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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第18章 深淵 【リハルド】

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 「おぉ!!」

 「脚が中途半端だと危険です。伸ばしきったら、「カチン」と音が鳴ります。横についているS字の金具を外し、伸ばした脚についている場所に止めてください。」

 「こんなに軽くて簡単に組み立てたのは初めてだ。」

 「まだですよ。脚を固定出来たら、屋根の布を下ろします。内側に紐がついているので、それを結んでください。」

 立派な天幕がひとつ組みあがった。出入り口は布が垂れていて、内側の布を巻いて止める造りの窓も6か所ついていた。

 大きな布が置かれたので、それを天幕の中へ広げていく。

 フーカ様が外で使っている青い敷布の大きいサイズの物だった。

 

 「敷物の上は靴を脱いでください。ブーツを脱いで…ベッドの設置をしてください。」

 

 小さな妖精が、折り畳みの椅子を運んできた。入口の2か所に置き、順番にブーツを脱いでいく。

 

 シートの上には、いつの間にか折り畳みベッドがあった。それを広げていく。

 金属のフレームに、厚みのある布が張ってあった。


 「ベッドだ。これはいいです。地面に寝ているのとは全く違います。」

 

 砦に設置した駐屯地では、天幕でのゴロ寝が基本だった。

 地面は岩場のため、下には土や草を敷き詰め、寝心地よくなるようしたものの、そう良い物ではなかった。それと比べられるはずがないのだ。


 1張りに対しベッドが7台並んだ。

 3張りにはベッドが並び、1張りにはテーブルとイスが並べられた。


 「お先にいただきました。皆さんもお風呂にどうぞ~」


 不意に声を掛けられ、振り向いた。

 緩やかなドレスを身にまとったフーカ様が立っていた。

 

 リハルドは、息を飲んだ。

 エル様とフーカ様は同じように光に包まれていた。

 おそらくは、皆にも見えているはずだ。

 やはり普通のお方ではなかった。

 ありがたい光景に騎士の礼をとった。

 手を合わせて拝んでいる者までいた。

 

 「リハルドさんも、皆さんもやめてください。皆さんは、ここでお湯に浸かってよくない物を出しましょう。」

 「この先、皆さんの料理をするのは難しいので、自分たちでしてもらいます。食材は毎日お渡ししますので、ご安心くださいね。」

 「糧食には慣れているので、鍋などがあれば問題ありません。」

 

 石を組んで竈にすることも出来る問題はない。

 

 「それなら道具を用意しますね。とりあえずは、皆さん順番にお風呂に入ってきてください。出来れば朝晩、可能なら昼も入ってくださいね。」

 

 フーカ様に促され、風呂へ向かった。

 風呂の周りには、いつの間にか衝立がありテント側からは、目隠しになっていた。


 フーカ様が浸かった湯を使うのは、正直恐れ多い。

 だが、暗黙の了解として、地位の高いものから入る習わしだ。

 ここで大将のリハルドが遠慮していては、入れなくなる。

 ジリアント伯爵と共に風呂に入る。

 用意された石鹸で体を洗い、煌めいている風呂へ浸かるのは、少し怖い。本能的なところで震えてくるのは、自分の中の魔が聖水を怖がっているからだろう。

 その恐怖を打ち消し、なんとか湯に浸かると驚くほどに体が清められていった。滲み出ていた魔が消えていく。本当に聖水の湯なのか…。

 なんと有難いことなのか。

 湯に魔が溶けているだろうに、湯が黒く染まる様子はない。

 

 「これはいいな…」

 「聖水の湯とは…」

 

 服は、戦闘後のシャワーを借りた時に用意された服とは別に、もう1組用意してくださった。

 厚みのある同じ色の上下で、柔らかく動きやすい。

 履物は、丸みのある足の甲をひっかけるような靴を頂いたので、ブーツではなくそちらを履いた。

 

 上がってテントのところへ戻れば、屋根だけのテントとフーカ様がよく使っている焼き台が置かれていた。

 鍋も網も用意されており、石を組んで料理するよりもずっといい。

 テントの中には、作業台といくつかの箱が置かれていた。


 「リハルドさん、こちらが料理用のテントです。この箱にはお米と小麦粉、ホットケーキミックスとマカロニ、それとお砂糖とかの粉ものが入っています。こちらには根菜類が入っているので、お好きに使ってください。」

 「こんなに?」

 「こちらは日持ちするので、足りなくなったらエルに言ってくれればいいわ。あとこちらのクーラーボックスにお肉が入っています。温度を上げないようになっていますが、中身を取り出したら、すぐに閉めるようにしてください。こちらは毎日夕方にエルが届けるので、食べてくださいね。」

 「何から何までありがとうございます。」

 「あ、あとこちらに調味料があります。適当に使ってください。」


 フーカ様は説明を終えると、集まっている者たちへ視線を向けた。


 「ここは、守護壁に守られているから、戦いはありません。あまり緊張せずに過ごしてください。」

 「はい。」


 戦いがないといっても、いつ守護壁へ攻撃を受けるかなどわからない。

 いついかなるところでも、周囲へ警戒をするようにしてきた。

 フーカ様がおっしゃったとしても、それは変わらない。


 「フーカ様、何か我らに出来ることはありませんか?こちらで過ごしている間、ずっと風呂に浸かっているのも難しいです。」

 「そうですよね。」


 フーカ様が困った顔をして、エル様を見た。



読んでくださりありがとうございます。

リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。


スエットの上下とサンダルです。

たぶん、ドラッグストアとかで売っている安物です。

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