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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第11章 日常

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5

 

 「ただいま~」

 「おかえりなさいませ。ご主人様。」

 「エル、苗を沢山持ってきたの…それとね。この草木灰と石灰を畑にまいてから植えるといいらしいの。」

 「そうでしたか。今日はもう遅いですから、明日でもいいですね。ご主人様が忙しければ、こちらで植えますが…いかがしましょうか?」

 「自分で植えたい。」


 楓花は、いつもそうだった。

 シャインマスカットの苗も自分で、穴を掘って植えた。

 日常的な世話は出来ないけれど、最初の株くらいは自分で植えたい。


 「かしこまりました。では、明日にしましょう。すぐに夕食を整えるので、お先にお風呂へどうぞ。」


 エルに促されて、楓花はお風呂へ入った。

 この家は、本当の意味で誰にも干渉されない場所だった。

 だから、お風呂上りは、ノーブラでロングTシャツ1枚なんて気楽な恰好になってしまう。

 自宅にいたら宅急便が来るから、宅急便が来る時間帯は気が抜けない。

 ここでは、その心配もないのだから、思いっきり寛げた。

 髪を乾かしていると、エルが脱衣室へ入ってきた。


 「ご主人様、お待たせしました。夕食の準備が整いました。」

 

 ダイニングへ向かうと、トラウトのソテーと色とりどりの野菜の付け合わせ、サラダと楓花が持ってきたロールパンが用意されていた。

 エルは、妖精なので食べる必要はないらしい。

 ケーキ類だけは、付き合ってくれるのでよしとするしかない。


 サラダを食べ、トラウトにフォークを入れた。表面はカリカリに焼かれているけれど、中はしっとりふわふわだ。絶妙な塩加減でとても美味しい。

 食べ終えると、冷えたシャインマスカットとリンゴの盛り合わせ、紅茶を出してくれた。


 「ん~このリンゴ瑞々しくて美味しいね。」

 

 エルがにっこりと微笑んだ。

 シャインマスカットばかり食べるのもよくないからと、エルは2~3種類の果物をカットして盛り合わせてくれていた。

 それらをありがたくいただいている。


 自分で用意しなくていいというのは、とても楽だった。

 とても贅沢なことだけど、エルにお世話されるのは嬉しかった。


 翌朝は、エルの用意してくれた煮リンゴを乗せたトーストと木の実ウサギ肉のソテーを食べた。

 ヒールベリーを植え付けた川沿いの川向うへと移動する。泉の水を流す用水路を細く数本作る。

 途中まで浅く掘っておくと翌週には、思い描いた深さまで畑の妖精たちが掘ってくれる。

 各区画に、薬草を1種類ずつ植えていった。

 区画の奥行きは100mほど、幅は50mほどだ。円形のガード内なので、場所により奥行きは変わってくるだろう。

 

 「ふぅ…こんなものかしらね。畑の管理お願いね。」


 楓花が声をかけた。畑の妖精の姿は見たことがなかった。

 それでも、声だけはかけておく。



 最後にエルに挨拶をして、自宅へと帰った。

 自宅に着くと車庫に用意をした時計を見ると19時を少し回ったところだった。

 帰りがけにエルが用意してくれたバスケットには、野菜一式とシャインマスカット、イチゴとオレンジなどが入っていた。

 荷物を片付け、冷蔵庫に肉などの食材を入れる。

 明日のお弁当は、冷凍しておいたオーク肉のハンバーグ、切り干し大根煮、朝に卵焼きを焼けばいいだろう。

 お米を研いで、炊飯器にセットした。

 郵便受けと宅配ボックスを確認し、郵便物の仕分けをする。

 

 一仕事を終えた楓花は、お風呂に入り湯上りには、角ウサギ肉の干し肉とモッツァレラチーズ、シャインマスカットをつまみにワインをグラスに注いだ。

 ニュース番組を見ながら、不在の間の社会情勢を確認する。

 

 「ん~…ニュースだから仕方ないけれど、いい話は少ないね。」

 

 ほろ酔い気分で、夫の写真にワインと水を供えた。

 あの世って本当にあるのだろうか?

 イルルジオーネを行き来するようになって、本当にあるのかもとほんの少しだけ思った。


 「さてと…洗濯機回そうかな…。」


 金曜日に帰宅するとすぐに移動しているため、金曜日からの服が溜まっていた。

 それらを洗濯機に入れて回す。

 時間を気にせずに回せるのは、戸建ての利点だった。

 アパートだと夜8時までなどの制限があるので、なかなか難しいところがある。

 ゴミをまとめて、明日のゴミ出しの準備を整えた。

 洗濯物は夜干しになってしまうが、仕方がない。扇風機で風を当てた。


 ベッドに入ると、いろいろと考えてしまう。

 サナは親元で元気だろうか?

 来週は、サナのところへ遊びに行こうかな?

 考えながら、いつの間にか寝てしまっていた。




 目が覚めて、今週からルーティーンを変えることにした。

 月曜日と木曜日は、こちらで過ごす。

 月曜日は、買い物をして庭の畑の手入れとお弁当用の冷凍食を作る日にしよう。

 木曜日は、畑の手入れと週末のために、大量の買い物をする日だ。


 火曜日と水曜日は、帰宅したら泉の家に行き1日を過ごす。

 朝7時に戻るようにして、そこからお弁当を作ればいい。

 とすると…帰宅後は面倒だから、朝のうちに米を研いで冷蔵庫?

 楓花は、日々の段取りを考え始めた。


 

 仕事を終えたので、買い物をして家へ帰った。

 買い物のほとんどは調味料類と魚1人前にきのこ程度だった。

 野菜は、庭の家庭菜園で十分な量が取れているし、肉と果物はイルルジオーネから持ち帰った物があった。エルが持たせてくれる野菜もあるので、かなり野菜は多めだ。

 今日は、お刺身に庭で収穫した茄子の揚げ浸し、きゅうりの浅漬け、ひじきと大豆の煮物だ。

 南瓜が順調に育っていて、もう少しで収穫出来るだろう。

 今までなら、力が入らないので丸のままは困ったけれど、今ならイルルジオーネにもっていけばナイフが割ってくれる。割ってあれば、自分の力でも切れそうなのだ。


 「うん、美味しい…」


 キッチンカウンターには、薄い冷凍容器があった。ひじきと大豆の煮物をシリコンカップに詰めたものを敷き詰めた。

 冷凍庫の同じ容器には、切り干し大根の煮物のカップが3つ残っている。ひじきと切干を交互にお弁当に詰めるつもりだ。

 明日の分のお肉は、角ウサギにしよう。唐揚げにするなら、木の実ウサギは脂が強すぎた。角ウサギの方が冷めてもおいしい。

 あとは、デザートに保冷ポットにシャインマスカットを入れていこう。

 今は、時期なので持っていってもおかしくない。

 スープ用の保温ポットの蓋を開け、洗ったシャインマスカットを入れてラップをして冷蔵庫へ入れた。明日の朝、保冷用の蓋をすれば冷たいまま食べられる。


 まったりと、テレビを見て少しスマホゲームをしながら過ごした。



読んでくださりありがとうございます。

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