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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第13章 穏やかな日常

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5


 アーサーたちもウサギ集めに加わっていたが、山が3か所に作られていた。

 それでも時折集団が襲い掛かってきていた。


 この辺りには木の実ウサギの巣が地中に4つほどあった。

 山に行っていたウサギは戻れなくなっていて、各巣の1/3は壊滅状態だった。増え過ぎていたところに楓花が来たので、強制的に間引きされてしまっていた。地上にいた木の実ウサギは、肉にされ、地下のウサギは深い場所へ押し込められてしまった。

 

 「すいません、ちょっと多すぎて全てを解体するのは厳しそうなので、丸のままバケツに入れてもらえますか?」

 「わかった。」

 「ララさんたちは、採取を続けてくださいね。」

 

 楓花が大声でお願いすると彼女たちは手を挙げて答えた。

 

 木の実ウサギ丸ごとの札を貼ったバケツを3つ用意した。ひとつのバケツに集めるのも離れていて面倒なのだ。各山積みをそれぞれのバケツに集めてもらう。

 楓花がブルーシートに入ると、ほぼ解体が終わり仕分けバケツに収まっていた。ナイフを回収し、地面に置いた札を回収すると、ブルーシートをはがした。


 遠目から見ていたルーシーたちは、バケツだけがある状態になんとも言えない表情をする。どうやってあの大量なウサギを解体したのか、聞きたいけれど基本オープンな楓花が隠したのだ。聞ける訳がなかった。

 手分けをしてバケツを運び、時間停止の倉庫の下段の棚へと入れた。もちろん、丸ごとウサギ入りのバケツは入り口直ぐの場所に置いた。

 

 「疲れましたね。天龍の皆さんは血塗れね。先にシャワーを浴びてください。落ち着いたら、移動しましょう。」

 「ああ、悪いね。先にシャワーをさせてもらうよ。」

 

 それから1時間ほど、彼らのシャワーが終わるのを待った。

 待っている間、ララとリリーは採取を続けていた。採取をしながらおしゃべりを楽しんでいるようだ。

彼女たちにしてみれば、3週間ぶりに会っていて話題は尽きない。

 しかも、リリーにとっては、3週間ぶりの同い年の少女との会話なのだ。楽しくて仕方なかった。

 そして、ララにとってのリリーは、いつでも薬師の館に出入りできる環境にいる友だった。自分が知らない事を教わろうと貪欲だった。

 新しい薬を作るときには一緒に学べる2人だったが、日常の環境は違っていた。それぞれが多少思うところがあり、それでもお互いが一番話し合える友人だった。


 楓花は、キャビンに戻ると冷蔵庫から木の実ウサギの肉を取り出した。

 去年の肉という事になってしまうが、時間停止されているので問題はない。

 それよりも、あまりにも大量すぎたので、あれをどうするか天龍と相談する必要があった。

 

 木の実ウサギは大きい。腰ほどの体長があるので、お腹の甲羅を外しても30㎏前後はあった。肉部位は、肝臓や心臓など内臓を合わせると18㎏近くになる。後は骨と毛皮だった。


 冷蔵庫から取り出した肉は1口大にしてあった。ローズマリーと塩コショウをして袋ごとボールに入れて保冷バックへ入れた。冷蔵庫の中では冷えたあと時間停止になるので味が染みないのだ。

 手を洗い、玉葱をスライスして水にさらし、サラダ用にレタスを2玉ちぎり、きゅうりを輪切りのスライスにしていく。

 サラダは、大きなステンレスボールに入れて和える。

 もうひとつのボールに、家で茹でてきたじゃがいもの角切りを入れ、きゅうりを角切りにし、オニオンスライスも入れる。たっぷりのマヨネーズを入れて混ぜ合わせた。それから、ハムの角切りとコーンパックを1つ開けて水を切った物も加えてさらに混ぜる。

 

 「これでサラダ2種類は出来たから、アーサーさんに肉を焼いてもらって、焼き野菜は…椎茸とエリンギでいいかな?」

 「あとは、主食か…。パンでいいかな?」

 

 ドアがノックされた。

 開けると、ケントさんが立っていた。


 「シャワー終わったよ。ありがとう。」

 「それはよかったです。では、出発しますね。」

 「わかった。」

 

 楓花は、外で採取していたララとリリーに声をかけた。キャビンに乗り込むのを待ち、ドアを閉める。

 ケントさんが上に上がってドアが閉まるのを待ってから、楓花は車を出した。


 「ナビ、虹湖へ空間移動して。」

 『かしこまりました。虹湖へ空間移動します。そのままお待ちください。』


 すぐに景色が変わり、虹湖の前に到着した。

 ガードを20mに広げ、みんなが降りてくる。

 

 「フーカさん、焼き台を出しますか?」

 「はい、お願いします。」

 

 アーサーがいつもの事のように聞いてきて、楓花はいつものように返事をした。

 いつも通りの作業だ。

 長テーブルが出され、椅子も用意される。ついいつもの丸椅子を使っていたが、折り畳みの椅子を用意したので背もたれにした。

 

 「あ、こうか…。なるほど。」

 「あ…ごめん、使い方言っていなかったね。」

 「いや、わかったから大丈夫だ。こんなに平になるのはいいね。場所を取らなくて済む。」

 「そうなの、それでも背もたれがあるからいいかと思って。」

 「どれ…うん、座り心地がいいね。」

 「ただのパイプ椅子でも背もたれのあるなしは大きいよね。」

 「それはそうだけど、そもそも魔の森の中で椅子に座る事自体おかしいからね。」

 「それもそうですね。」

 

 そう言いながらも食卓は整っていく。

 楓花はキャビンに戻り、エリンギと椎茸、それに木の実ウサギ肉のローズマリー漬けを取り出した。ルーシーが受け取りアーサーの元へと運ぶ。

 冷たい麦茶を入れたジャグはケントさんが運んでくれた。

 ララとリリーがサラダ2種を運び、皿とグラスとコップを運んでくれる。


 いつもと同じ楽しい時間を過ごした。

 ララとリリーはキャビンに入り、天龍は外2階の部屋へ入った。

 少し寛いでから楓花が、梯子を上ろうと足を掛けると警報音が鳴った。


 楓花が慌てて運転席へ向かう。

 

 『魔石残量あと10%』

 「え?」

 

 楓花は、慌ててマニュアルを開き魔石の項目を見た。


読んでくださりありがとうございます。

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