↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第12章 治療師

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

167/259

2


 治療院の院長であるハサンは、冷静に患者を確認していく。

 治せる可能性は、半分といったところだろうか?

 頭は、中身が大丈夫かどうかはわからない。

 ここで出来るのは、外傷を治す事だ。


 「この傷であれば、中級の癒し水と消毒薬で治せる。だが、頭の中身にどこまで効くかわからないが、高級癒し水を飲ませた方がいいかもしれない。中級の治療なら金貨2枚、高級の治療は金貨8枚だ。」

 「それ以上の治療は出来ないのか?」

 「ここでは難しいな。」

 「ならば高級薬を使ってくれ。それがここで出来る一番の治療なのだろう?」

 「そうなる。治る補償はない。」

 

 ぐっと患者の親は手を握った。

 拳を作り、唇を噛む。

 それからやっと「それでも、試してくれ」と声を絞り出した。


 ハサンは、ふと霧吹きを思い出した。

 意識のない患者に薬は飲ませられない。

 傷をよく洗い、薬ではない、特別な水をひと吹きした。

 それから、高級消毒液を患部に吹きかけ、意識を取り戻したところで高級癒し水を3本飲ませた。

 

 「気分はどうだ?どこが痛い?」

 「え?頭が割れそうに痛い…。」

 「薬を与えたばかりだ。少し様子を見よう。どうしても痛いなら、これを飲むか?」

 

 ハサンが取り出したのは、痛み止めだった。3時間ほどしか聞かないし6時間置かなくてはならないが、これを飲んで眠れるならそれもいいだろう。


 「飲む…。」

 

 辛そうな様子の患者に、薬を飲ませると入院用の部屋の手配をした。

 頭を打ったのなら、急変の可能性がある。


 「今日はここに泊まってください。何か容体に変化があったら教えてください。」

 「泊まり?」

 「ええ、ここであればすぐに手当が出来ます。それに動かさない方がいいでしょう。」

 「そうなのか!?」

 「ええ、頭を打った時には気を付けることが多いのです。」


 

 ハサンは、噛み跡の患者の元へ戻り、様子を確認すると明日来るように言い聞かせて帰した。

 それから、他の患者を診ていた。


 「すいません!息子が震えて!」

 

 ハサンは、治療を終わらせて手を洗って患者の元へ行った。

 痙攣しているので、舌を噛まないように口に布を噛ませる。

 これは、奥の手か。

 ハサンは、金庫から高級ポーションを取り出した。

 頭に高級ポーションをかけて様子を見る。

 スポイトで吸い上げ、両耳から少し注入した。

 耳は脳に近いと習ったので、少しでも脳の修復が出来ればと願っての事だ。

 

 「医院長、それ…」


 同じ治療師達が、呆然としていた。


 「すまない。使った事の証明を頼む。」

 「はい、それは…ですが、それを使うのは最終手段では?」

 「では、この患者が最終手段を使う相手ではないと?頭を強打している。」

 「いえ…そうですね。この様子では…確かに最終手段を使うしかありません。」

 「理解してくれてありがとう。」


 治療師達の反応に、患者の父親が不安そうに声をかけてきた。


 「あの…治療師様、それは何か特別な物ですか?」

 「こちらは、高級ポーションです。」

 「高級ポーション!?そんな物をお持ちだったのですか?」

 「持ってはいますが、これ1本だけなのでね。」

 「高級ポーション…」


 患者の親の手が震えていた。

 高級消毒薬も癒し水も高級ポーションを使って作られているが、そんな事を普通は知らない。高級ポーションに類似した薬と思っているだろう。

 だが、高級ポーションは違う。

 数年に1度オークションに出されては、その価格が新聞記事になるほどの品だ。


 「ありがとうございます。ありがとうございます。息子のために希少なポーションまで、使っていただき。感謝します。何年かけてでも、見合うお代をお支払いします。」


 患者の親が、床に頭を付けた。

 今すぐに支払えないのは当然だ。金額が大きすぎるし、無理に請求しなくてよいと言われてはいた。


 「いえ、治療ですからね。追加でかかるのは金貨8枚です。治療上必要な時は、高級薬の治療費の2倍までです。それより床は綺麗ではありません。患者のためにも石鹸で手を洗ってきてください。」

 「はぁ…そりゃあ、申しわけない。すぐに洗います。」


 患者の痙攣が落ち着いて来た。

 ポーションを口に入れて飲ませる。

 ぼんやりとしてはいるが、苦しさは落ち着いたようだ。

 しばらく、眠ってもらう。


 それから、数時間おきに患者に高級ポーションを飲ませた。数滴ずつしか飲ませられなかったので、ひと瓶飲ませるのに朝方までかかってしまった。

 翌日、患者の顔色は落ち着いて来た。

 さらに翌日には、古傷も消えてきていた。

 

 「もう大丈夫かな?」

 「はい、気分もいいし痛みも治まりました。」

 「まだしばらくは頭がくらくらしたり、痛かったりするかもしれません。家に帰ってもいいですが、トイレに行く以外は寝ていてください。1週間は動かないように。」

 「わかりました。大人しく過ごします。」


 患者は、笑顔で帰っていった。

 患者の親は、金貨16枚を支払い深々と頭を下げていった。

 


読んでくださりありがとうございます。

リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。