12
シャワーから戻ってきたルーシーが輝いて見えて、ケントとアーサーは呆然としてしまう。
「ルーシー…」
「え?何?いい女でしょう?」
「ああ、驚いた。」
ケインの言葉にルーシーが殴った。
そう言ってしまうくらい輝いて見えるのだ。
「あなたたちも浴びておいでよ。本当に気持ちいいから。」
「アーサー先に浴びてこい。」
「わかった。では、先に借りる。」
アーサーがシャワーに入り、体を洗った。ケインがシャワーに入っている間に、アーサーとルーシーは脱いだ服を洗いに湖へと向かった。
いくらシャワーでお湯が出るといっても、無限ではないだろう。
服ぐらいは湖の水で洗っておかないと…。
楓花は、1階へ降りて夕食の準備に取り掛かった。
訳が分からないで戸惑っているうちに、人を泊めることになってしまった。あれほどの怪我をしている人たちを放っておくこともできなかった。いくら風が和らいでいると言っても、外は寒い。弱っている人には酷な環境だ。
洋風な見た目の人たちだったけれど、ごはんだと食べられないかな?
パンはあるけれど、厚切り食パン2斤だけだ。
あの冷凍庫と冷蔵庫にあんな機能があるならもっとたくさん入れたのに?
いや無理か…そんなにたくさん買えない。
ここのところお金を使いすぎていて、2000円ほど不足のためにカードの引き落としができなかった。通知を見て慌てて振り込んだのを思い出した。金庫のお金は使いたくないし、来月大丈夫なのか不安。
いや、それを言うなら、そもそも家へ帰られるのかもわからない。
もしかしたら、もう2度と戻れないかもしれない。
帰り方がわからない。
そうだとしたら、どうにかこの世界で生きていかないとならない。
考えても仕方がない事を考えるのはやめよう。
まずはお客様をもてなさないと!
何を作るかな…さっき捌いてもらったウサギ肉を焼いて、あとはトラウトを焼けばいいかな?食べ慣れない物よりは、彼らが食べ慣れた物がいいだろう。
外で焼いたのは美味しかったけれど、暗くなってきたので竈に行くのは怖い。
キッチンでいいか…。広くなったキッチンには電気コンロが2口もついていた。
電気ケトルでお湯を沸かした。
ウサギ肉に塩コショウをさっとして、フライパンで焼く。
もう一つフライパンを出してトラウトを2匹焼く。
その間にパンの厚切りを2枚4等分に切りかごへ入れた。
梯子を上って届けるから運びやすさ優先だ。
トラウトを大皿にのせて、しょうゆを軽くかける。
冷蔵庫から取り出した袋のミックスサラダを別の皿に盛りつけた。そこに焼けた肉を切り分けてのせた。
野菜は足りないかもしれないけど、これ以上は用意する気力はない。
でも、寝ている2人の目が覚めた時に食べられるものもほしいだろう。
楓花は、スクランブルエッグを作り、少し放置する。
その間に厚切りパンを2枚に切り分けた。
そこにマヨネーズを塗り、スクランブルエッグをのせてマヨネーズをもう一度かけて薄切りにしたパンで挟む。ラップで包んでおく。
もう1枚も2枚に切りシーチキンに千切りキャベツとマヨネーズを合わせた物を挟んだ。
ラップのまま4等分に切り分ける。
それは深さのある皿に切れ口を上にして並べた。
A3サイズの斜め掛けバックにお皿を横に入れてみた。多分これも何かの細工がある。
さすがに軽すぎるし、入りすぎだ。
これで取り出して無事だといいけど…。
取り出してみると、何の変化もない。問題なさそうだ。
バックを横にして、料理の乗った皿を入れていく。
ケトルの湯を保温ポットに移し、バックへと入れる。
カップを5つ、北海道オニオンスープのスティックを5本入れた。
取り皿を5つとフォークも用意した。
楓花は、バックを肩から掛けると、キャビンから出て梯子を上った。
上に行くと、ルーシーが気の抜けた顔で座っていた。
シャワーに入ったらしく髪が濡れている。濡れた金髪が輝いていて綺麗だ。
「お待たせしました。お食事持ってきました。」
「え?食事?」
「すげー気持ちいい。」
ケインさんが出てきた。
「フーカさん、ここすごいな。魔導車ってこんな宿みたいに…」
「そんなわけないでしょう。初めて見るわ。」
ルーシーさんが、あきれたように言いながらケインさんを叩いた。
何かにつけて叩くのね、仲がいいのかな?
「お待たせしました。」
「あっ…シャワー?とかいうのを使わせてもらいました。お湯が出るなんてすごいですね。」
「そうですか?サッパリしました?」
「はい、このふわふわの布も気持ちがいいです。」
「あるものはどうぞ使ってください。持ち帰りは困りますが、使うために置いてあるので大丈夫ですよ。」
「こちら料理ができたので召し上がってください。大皿盛りなので、分け合って食べてくださいね。」
楓花は、魚料理と肉料理の皿を取り出し、パンを入れたかごも取り出した。
保温ポットを交換し取り皿、カップも取り出した。
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