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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第13章 穏やかな日常

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 「ハサン、治療師も他のスタッフもまずは食事をしてください。」

 「すいません…これは?」

 「マカロニ入りスープと木の実ウサギ肉のソテー、茄子とキノコのソテー、サラダです。」

 「すごく美味しそうです。」

 「美味しいわよ。しっかり食べてください。」


 それから、治療師たちとスタッフは交代しながら食事を始めた。

 楓花は、食事を終えたハサンと共に病室を見て回る。


 「病室にいるのは、重病人や治療後の様子を見る必要のある患者たちです。基本的には家へ帰り、また来てもらうほうが多いですが、それが心配な人だけは泊まってもらっています。」

 「いい考え方だと思います。彼らの食事は?」

 「それは、家族が用意します。」

 「そうですか。」

 

 楓花は、診断をする能力はないけれど、鑑定で状態はわかる。

 ポーションを使った患者は軒並み栄養が足りていない。

 体を補修するには、栄養が必要なのだろう。無からは何も生み出せない。

 

 「ハサン入院患者からは次回から追加費用をもらいましょう。それで一日3回飲み物を出してください。」

 「飲み物ですか?」

 「はい、薬代として追加でもいいと思いますが、食事とは別です。」

 「わかりました。」

 

 楓花は、プロテイン飲料を取り出した。

 粉末の大袋だ。

 念のために1袋だけ持っていたのだ。

 再現が難しいから、買うしかないけど1日3回スプーン1杯分ずつ飲んでもらおう。


 「コップ1/3の冷ました白湯にこれをすりきり1杯分入れて溶かします。これを1日3回飲んでもらいましょう。」

 「わかりました。」

 「それで、治療が優位に進むか確認しましょう。」


 「万能薬を飲ませた患者には、1日後から白湯を飲ませ問題がなければ飲ませるようにしましょう。」

 「はい」

 「それまでは、絶食です。ご家族には何も食べさせないように伝えてください。喉が渇いたら、口を潤す程度の白湯を飲んでもらいましょう。」

 

 楓花は、念のために買っておいた吸い口を取り出した。

 体を起こさなくても飲みやすい容器だ。


 「これを使ってください。これを使って口を潤すだけにしてもらってね。」

 「かしこまりました。」

 「では、私は外に止めた車にいますので、何かあったらドアのボタンを押してください。」

 「はい。」

 「手を出してください。シールを貼ります。これで、1日だけ車の外側に近づけます。」

 「え?車の外側?」

 「はい、基本的にガードを展開しているので、近づけないの。」

 「そりゃあまた…」

 「では、車に戻りますね。」

 「はい、ありがとうございます。」


 楓花がキャビンに戻ると、リリーがベッドで眠っていた。

 起こさないように、ベッドとの間の仕切りを閉めた。


 やっぱり、いろいろと知識が足りなすぎる。

それに、プロテイン飲料に近い日持ちする物も用意しないと、せっかくのポーションの効果が無駄になりそうだ。

 楓花はルーフベッドに転がり、そんなことを考えていた。


 翌朝、楓花は朝食の支度をアーサーたちに任せて治療院へ入った。

 昨夜プロテイン飲料を飲ませただけで、かなり状態が改善されている。

 万能薬を飲ませた患者は、内臓は完全に修復されたようだ。

 

 「この方に、昨日の粉を3杯分飲ませてください。」

 「はい、すぐに。」

 

 楓花は、外に出て焼きあがったばかりのオムレツを受け取り、患者の元へ戻った。

 

 「これを食べてみましょうか。」


 患者の家族に渡して食べさせてもらう。

 患者はぺろりと食べ終えた。

 プロテイン飲料と卵を食べ終えた患者は体を抱えた。すぐに肉が盛り上がってきた。昨日の万能薬の効果がまだある?

 手足が完全に戻るわけではないけれど、傷口が盛り上がり綺麗に塞いだ。

 

 

 「これは…。」

 

 ハサンが呆然と私を見た。患者のご家族も私を見る。

 やってきた治療師たちも患者を見て、私を見た。


 「さすがは万能薬ね。驚く効果だわ。」

 「は!?」

 「ば…ば…万能薬ですか!?」

 「はい、万能薬です。」


 治療師たちは、驚いたようで固まっている。


 

 「先生、それはいったいおいくらの請求を?」

 「ん~?そうね…お支払い出来るなら、高級ポーションの4倍くらい?」

 「たったそれだけですか?」

 「それでも高額よ?普通に支払うのは大変では?」

 

 ご家族が問いかける。


 「あのおいくらですか?」

 「金貨56枚ですが、先生…本当に?たったそれだけでいいのですか?高級ポーションでさえ、オークションでは金貨100枚ですよ。」

 「いいじゃない?私が勝手に使ったので、支払えないなら…。」

 「お支払いする!」

 

 患者が叫んだ。

 

 「もう死ぬしかなかった。それが、手足をここまで治してもらえた。こんな奇跡に値段をつけるのもどうかと思うが、金貨56枚はなんとか支払える。命があれば、なんでもできます。」

 「あの、支払える時にここに支払いに来てくれればいいです。ですが、仕事は人のためになることをしてください。罪になるようなことをした対価でお支払いを受けたくありません。」

 「もちろんです。」

 「息子の俺が支払う。俺は漁師だから、おやじの船で稼いでくる。」

 「はい、それなら安心しました。あ…そうだ。私、アシュレイ様から釣りの許可もいただいているの、港へ行くこともあると思うから、よろしくお願いしますね。」

 

 楓花は、のほほんとそんな挨拶をした。

 

 「は?釣りですか?」

 「はい、何が釣れるか楽しみですね。」

 

 楓花は、安心したので治療院をあとにした。




 領主館へ挨拶を済ませると、楓花は港へ向かった。

 天龍がいるから大丈夫だと言ったのに、断り切れなかった。

 辺境伯の騎士たちに警護されながら、埠頭で釣り糸を垂らした。

 大和から持ってきた釣り具で、糸を遠くまで飛ばす。

 鯛や鯵のような魚がよく釣れた。


 鯛のような魚の鱗を取り、3枚卸にしてから、持ち上げ光に透かして寄生虫を探した。

 大丈夫そう?

 念のために鑑定をイメージして確認するが、寄生虫はいないようだ。

 有害物質もないか一応鑑定した。

 水道水でよく洗い、皮に熱湯をかけて湯引きにし、氷水につけてから薄く切り分け刺身にした。

 生姜とわさびの薬味と細ネギの小口切り、醤油、それから、皿に盛りつけただけ、魚を並べて塩とごま油をかけたもの、塩とオリーブオイルをかけたものを用意した。


 「生魚?」

 「はい、寄生虫はいなかったので大丈夫ですよ。苦手なら無理せずに。」

 

 ケントの問いかけに答えつつ、楓花は少しずつ皿に取り味見をした。

 あまりの歯ごたえとおいしさに表情が緩む。


 「美味しいですよ。虫がいると大変なことになりますが、今回はいないので大丈夫です。」

 

 ケントが恐る恐る手を伸ばし、一切れ食べて信じられないって顔をした。

 

 「うまい…。」

 「でしょう。」

 

 楓花は気を良くして、お刺身を食べる。

 それを見ていた、他のメンバーも食べ始め、食べられないのはリリーさんだけだった。

 いつもの焼き台を取り出し、枝を入れて火を着けた。


 海鮮バーベキューと言いつつ、魚と一緒にお肉も焼く。

 鯵のような魚は、味もよく似ていた。

 ピンクオークの肉は、通常のオークより臭みが少なく、うまみの強い豚肉そのものの味だった。


 見張りにいる騎士の方たちにも声をかける。あたりを警戒しつつ、交代で食べてもらう。

 

 大勢でわいわいと食べるのは楽しい。

 釣りをして、バーベキューをして、海を満喫していた。

 

 鯛や鯵の半分ほどは、冷蔵庫に入れて保管する。

 魚と書いたバケツにも入れたので、少しは売ることも出来そうだ。

 片付けをしていると、大きな船が港に入ってきた。



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