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食事を終え、準備が整うのを待ち敬一郎は立ち上がった。
「今からクリトン領の騎士たちを4つのチームに分けここに向かって探索をお願いしたい。我々は、中央を進みます。それぞれ10mずつ離れて進み、魔物を見つけたら笛で知らせましょう。」
「わかりました。そのように隊を組みましょう。」
「では、隊長になる方はこちらを身に着けてください。」
敬一郎は、楓花から預かった指輪を取り出した。
「こちらは?」
「ガードの指輪です。一時的ですが、半径5mほどのガードを展開出来ます。指輪を付けた手で同行者を掴んで引き入れると5人ほどは中へ入れるそうです。」
「そんな魔道具が!?」
「ええ、今回は危険な任務です。魔を吸い込んでしまうかもしれませんので、こちらを使ってください。ガードを展開後、聖水をかけます。」
周囲の騎士たちから地鳴りのような声が響いた。
騎士の鎧を整えている間に、天龍と楓花は片づけていく。食器はキャビンに運ばれ、火は土に埋められ、焼き台や机は定位置に仕舞われた。
それを横目に見ながら、敬一郎はグリフォン隊にも指輪を渡した。その中にはリハルドと騎士2人が入った。
楓花は5つのガードに聖水を噴霧した後、敬一郎やケントとアーサーにも噴霧した。
それから、中級ポーションと初級ポーションを渡していく。
万が一の時に、間に合わないのは困るからだ。
「フーカ様はこちらへご一緒しますか?」
「いえ、私たちは別々で大丈夫です。」
リハルドが唖然としているが、そうなのだから仕方がない。
敬一郎は、珍しく元帥として軍服を身に着けていた。
隣国から奪った森の向こう側までの安全を守るのも、任務のひとつだった。
5つのグループで慎重に森を進んでいく、しばらくすると黒い霧に包まれた狼の群れが襲ってきた。
各グループは、ガードから出ない範囲で剣を振るい戦った。
天龍の2人だけが自在に動いて、漏れを相手にしてくれた。
魔の濃度が上がってきた。
これはまずいかもしれない。
魔物が近づいてガードに触れると霧散する。剣で仕留めても霧散していた。その分、聖水の力も消耗しているようだ。
少し先に開けた場所を見つけた。
「楓花さん、あの場所で車を出してください。」
「はい。」
楓花は数メートル先へ駆け出し、キャンピングカーを取り出した。
それから第一ガードを展開した。
指輪をつけていれば入ることは出来る。
ガード内に到着すると、グループ扱いのクリトン領の騎士たちにシールを貼った。
それから、椅子とブルーシートを取り出し、水を2種類出してきた。
「癒し水」と「聖水」だった。
「こちらの水を飲んでから、こちらの水を飲んでください。」
敬一郎の指示に、その場にいた者たちが従う。
楓花さんは第一ガードに聖水を注ぐと、第二ガードを狭く展開し聖水を注いだ。
じーっとガードを見ているのは、何らかの情報が読み取れるのかもしれない。
「ナビ、第2ガードを10㎞に展開して」
楓花さんの声が響くと、周囲からバチバチとはじけ飛ぶ音と地を震わせる咆哮がおきた。
大いなる何かに触れたようだ。
「ケイさん、何かが来ます!」
楓花はそう言うと、運転席で魔石を補給しているようだ。
第2ガードがパリンと音を立てて崩れた。
「騎士たち、襲撃に備えよ。大物が来る。」
5グループに分かれた騎士たちと天龍の2人は、円形に位置をとると外を向き戦闘態勢をとった。
第1ガードは、車を中心に10mで展開されていた。
第2ガードが再び展開された。楓花がそれを20mに展開した。そして聖水をドバドバかけている。
それから、騎士たちの武器にも聖水を噴霧していた。
構えている騎士たちは驚いたようだが、楓花は気にしていない。
「第2ガードが壊れたら、皆さんキャビンに乗ってください。ケントさんとアーサーさんが誘導します。ベッドに座るか壁に張り付いてください。」
「わかった。」
楓花の言葉にケントとアーサーが返事をした。
ガードが壊れたら非常事態だ。2階へ上がっている余裕がないということだろう。
普段立ち入れないが、楓花のスペースに逃げる時間しかない可能性が高かった。
咆哮が近づいてくる。
地響きもしていた。
そして…大蛇がやってきた。
目が3つある大蛇は、灰色の鱗で覆われていた。
黒い靄をまき散らしているところを見ると、あれがこの森の異変の原因だろう。
敬一郎は、後ろにいる楓花を見た。
顔色を失って青白い。どう見てもかなりの動揺をしている。
「楓花さん、運転席へ乗ってください。最悪は、貴方だけでも逃げてください。」
「それは、出来ません。皆で逃げます。」
楓花は弓を構えた。
矢には聖水をまとわせてあるようだ。
楓花の弓が放たれたが、胴体へ刺さった。何本も放たれたが頭には届かない。
騎士たちも剣を振るい、蛇を傷つけるが、致命傷にはなりそうもなかった。
騎士たちが傷つけたのは、尻尾に近い部位だった。
そこに楓花は聖水をかけた。
地が震えるほどの地鳴りが起き、第2ガードが壊された。
尻尾の黒い靄は薄くなっていたが、蛇が大きくのたうち回っている。
動かないその尻尾の先をケントとアーサーが切り落とした。
その尻尾を敬一郎は素早く収納した。
「すぐに車に乗れ!!」
楓花と敬一郎は、騎士たちと天龍の2人が乗り込むのを確認すると、運転席と助手席に乗った。
大蛇の体が車を狙って叩きつける瞬間、空間移動をした。
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