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短めです。
「清草は地下茎を伸ばすらしいの。本の作者によれば、魔が満ちているところに清草を植えると、地下茎を伸ばして繁殖するらしいわ。聖水でも育つから不思議ですけどね…。」
「地下茎?」
「はい、つまり筍のような物です。水場に限るようですけど…。」
「ほぉ…それで、なぜ株ごと持っていたのですか?」
「これは…前回、天龍の皆さんと清草の採取に行った時に、間引きしてきたのよ。地下茎で増えるなら、群生地で間引いてもすぐに元通りになると思って…。」
「ほぉ…」
「隣国との境はなんだか黒くもやもやしているから…。試しに植えてみたの。」
「もやもやですか?」
「はい、だから…家の川で育てている株も持ってきたの。」
家の川で育てている?
家?
それってあの泉の家のことだろう。
「あ!」
騎士の一人が声を上げた。
隊長が川へ駆け寄る。
それを見て、私たちも川へ向かった。
目の前の川の中で、唐突に10㎝置きほどに小さな緑色の草が出て来た。そして見ている間に葉が伸びていく。
「まぁ!これは…清草の川と同じ状態ね。こんなに早く伸びるなんてすごい。」
楓花さんが、なぜか喜んでいる。
「ここまで早く伸びるなんてどこにも書いていなかったのに。」
嬉しそうにはしゃいでいるが、ケントは唖然としている。
何度も目を瞬かせると、川に近づいて岸から3つ目ほどに手を伸ばして草を刈り取った。
「鑑定をしてもらえますか?」
リハルドが鑑定レンズを取り出し、草を見ていた。
「清草(優)です。」
「これで、清草の採取場所は増えましたね。」
楓花さんが弾んだ声で話している。
「フーカさん、これはありえませんよ。」
それまで黙っていたアーサーが呆れたように声を出した。
「清草は、1年をかけてゆっくりと30㎝ほどまで伸びる。月に2~3㎝です。だから、あの採取場所も1度しか行かない。それが、大河を含めてこの辺り一帯の川に清草が群生していて、あっという間に伸びるなんて…。」
「いいじゃない?清草があればそれだけポーションを作れる。」
「それはそうですが…。」
「ここは、普通に来るには遠すぎるけど…冒険者たちの狩場としては、あの山より安全そうよ?あとは…この水が安全なものになっているといいけど…。」
敬一郎が隊長へ視線を向けた。
隊長はそれに応じて、水の鑑定を始める。
「申し上げます。清草より上部の水は…魔水です。」
数人しかいないのに、ざわりとした。
「魔水だと!?」
「はっ。」
敬一郎は、近づいてレンズを見る。
確かに魔水だった。
魔が満ちた場所を通ると、水に含むことはある。
それを飲み、体に魔が満ちた者は魔物になってしまう。とんでもない危険な話だった。下流域にいる住民全員が魔物になっていても不思議ではない。
見た目が水なだけに恐ろしい事実だ。
清草を植えた先の水を見た。
通常の水になっていればいいのだが…。
「ここは、清水か…清草が魔を吸収したようだな…。」
「よかった。それなら、すぐには無理だけど、水を飲んでいるうちに少しずつ清められますね。」
「この一帯は清めたのでは?」
「はい、清めましたが…飲んでいる水が汚染されていたら、また時間の問題だったのでは?」
「そうですね…。この清草より上は入らないように勧告を出しましょう。」
敬一郎は、川を鑑定していくとレンズを隊長のリハルドへ戻した。
「ここから下は採取してもいいが、上はしないようにとの勧告も付け加えましょう。」
「そうですね。川上だとまだ汚染しているでしょうし、いいと思います。」
楓花さんが笑って同意してくれたが、問題はそこではなかった。
自然と、皆の視線が山へと向かった。
「川は、あと2本あります。そこに草を植えたら、大本を探ったほうがいいかもしれませんね。」
楓花さんが呟いたのを受けて、その場にいる全員が頷いた。
「そうすると…、やはり植える手伝いをしていただけますか?」
「もちろんだ。私は、クリトン伯に話をしてくる。リハルドと騎士たちは残って楓花さんの手伝いをしてくれ。」
敬一郎は、自分のグリフォンに乗り、辺境伯の元へ向かった。
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