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「おぉ!!」
「脚が中途半端だと危険です。伸ばしきったら、「カチン」と音が鳴ります。横についているS字の金具を外し、伸ばした脚についている場所に止めてください。」
「こんなに軽くて簡単に組み立てたのは初めてだ。」
「まだですよ。脚を固定出来たら、屋根の布を下ろします。内側に紐がついているので、それを結んでください。」
立派な天幕がひとつ組みあがった。出入り口は布が垂れていて、内側の布を巻いて止める造りの窓も6か所ついていた。
大きな布が置かれたので、それを天幕の中へ広げていく。
フーカ様が外で使っている青い敷布の大きいサイズの物だった。
「敷物の上は靴を脱いでください。ブーツを脱いで…ベッドの設置をしてください。」
小さな妖精が、折り畳みの椅子を運んできた。入口の2か所に置き、順番にブーツを脱いでいく。
シートの上には、いつの間にか折り畳みベッドがあった。それを広げていく。
金属のフレームに、厚みのある布が張ってあった。
「ベッドだ。これはいいです。地面に寝ているのとは全く違います。」
砦に設置した駐屯地では、天幕でのゴロ寝が基本だった。
地面は岩場のため、下には土や草を敷き詰め、寝心地よくなるようしたものの、そう良い物ではなかった。それと比べられるはずがないのだ。
1張りに対しベッドが7台並んだ。
3張りにはベッドが並び、1張りにはテーブルとイスが並べられた。
「お先にいただきました。皆さんもお風呂にどうぞ~」
不意に声を掛けられ、振り向いた。
緩やかなドレスを身にまとったフーカ様が立っていた。
リハルドは、息を飲んだ。
エル様とフーカ様は同じように光に包まれていた。
おそらくは、皆にも見えているはずだ。
やはり普通のお方ではなかった。
ありがたい光景に騎士の礼をとった。
手を合わせて拝んでいる者までいた。
「リハルドさんも、皆さんもやめてください。皆さんは、ここでお湯に浸かってよくない物を出しましょう。」
「この先、皆さんの料理をするのは難しいので、自分たちでしてもらいます。食材は毎日お渡ししますので、ご安心くださいね。」
「糧食には慣れているので、鍋などがあれば問題ありません。」
石を組んで竈にすることも出来る問題はない。
「それなら道具を用意しますね。とりあえずは、皆さん順番にお風呂に入ってきてください。出来れば朝晩、可能なら昼も入ってくださいね。」
フーカ様に促され、風呂へ向かった。
風呂の周りには、いつの間にか衝立がありテント側からは、目隠しになっていた。
フーカ様が浸かった湯を使うのは、正直恐れ多い。
だが、暗黙の了解として、地位の高いものから入る習わしだ。
ここで大将のリハルドが遠慮していては、入れなくなる。
ジリアント伯爵と共に風呂に入る。
用意された石鹸で体を洗い、煌めいている風呂へ浸かるのは、少し怖い。本能的なところで震えてくるのは、自分の中の魔が聖水を怖がっているからだろう。
その恐怖を打ち消し、なんとか湯に浸かると驚くほどに体が清められていった。滲み出ていた魔が消えていく。本当に聖水の湯なのか…。
なんと有難いことなのか。
湯に魔が溶けているだろうに、湯が黒く染まる様子はない。
「これはいいな…」
「聖水の湯とは…」
服は、戦闘後のシャワーを借りた時に用意された服とは別に、もう1組用意してくださった。
厚みのある同じ色の上下で、柔らかく動きやすい。
履物は、丸みのある足の甲をひっかけるような靴を頂いたので、ブーツではなくそちらを履いた。
上がってテントのところへ戻れば、屋根だけのテントとフーカ様がよく使っている焼き台が置かれていた。
鍋も網も用意されており、石を組んで料理するよりもずっといい。
テントの中には、作業台といくつかの箱が置かれていた。
「リハルドさん、こちらが料理用のテントです。この箱にはお米と小麦粉、ホットケーキミックスとマカロニ、それとお砂糖とかの粉ものが入っています。こちらには根菜類が入っているので、お好きに使ってください。」
「こんなに?」
「こちらは日持ちするので、足りなくなったらエルに言ってくれればいいわ。あとこちらのクーラーボックスにお肉が入っています。温度を上げないようになっていますが、中身を取り出したら、すぐに閉めるようにしてください。こちらは毎日夕方にエルが届けるので、食べてくださいね。」
「何から何までありがとうございます。」
「あ、あとこちらに調味料があります。適当に使ってください。」
フーカ様は説明を終えると、集まっている者たちへ視線を向けた。
「ここは、守護壁に守られているから、戦いはありません。あまり緊張せずに過ごしてください。」
「はい。」
戦いがないといっても、いつ守護壁へ攻撃を受けるかなどわからない。
いついかなるところでも、周囲へ警戒をするようにしてきた。
フーカ様がおっしゃったとしても、それは変わらない。
「フーカ様、何か我らに出来ることはありませんか?こちらで過ごしている間、ずっと風呂に浸かっているのも難しいです。」
「そうですよね。」
フーカ様が困った顔をして、エル様を見た。
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スエットの上下とサンダルです。
たぶん、ドラッグストアとかで売っている安物です。




