たちはヒシフォートへ向かうという。
隊員以外の者たちも気のいい者たちだった。
彼らならヒシフォートを守る剣となれるだろう。
皆で天幕の撤収作業を行った。
「隊長、俺たち隊長が帰ってくるまで、守って見せます。」
「ああ、頼むぞ。」
作業を終えると、部下たちがそう言ってくれた。
例え私の帰郷が叶わない約束だとしても、彼らはヒシフォートを守ってくれるだろう。
自分だけが、良いと言ってもらえなかった。
ここまでしてダメなら、流石に戻れないのだろう。
それでも、だれかの介錯をせずに済んだ。
自決するのみと思えば、救われる思いだ。
もしかしたら、フーカ様が出立なさったら、閣下は決断なさるかもしれない。
それならそれで構わない。自分で行い、閣下には介錯をしてもらおう。
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