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楓花は、敬一郎との相談を終えると与えられた部屋へ戻った。
侍女のアンに翌朝7時までは部屋に来ないようお願いをした。
部屋で泊まる予定だったが、ギルバートの話を聞いて泉の家へ移動した。
疲れ果てていたけれど、30分ほどエルと話し、それでどうにか眠りについた。
重くなっていた身体も鈍っていた頭も、翌朝にはすっきりとしていた。
「ご主人様、6時半です。」
エルが起こしてくれたので、ベッドから出て顔を洗った。
着替えてリビングへ行くと、聖水の入った水入り10Lパック10数個と籠いっぱいのペットボトルが用意されていた。
「お水は汲んでありますが、果物だけでもお召し上がりください。」
「うん、ありがとう。」
エルが用意してくれたお水を飲む。
テーブルには、コーヒーとミルク、それに果物の盛り合わせが置かれていた。
イチゴに白桃、イチジクだ。
シャインマスカットは籠に入れてあった。
お皿に盛られたイチジクを食べた。
3種盛りなので、味の薄い物から食べないと味がわからなくなりそうなのだ。
美味しい。ほんのりとした甘みは、大人になってから知った味だ。
ぷちぷちとするのも楽しい。
ここの果物は、食べると元気になれる気がする。
だからこそ、ケイさんは身内以外に食べさせるのを止めるのだろう。
森を進むなら、パンツスタイルがいいだろう。
どう考えても、アニメのようにスカート姿で歩く気にはならない。
鉄板の入った安全靴とキャンピングカーの3階の部屋にある服を着よう。あの引き出しには防御効果の高い服が入っていた。
だけど、出来るなら50年前に経験しているギルバートさんに来て欲しい。
そんなお願いをする立場にはないから、言えないけど…経験があるからこそ言える言葉がある気がしていた。
それに…そもそも私はどこまで手を出すべきだろうか?
この世界の人で解決出来るならその方が良い気もする。
でも、ケイさんは立場上戦うようだから、それを考えると…協力しない選択もしにくい。
獣を狩ることはしてきている。
勢いで戦争にも加わってしまったけれど…平和な大和育ちで、戦う事に慣れている訳じゃない。出来るなら怖い事はしたくない気持ちもあった。
まぁ…昨日の事を考えたら、閉じ込めるくらいは出来そうな気がする。
根本的解決にはならなくても、それで時間を稼げば戦う準備も整えられるだろう。
魔の森にいた大蛇と今回の大蛇、場所は遠く離れているから関係はないのだろうけど、今まで見なかったあれほどの大物が2体現れた事が気にならないと言えばウソになる。
「ご主人様、45分になりました。」
「あっ…。」
まずい、うっかり考え込んでいたみたいだ。
お皿に乗っている桃とイチゴを急いで食べた、それからミルクを飲む。
コーヒーは人肌になっていたので、一気に飲み干した。
「エル、味わえなくてごめんね。」
「いえ、それは構いませんが…」
話ながら、用意してもらったお水を収納していく。
一度ヒシフォートのお屋敷に戻り、ケントさんたちと朝食を摂る。
泉の家で軽く食べているけれど、一通り食べてしまった。
森に入るタイミングを確認してから着替える事にして、動きやすいワンピースを着ていた。下にはスキニーパンツとブーツを履いている。
国軍が出るなら、移動に10日はかかるだろう。
そうなったら、この土日では処理できない。
大和での生活もあるから、こちらに張り付くのも難しい。
ケイさんは分かっているから配慮してくれるだろうけど、忘れているようなら言わせてもらおう。
全員を車へ乗せると、王宮の庭に空間移動した。
昨日と同様、兵士たちに囲まれた。
だが、ケイさんも約束通りに待っていてくれた。
ケイさんが来たので、フードを被り運転席の窓を開けた。
「楓花さん、おはようございます。」
「申し訳ないのですが、各領に使者を出したいので、車へ乗せていただけますか?外2階でお願いしたい。」
「それは構いませんが、私クリトン領とケイさんのところとお隣くらいしか行っていないから、使者さんをお届け出来ないですよ?」
「それで充分です。8割はヒシフォートで下ろし、グリフォン隊が使者殿を送ります。残り2割はクリトン領で下ろし、馬を借りて使者を出します。」
「なるほど、それなら大丈夫です。でも、結構な人数になりそうですね?」
「はい、使者は16人です。泊まる必要はないので、楓花さんには人を運ぶ事をお願いしたい。」
「わかりました。」
ケイさんにシールを渡し、ケイさんが使者たちに貼り付けた。
それから外2階へ上がってもらう。
その代わり、昨日キャビンに乗ったメンバーにはキャビンに入ってもらった。
ソファーでは席が足りないから、ベッドへ座ってもらう。
その日は、クリトン領へ移動して、辺境伯たちと4人の使者を下ろした。
それから、一度ヒシフォートへ戻り、12人の使者とケイさんたちを下ろした。
使者たちが返信を持ち帰るのは、明日・明後日になるらしい。
私が滞在できるのは明後日までだから、使者たちを王宮の庭へ下ろすまでしか協力出来ない。
「ケントさんとアーサーさんは、一度アートンに帰った方が良さそうですね。」
「ん?まあ、いいならそうしたいが…あれ見張っていなくていいのか?」
「それくらい、アシュレイ様がするでしょう?」
「それもそうか?」
ケントさんとアーサーさんが目を合わせて頷いていた。
「戦いの最中に家へ帰るのもどうかと思うけど…。」
「気を張り詰めっぱなしだと、疲れるもの。人が集まらないとどうしようもありませんから、いいのでは?」
「それもそうですね。」
その日は昼と夕方、使者を迎えに行くためにヒシフォートとクリトン領、それに王宮の庭を往復した。合間を見て、ケントさんとアーサーさんをアートンへ送った。
夜は、泉の家へ帰る。
大物と戦う準備中なので、緊張感はあったけれど日常の延長のような物だった。
2日を過ごし、大和の家へ帰った。
彼らの準備を整う時間を考え、余裕を持って火曜日の勤務終了後、森の入り口に集まる約束をした
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