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翌朝は、おむすびとお味噌汁、卵焼きの朝食を摂ると清草の採取をするために、少し車を動かして川をガード内に入れた。
「この川が清草の育つ場所だ。清草は数か所あるが、ここは一番品質がいい。」
川幅4mほどはありそうだ。
川の水は透明で、中に生えている草が水に流されて揺れているのが見える。
草の長さは30㎝ほどあるので3~5㎝残しで採取すれば良さそう?
「わぁ!綺麗!」
「うん、本当に綺麗ね。」
リリーとララが喜んでいる。
ケントが楓花の隣にやって来た。
「川の中だから、採取に少しコツがいる。」
「そうですね、ここまで水の中だとは…。」
事前に、川の中に入ると聞いていたので長靴を用意しているけれど、思ったより深いかもしれない。踏ん張れるだろうか?
「これは少し危険ね。ララさん、リリーさんは止めておきましょう。」
「そんな。」
二人は採取をしたくて仕方がないって顔をしている。
楓花は、首を振ってから笑顔を浮かべる。
「もう少し身体が大人になってからにしましょう。川の流れは侮れないの。足を取られては危険だからね。その代わり、川沿いのヒールベリーを摘んでもらえますか?」
二人の視線が周囲へと向けられた。
少し離れたところに、ヒールベリーの木が5~6m繋がって生えていた。
「はい!」
自分たちの出来る事があると思って安心したのか笑顔を見せてくれた。
二人とも、薬師にはなれていない。
初級治療師にはなれていた。
素材に触れる事で、素材についていろいろと知ってくれればいいと思う。
清草は、大人4人だけで採取をすることにした。
楓花は、長靴を取り出した。
長靴と言ってもマリンブーツだ。膝ほどもあるタイプだった。
「これで川に入りますか?」
「おぉ…すげーな…。」
「どうやって採取しますか?」
「これは単純に刈り取るしかない。根を残すのと、今後再生するのを考えると根本から2㎝は残して欲しい。」
「わかりました。」
「あと、刈り取って入れるのに水も掬いやすいから、籠を腰に下げた方がいい。そうすると、服が濡れる。」
「そうですか、それならこっちにしましょうか。」
楓花は、ゴムで出来た胴長を取り出した。
靴までついていて、胸元まであるタイプだ。
「これなら腰から籠を下げても濡れません。」
「すげーな…こんな道具あるのか。」
「これ少し重いですよ。」
「そんなことは構わないよ。」
4人でゴムの繋ぎを着ると、籠を腰から下げた。水量は足首から10㎝ほどで踏ん張っていれば流されるほどではなかった。
ケントさんとアーサーさんは、剣も下げている。
「これは、結構腰にきますね。」
「そうだろう。」
「でも、この胴長?のお陰でかなり違うわ。」
「そうかな?」
「この採取はずぶ濡れになるから、大変なの。服が濡れると重いし体力も奪われるの。いつも午前中の1時間くらいで終わらせて、身体を拭いて着替えて、濡れた服を乾かすのだけど、その間にも獣は襲ってくるし…。」
「そうそう。採取はそこまで大変ではないが、水の中だから獣の対処と水から上がってからが大変なのさ。」
「確かに…乾かすことを考えると大変かも。」
「それに、清草は水から上げるとすぐに傷み始めるからね。持ち帰るのは大変さ。」
「そうなの?」
「ああ、鮮度のいいうちに広げて早く乾かすのが重要になる。」
「そうですか…。取り扱いが難しいのね。」
「まぁ、フーカさんには関係ないけどな、バケツに入れて倉庫へ入れればいい。」
「すぐに傷み始めるのでは?」
「すぐったって2時間くらいは大丈夫だ。それもだめだと、俺たちは仕事にならない。」
「それは確かに、そうですね。」
4人で横に並んで、少しずつ採取しながら川上へと進んでいく。
川幅が広いので半分の範囲をしていく。ある程度進んだらスタート位置に戻ってもう半分の採取をした。
午前中だけでは、数十メートルしか進めなかった。
途中何度か籠を岸にいるララ達に渡して、別の籠に交換していた。
「そろそろお昼にしましょうか?」
「そうだな。」
楓花が数か所から根こそぎ引き抜いた。
それをビニール袋へ入れてからバケツに入れる。
これは、泉の家で植えられるのか試すつもりだ。
天龍の6人も、すっかりお昼ご飯という物に慣れていた。
「今までは昼に食事なんて考えなかったが、食べると午後も身体が楽だって気が付いた。」
「そうなの?」
アーサーの言葉に、楓花は首を傾げた。
「ああ、かなり違う。」
「それなら、力のつくものを食べましょうか。」
楓花は、キャビンに戻ると、冷蔵庫から圧力鍋を取り出した。
圧力鍋の上澄みには白い塊が出来ていた。それを慎重に取り外すと丸い1㎝ほどの厚みのある脂が取れた。
「ラードのような物よね。炒め物用にとって置こう。」
楓花は白い塊をビニール袋へ入れて、冷凍庫へと入れた。
脂を取り除いた下には、コラーゲンで固まったゼリー状の煮汁と肉があった。それを火にかけて温めた。
角煮の汁を少し鍋に取り分け、洗った小松菜を入れてくったりとするまで煮た。
小松菜は長いままだけど、噛り付けばいいだろう。
角煮と小松菜を盛り付けた皿の半分に麦ごはんを乗せた。
それから、春雨入りの中華スープも用意した。
「ん?これオークか?」
「はい、煮込みました。」
「すげー柔らかい。」
「うん、それに、この部位は脂が強くて胸やけしやすいのに、平気。」
「ああ、いくらでも食べられそうだな。」
「フーカさん、すごく美味しいです。」
ララさんも気に入ってくれたようだ。
「ちょっと特別な調理方法なの。」
楓花が特別と言うと、ケントとアーサーは苦笑いをした。
いつも変な事をしている楓花なので、それがいう特別というのはとんでもない事だろうと思ったのだ。
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