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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第1章 物語の始まり

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 ルーシーから見て楓花は、見慣れない髪色と瞳を持つご婦人だった。


 ガードは高度な魔法だ。それを展開しているなら相当に高位の魔導士だろう。

 おそらく30代と思われる落ち着きがあった。特徴的な見た目なのに該当する大魔導士に心当たりはない。

 魔導車の持ち主であり、人の良さそうな顔をしていた。


 魔導士はほとんどの場合かなりの偏屈だ。

 そして、魔法しか使えない魔術師の事は見下す。

 だから、声をかけるのに少しだけ躊躇した。

 でも、勇気を出してガード内に入れてほしいと頼んだだけなのに、2人の治療までしてくれた。

 フーカさんの持ち物はどれも見慣れない物だったが、大きな瓶を取り出し、傷口にかけた時には驚いた。

 

 「ポーションの大きさには驚いたけど、それ以上に大量にかけるから声も出せなかったわ。」

 「それは俺も…あんなに豪快にかける人は初めてみた。」

 「うん、あれはすごかった。つい手を伸ばしたけど、固まってしまったよ。」

 「お湯を入れながらかけていたのはなんでだろう?」

 「さあな?」

 「大量にかけるわ、かけたそばから傷口が小さくなるわで…」

 「うん、あんな治り方するのは初めてみた。」

 「かなりいいポーションだろうな…。」

 「それに綺麗な布を当ててくれたし」

 「ああ、見慣れない袋から取り出したね。」

 「うん…包帯も綺麗だった。2人の顔色もあっという間に赤味がさして安心したもの…」

 「この部屋もそうだけど…夢を見ているみたいだ。」

 「そうだな」

 「そうね」

 「俺たちが魔の森で迷ってもう1週間になる。手持ちの食糧ももう少ないから手詰まりだった。2人の怪我はもう絶体絶命だったはずだ。」

 「うん…そうだね…」

 「それがどうだ?ブラックベアーが手に入り、治療してくれる医者でもある魔導士に出会えた。これは奇跡だ。」

 「うん…」

 「それに、あのシャワーとかいう物もすごい。温かいお湯で頭も体も洗えたし、洗ったら汚れが綺麗に落ちて臭いもしない。」

 「うん、髪もサラサラになったわ。」

 「お湯が出たおかげで2人の体も拭けた。」

 「うん…」

 「私だけかもしれないが…」

 「ん?」

 「うん?」

 「ガードに入ってからも思ったのだが…ここに入ってからさらに癒されている気がする。」


 アーサーの言葉に、ルーシーが同調した。


 「うん…私、ここに入ってから寝てもいないのに魔力が回復してきた。」

 

 ルーシーの言葉に、ケントとアーサーは目を開いた。

 魔術師の魔力は、眠って回復させるか、魔力ポーションを飲むか、魔力草を食べるしかない。残り僅かにしてしまうと全回復には3日かかるといわれている。そのため、魔術師は魔法を使うのに慎重になる。

 それが自然に早く回復するのは、ダンジョンの回復の泉の周辺くらいのものだ。


 「ここは回復の泉と同じ効果があるのか?」

 「そうみたいね。」

 「いわれてみると確かに…小さな傷が消えている。」

 「そうなの?あら、本当だわ。」

 

 アーサーは今朝枝を引っかけて顔に傷ができていた。それが綺麗に消えていた。


 「豪華な料理に、回復の泉の効果か…渡した金では全く足りていないな…。」

 「私たちの手持ちっていくらだったの?」

 「大金貨1枚と金貨5枚に大銀貨10数枚と銀貨に銅貨だ。」

 「それは治療費にもならないわね。」

 「そうだろう?」

 「宿代も、1人当たり大銀貨1枚でいいなんて言っていたが…」

 「ここの設備とこの扱いでそれは格安すぎるわ。」

 「きっと、遠慮させないためだろうな…」

 「そうね。そうじゃないとおかしいもの。」

 「せめて、明日早く起きてブラックベアーを解体して、受け取ってくれるだけの肉を渡そう。俺たちは残りで干し肉を作らないと帰ることもできない。」

 「そうね、そうしましょう。寝る前に2人の様子を見て、濡れタオルを当ててやってから私たちも寝ましょう。」

 「そうだな」


 ルーシーは、寝る前に2人の様子を見に行く。ハナが意識を取り戻していた。


 「ハナ、目が覚めたのね。」

 「うん…ここどこ?宿?」

 「今日は特別に魔導車に泊めてもらえたの。」

 「魔導車?」


 ハナはぼんやりとしていた。うつ伏せ寝だから、顔は見づらい。近づいてみると、顔色はよかった。ハナが動いたので、背中の傷をかばいつつ、手をついて起き上がるのを見守った。


 「座れるなら、湯冷ましを飲める?」

 「うん、のど乾いた。」

 

 ハナはごくごくと飲み干してしまう。

 


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