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「お待たせしました。」
「とんでもない。とても居心地がいい。」
「お茶入れますね。お湯を置いていくので、おかわりはご自由にどうぞ。」
楓花は、ティーバックを3つ開けてカップに入れると、お湯を注いだ。
「こうやって揺らすとお茶が出てくるので、適当なところで取り出してください。」
「はぁ…」
楓花はティーパックを入れた籠を置いた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
ケインさんがお茶を受け取り、もう一人にも渡した。
ルーシーさんはあちこち見ていた。
「ルーシーさんもお茶をどうぞ」
「お茶!?ありがとう。」
ルーシーさんが座ってお茶を手にした。
カップを持ち上げるのを見ていた。
口に合うだろうか?
「美味しい…」
ルーシーさんのしみじみとした言葉に嬉しくなる。
「お口に合ったようでよかったです。」
「合います。とても美味しいです。」
「皆さん食べられない物はありますか?」
「え?いえ…食べられない物なんてありませんが…」
「それなら、お夕食作りますね。お時間かかるので、こちらを使ってシャワーでもどうぞ。」
楓花は、森で出会った人達に2階を解放し、招いた彼らにシャワーを勧めた。
「シャワー?」
「お湯を浴びて体を洗ってください。」
「はぁ?」
「お湯?」
「えっと…こちらへどうぞ。」
楓花は、シャワーを知らない様子の3人を連れて奥へ行った。
3人がシャワーを浴びるくらいの水はあるだろう…多分。使えないならこんな造りはしていないはず。
楓花は左側のドアを開けて見せた。
「ここがお手洗いです。蓋を開けて用を足したら、横にあるペーパーでお尻を拭いて右横のレバーを手前に引いてください。」
「はぁ…」
「ここで手を翳したら水が出てくるので、洗えます。ここにあるのは手洗いソープです。」
「はぁ…」
「それで、隣のこちらが…脱衣室とシャワーです。」
お湯の温度は42度になっているので、お湯だけで浴びられるだろう。
「これがリンスンシャンプーでこっちがボディソープです。」
「リンス?ボディー?」
「えっと、石鹸は使わないですか?」
「石鹸なの?」
「はい、こっちが頭用で、こっちは体用です。」
「液体なのね?どのくらい使えばいいの?」
「髪を洗うならこのくらい。体を洗うのも同じくらいかな?」
「なるほど…本当に使っていいの?」
「もちろん、あと上がるときにはこれで体拭いてください。」
「ふわふわ!?」
フェイスタオルに驚いているようだ。
普通の布とタオルでは織り方が異なるから、布しかないのなら無理もないかもしれない。
「では、順番にどうぞ。」
楓花は食事の準備のために下へ降りていった。
「ねぇ…魔導車ってこんなにいろいろな機能あるの?」
「いや、聞いたことねえな…」
「俺も初めて見ました。このお茶…かなりいい品ですね。」
「そうよね…いい香り…。」
「いや、そもそも茶なんてそうそう飲める物じゃないって…」
「うん…」
「まぁいいわ。私はシャワーを浴びてみる。頭用の石鹸なんて初めて使うもの!」
ルーシーは、うきうきとしながらシャワールームへ消えていった。
ケントとアーサーは顔を見合した。
「まぁ、使っていいというなら使わせてもらおう。」
「ああ、だが…全然見合わないな…」
「そうだな。」
ケントが、自分の手を見つめて実感するかのように頬を叩いた。
それを見ているアーサーは、握った手の内側で爪を立てていた。痛みが現実だと教えてくれる。
「ついさっきまで死ぬか生きるかの瀬戸際だったのにな…。」
「ああ、あのガードを見た時には助かったと思った。」
「…。」
「フーカさんは、気の良さそうな姉さんでとても大魔導士様には見えねえ…。」
「それはわかる。」
「だから、つい甘えたことを言ったわけだが…。」
「あの治療には驚いたな。ポーションをあんなに大量に使うのには驚いた。」
「ああ、しかもすぐに効果が出るなんてな…。」
「そうだな。あれだけの傷と出血なら、普通は…助からない。腕なら切り落とせばいいが、体をやられたらだめだ。」
「普通は…な…。」
「そうだ。普通はな…。助けられるなんて…夢みたいだ。」
「ああ、俺たちもな…」
「そうだな。それに、やっと目的のブラックベアーが手に入った。毛皮と牙や爪を持ち帰って、肉は干し肉にして持ち歩ける。きっと、家まで帰られるさ。」
「なぁ…この魔導車で町まで、いや近くの集落まで連れて行ってもらえないか相談してみないか?」
「それは…ずうずうしいだろう。」
「そうだけど…」
「一晩泊めてくれるだけでも、俺たちは救われた。」
「わかっている。だが、テンとハナは動けるようになるには時間がかかる。」
「それは…そうだな…。」
「もう最高、すごかったわ。」
ケントとアーサーが真剣に話し合っているところに、ルーシーが賑やかに出てきた。
汚れてくすんでいた金髪がキラキラと輝いている。
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