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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第14章 タイトル未定

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8


 食事を終え、準備が整うのを待ち敬一郎は立ち上がった。


 「今からクリトン領の騎士たちを4つのチームに分けここに向かって探索をお願いしたい。我々は、中央を進みます。それぞれ10mずつ離れて進み、魔物を見つけたら笛で知らせましょう。」

 「わかりました。そのように隊を組みましょう。」

 「では、隊長になる方はこちらを身に着けてください。」


 敬一郎は、楓花から預かった指輪を取り出した。


 「こちらは?」

 「ガードの指輪です。一時的ですが、半径5mほどのガードを展開出来ます。指輪を付けた手で同行者を掴んで引き入れると5人ほどは中へ入れるそうです。」

 「そんな魔道具が!?」

 「ええ、今回は危険な任務です。魔を吸い込んでしまうかもしれませんので、こちらを使ってください。ガードを展開後、聖水をかけます。」

 

 周囲の騎士たちから地鳴りのような声が響いた。

 騎士の鎧を整えている間に、天龍と楓花は片づけていく。食器はキャビンに運ばれ、火は土に埋められ、焼き台や机は定位置に仕舞われた。


 それを横目に見ながら、敬一郎はグリフォン隊にも指輪を渡した。その中にはリハルドと騎士2人が入った。




 楓花は5つのガードに聖水を噴霧した後、敬一郎やケントとアーサーにも噴霧した。

 それから、中級ポーションと初級ポーションを渡していく。

 万が一の時に、間に合わないのは困るからだ。


 「フーカ様はこちらへご一緒しますか?」

 「いえ、私たちは別々で大丈夫です。」


 リハルドが唖然としているが、そうなのだから仕方がない。

 敬一郎は、珍しく元帥として軍服を身に着けていた。

 隣国から奪った森の向こう側までの安全を守るのも、任務のひとつだった。


 5つのグループで慎重に森を進んでいく、しばらくすると黒い霧に包まれた狼の群れが襲ってきた。

 各グループは、ガードから出ない範囲で剣を振るい戦った。

 天龍の2人だけが自在に動いて、漏れを相手にしてくれた。

 

 魔の濃度が上がってきた。

 これはまずいかもしれない。

 魔物が近づいてガードに触れると霧散する。剣で仕留めても霧散していた。その分、聖水の力も消耗しているようだ。

 少し先に開けた場所を見つけた。


 「楓花さん、あの場所で車を出してください。」

 「はい。」

 

 楓花は数メートル先へ駆け出し、キャンピングカーを取り出した。

 それから第一ガードを展開した。

 指輪をつけていれば入ることは出来る。

 ガード内に到着すると、グループ扱いのクリトン領の騎士たちにシールを貼った。


 それから、椅子とブルーシートを取り出し、水を2種類出してきた。

 「癒し水」と「聖水」だった。

 

 「こちらの水を飲んでから、こちらの水を飲んでください。」


 敬一郎の指示に、その場にいた者たちが従う。


 楓花さんは第一ガードに聖水を注ぐと、第二ガードを狭く展開し聖水を注いだ。

 じーっとガードを見ているのは、何らかの情報が読み取れるのかもしれない。


 「ナビ、第2ガードを10㎞に展開して」


 楓花さんの声が響くと、周囲からバチバチとはじけ飛ぶ音と地を震わせる咆哮がおきた。

 大いなる何かに触れたようだ。

 

 「ケイさん、何かが来ます!」

 

 楓花はそう言うと、運転席で魔石を補給しているようだ。

 第2ガードがパリンと音を立てて崩れた。

 

 「騎士たち、襲撃に備えよ。大物が来る。」


 5グループに分かれた騎士たちと天龍の2人は、円形に位置をとると外を向き戦闘態勢をとった。


 第1ガードは、車を中心に10mで展開されていた。

 第2ガードが再び展開された。楓花がそれを20mに展開した。そして聖水をドバドバかけている。

 それから、騎士たちの武器にも聖水を噴霧していた。

 構えている騎士たちは驚いたようだが、楓花は気にしていない。


 「第2ガードが壊れたら、皆さんキャビンに乗ってください。ケントさんとアーサーさんが誘導します。ベッドに座るか壁に張り付いてください。」

 「わかった。」


 楓花の言葉にケントとアーサーが返事をした。

 ガードが壊れたら非常事態だ。2階へ上がっている余裕がないということだろう。

普段立ち入れないが、楓花のスペースに逃げる時間しかない可能性が高かった。

 


 咆哮が近づいてくる。

地響きもしていた。


そして…大蛇がやってきた。

 目が3つある大蛇は、灰色の鱗で覆われていた。

 黒い靄をまき散らしているところを見ると、あれがこの森の異変の原因だろう。

 

 敬一郎は、後ろにいる楓花を見た。

顔色を失って青白い。どう見てもかなりの動揺をしている。


 「楓花さん、運転席へ乗ってください。最悪は、貴方だけでも逃げてください。」

 「それは、出来ません。皆で逃げます。」

 

 楓花は弓を構えた。

 矢には聖水をまとわせてあるようだ。


 楓花の弓が放たれたが、胴体へ刺さった。何本も放たれたが頭には届かない。

 騎士たちも剣を振るい、蛇を傷つけるが、致命傷にはなりそうもなかった。

 騎士たちが傷つけたのは、尻尾に近い部位だった。

 そこに楓花は聖水をかけた。


 地が震えるほどの地鳴りが起き、第2ガードが壊された。

 尻尾の黒い靄は薄くなっていたが、蛇が大きくのたうち回っている。

 動かないその尻尾の先をケントとアーサーが切り落とした。

 その尻尾を敬一郎は素早く収納した。


 「すぐに車に乗れ!!」

 

 楓花と敬一郎は、騎士たちと天龍の2人が乗り込むのを確認すると、運転席と助手席に乗った。

 大蛇の体が車を狙って叩きつける瞬間、空間移動をした。




読んでくださりありがとうございます。

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