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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第1章 物語の始まり

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16


 「フーカ様、ありがとうございます。」

 「魔導士様、助けてくれてありがとうございます。」

 

 ハナとルーシーの2人が、それぞれ頭を下げてくれる。


 「いえいえ、治癒力が高くて良かったです。それより裸のままでは風邪をひきますから、服を着ましょう。私はお隣も見てきますね。」

 「それなら私も行きます。ハナは自分で着替えられるね?」

 「うん、もちろん。」


 楓花は、隣の部屋をノックした。ドアを開けると美少年がベッドに座っていた。


 「起きていたのね」

 

 ルーシーさんの言葉に、少年が眉をひそめた。


 「あんな大声出されれば目が覚めるよ?」

 「それもそうね。」

 「テン、怪我をしたのは覚えている?」

 「うん、もう死ぬって思った…」

 「こちら、治療してくれたフーカ様よ。確認するから見せて。」

 「フーカです。治療まではできませんが…傷を見せてください。」

 「いえ、十分に治療してもらいました。診察お願いします。」


 少年は、頭を下げてから服を脱いで右肩を見せてくれた。

 こちらも爪痕はピンク色をしているが、薄皮が張っていて治りかけていた。素晴らしい治癒力に楓花は感心していた。


 対してルーシーは、その治りの速さに、フーカの腕の良さに感心していた。

 ガード内の効果はあるものの、このキャンピングカーの寝台で寝るとその癒し効果は治療レベルまで高まる。

 それを知らない楓花とルーシーは、お互いに相手の力だと思っていた。


 「これなら安心ですね。でも急に動かないでくださいね。血を多く失っているので、貧血状態だと思います。」

 「はぁ…」

 「食事の準備をしますので、もう少し休んでいてください。」


 楓花は安心して、下へと戻った。 

 あれだけ顔色もよく、傷もふさがっているなら大丈夫だろう。

 あとは、彼らの住処がわかれば、そこに向かってみようか。


 ここにいつまでもいたくなかった。

 人のいる場所へ行ってみたかったのだ。

 それに、全く知らない土地だからこそ、彼らに出会ったのも何かの縁だろう。

 もし、彼らに帰るつもりがあるのなら、向かってみたい。町を案内してくれたら、助かるけれど…。

 

 朝食に食パンを焼き、豚肉の生姜焼きを作った。付け合わせは千切りキャベツだ。

 飲み物は豆乳でいいかな?いや、怪我をしたならミルクの方がいいかな?

 楓花は悩んで、ホットミルクにした。

 カップにホットミルクを入れて、斜め掛けのバックへ入れた。

 それから、出来上がった料理の皿を5つと焼いたパンを入れたかごも入れる。

 先ほど下げてきたポットに新しく沸かした湯を入れた。

 

 それを2階へと届ける。

 ルーシーさんとハナさん、テンさんが部屋から出てきて廊下のカウンターテーブルについてくれた。

 

 「お肉のショウガ焼きとキャベツ、それにホットミルクです。ケントさんとアーサーさんはどうしました?まだ寝ていますか?」

 「いえ、ブラックベアーの処理に行きました。多分、干し肉やいろいろとしていると…」

 「そうですか…」

 「どうかしました?」

 「いえ、私移動しようと思っていて…」

 「そっそうですよね。いつまでもここにいたらご迷惑ですよね。食べたらすぐに出られるように…」

 「いえっ、その…それで、もしよければ…これに乗って移動しませんか?ケントさんとアーサーさんの御用が終わるまで待ちます。町の名前を教えてもらえれば行けるので、できればその…町の案内をしてもらえたらうれしい…」

 

 楓花は、だんだんと声を抑えていく。

 言いながら、図々しいことを言っていると自覚していった。


 「えええええ!?いいの!?」

 「ええ、だって…ハナさんとテンさんはまだ動かない方がいいと思いますし…私も移動したくて…」

 「私はいくらでも町を案内する!!ぜひ連れて行って!!」

 

 ルーシーは、楓花の手をとり大喜びだ。

 そうだよね。お肉を持って移動するのは大変だし…魔法の鞄だと大変じゃないかもしれないけど、そうじゃないなら大変だろうし…たくさんの生肉を持っていくなら袋があった方がいいのでは?それなら、30Lのゴミ袋を積んできたから使ってもらおうか。

 ゴミ袋と言っても未使用ならいいよね?


 「ブラックベアーのお肉もたくさんあるなら、車の方がきっと楽ですよ。」

 「積んでいいの?」

 「ええ、袋に入っていれば積んでも構わないです。」

 「なんて素敵なの!私声をかけてくる!」

 「それなら、ちょっと待ってください。袋をお渡しします。」


 楓花は、ルーシーと一緒に降りて少し外で待ってもらい、棚から取り出したゴミ袋をパックごと渡した。

 念のために20枚入り1袋だ。5袋持ってきたので、今渡しても足りなくはならないはず…。

 いやこのままなら足りなくなる?

 でも…きっと帰れるはず。いつまでもこの世界にいるのでは困る。

 楓花は、帰れないかもしれないという不安を見ないことにした。




読んでくださりありがとうございます。

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