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「フーカ様、ありがとうございます。」
「魔導士様、助けてくれてありがとうございます。」
ハナとルーシーの2人が、それぞれ頭を下げてくれる。
「いえいえ、治癒力が高くて良かったです。それより裸のままでは風邪をひきますから、服を着ましょう。私はお隣も見てきますね。」
「それなら私も行きます。ハナは自分で着替えられるね?」
「うん、もちろん。」
楓花は、隣の部屋をノックした。ドアを開けると美少年がベッドに座っていた。
「起きていたのね」
ルーシーさんの言葉に、少年が眉をひそめた。
「あんな大声出されれば目が覚めるよ?」
「それもそうね。」
「テン、怪我をしたのは覚えている?」
「うん、もう死ぬって思った…」
「こちら、治療してくれたフーカ様よ。確認するから見せて。」
「フーカです。治療まではできませんが…傷を見せてください。」
「いえ、十分に治療してもらいました。診察お願いします。」
少年は、頭を下げてから服を脱いで右肩を見せてくれた。
こちらも爪痕はピンク色をしているが、薄皮が張っていて治りかけていた。素晴らしい治癒力に楓花は感心していた。
対してルーシーは、その治りの速さに、フーカの腕の良さに感心していた。
ガード内の効果はあるものの、このキャンピングカーの寝台で寝るとその癒し効果は治療レベルまで高まる。
それを知らない楓花とルーシーは、お互いに相手の力だと思っていた。
「これなら安心ですね。でも急に動かないでくださいね。血を多く失っているので、貧血状態だと思います。」
「はぁ…」
「食事の準備をしますので、もう少し休んでいてください。」
楓花は安心して、下へと戻った。
あれだけ顔色もよく、傷もふさがっているなら大丈夫だろう。
あとは、彼らの住処がわかれば、そこに向かってみようか。
ここにいつまでもいたくなかった。
人のいる場所へ行ってみたかったのだ。
それに、全く知らない土地だからこそ、彼らに出会ったのも何かの縁だろう。
もし、彼らに帰るつもりがあるのなら、向かってみたい。町を案内してくれたら、助かるけれど…。
朝食に食パンを焼き、豚肉の生姜焼きを作った。付け合わせは千切りキャベツだ。
飲み物は豆乳でいいかな?いや、怪我をしたならミルクの方がいいかな?
楓花は悩んで、ホットミルクにした。
カップにホットミルクを入れて、斜め掛けのバックへ入れた。
それから、出来上がった料理の皿を5つと焼いたパンを入れたかごも入れる。
先ほど下げてきたポットに新しく沸かした湯を入れた。
それを2階へと届ける。
ルーシーさんとハナさん、テンさんが部屋から出てきて廊下のカウンターテーブルについてくれた。
「お肉のショウガ焼きとキャベツ、それにホットミルクです。ケントさんとアーサーさんはどうしました?まだ寝ていますか?」
「いえ、ブラックベアーの処理に行きました。多分、干し肉やいろいろとしていると…」
「そうですか…」
「どうかしました?」
「いえ、私移動しようと思っていて…」
「そっそうですよね。いつまでもここにいたらご迷惑ですよね。食べたらすぐに出られるように…」
「いえっ、その…それで、もしよければ…これに乗って移動しませんか?ケントさんとアーサーさんの御用が終わるまで待ちます。町の名前を教えてもらえれば行けるので、できればその…町の案内をしてもらえたらうれしい…」
楓花は、だんだんと声を抑えていく。
言いながら、図々しいことを言っていると自覚していった。
「えええええ!?いいの!?」
「ええ、だって…ハナさんとテンさんはまだ動かない方がいいと思いますし…私も移動したくて…」
「私はいくらでも町を案内する!!ぜひ連れて行って!!」
ルーシーは、楓花の手をとり大喜びだ。
そうだよね。お肉を持って移動するのは大変だし…魔法の鞄だと大変じゃないかもしれないけど、そうじゃないなら大変だろうし…たくさんの生肉を持っていくなら袋があった方がいいのでは?それなら、30Lのゴミ袋を積んできたから使ってもらおうか。
ゴミ袋と言っても未使用ならいいよね?
「ブラックベアーのお肉もたくさんあるなら、車の方がきっと楽ですよ。」
「積んでいいの?」
「ええ、袋に入っていれば積んでも構わないです。」
「なんて素敵なの!私声をかけてくる!」
「それなら、ちょっと待ってください。袋をお渡しします。」
楓花は、ルーシーと一緒に降りて少し外で待ってもらい、棚から取り出したゴミ袋をパックごと渡した。
念のために20枚入り1袋だ。5袋持ってきたので、今渡しても足りなくはならないはず…。
いやこのままなら足りなくなる?
でも…きっと帰れるはず。いつまでもこの世界にいるのでは困る。
楓花は、帰れないかもしれないという不安を見ないことにした。
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