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短いです。
翌日も、深淵への作戦が行われ、初日程ではないが魔に侵された者たちが増えていった。
作戦終了後、閣下が柵に入ってこられた。
リハルドは慌てて警護に就く。
中に入るときに武器は取り上げられたが、リハルドは体術で万が一には盾になろうと思ったのだ。
「元帥閣下、こちらのテントの140名は大丈夫だと思います。」
フーカ様が閣下をそう呼ぶのは珍しいが、作戦中だからだろう。
「それからこちらの30数名はほぼ大丈夫ですが、念のために、お水をあと1週間続けてもらいます。」
「もたせられますか?」
「手持ちで間に合います。」
すっかり元の目の色に戻り切った140名と、ほんの僅かに赤が残っている30数名の話だった。
残り21名は、リハルドも含めて最初ほどではないが、目が赤かった。
閣下は一度離れ、1時間後に戻ってこられた。
「皆集まって欲しい。」
全員が集まり、閣下の前に整列した。
「約170名については、症状の緩和、もしくは治癒と見做せる。しかしながら、44名について元の部隊への合流、領地への帰還については受け入れられなかった。」
皆が息を飲んだ音が聞こえた。
治癒と見なされた者の100数名はヒシフォートの者だ。
つまり自分の領地に戻れるのは20名程度ということか?
「私の作戦の影響でこのようになってしまい申し訳ない。代わりにはならないかもしれないが、元の雇用条件と同等でよければ、ヒシフォートクラレンスにて雇用出来る。家族を呼び寄せるならば、住居の手配の手伝いもしよう。」
「元帥閣下、質問してもよろしいでしょうか?」
「かまわない。なんだ?」
「住居の手配ということは、ヒシフォートクラレンスへ行って自由に生活出来るのですか?」
「こちらの44名についてはそうなる。緩和の30数名については、しばらくはこちらの管理下で生活してもらい。治癒と断定出来たら自由に生活出来る。」
「おぉ!!」
閣下への質疑応答が続いている中、クリトン辺境伯領の者19名はそっと抜け出して部隊へと戻っていった。
クリトン辺境伯は受け入れたが、他の領たちは拒否したようだ。
騎士として兵士として、故郷へ仕えてきた者だ。
治癒出来たとされているのに44名が故郷から見捨てたのか。
自分たちは領主の剣であり、命懸けの任務ではるが、治癒したのに見捨てるとはあまりにも酷い。
指揮官であるジリアント伯爵は、領軍を副官に任せて治療を受けているが、まだ外へは出られる状態ではなかった。
「症状の重いこちらの21名については、これから場所を移動してもらう。」
皆がどよめいた。
場所を移し、処分されるのか?
それは、仕方ないのだろう。
魔物化せずに済んだ170数名に驚いているが、全員が治るわけではなかった。
170数名が緩和や治癒になっただけでも驚くべきことなのだ。
そうではない方になったからと言って、悲しむこともないはずだ。
フーカ様も治癒師たちも手を尽くしてくれたのだ。
「それでは、彼らを頼みます。」
閣下が、フーカ様へ頭を下げた。
「リハルドさん、皆様こちらを貼りますね。2階に上がってベッドに座って少しお待ちくださいね。」
フーカ様が優しく促してくれる。
最後までこうして人間として優しく扱われるのなら、そう悪いことじゃないはずだ。
フーカ様の弓で逝けるなら、案外苦しくはないだろう。
アーサーやケントが待ち構えていたとしても、彼らなら痛みを感じる時間は短くしてくれるはずだ。
だが、彼らに責を負わせるのは酷だ。
あまりにも申し訳ない。
移動を終えたら、私が介錯すると申し出よう。
リハルドも騎士たちも覚悟を決めて、車に乗り込んだ。
外二階の部屋は、相変わらず清潔に保たれていた。置かれたベッドに座り移動を待つ。
表情が硬いのは、仕方がない。
死を前にしているのだから、仕方がないのだ。
「皆様、降りて大丈夫ですよ。」
フーカ様から許可が下りた。
皆の最期を見届ける。
リハルドは、そう覚悟を決めて魔導車を降りた。
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