↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第11章 日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

160/259

3


 夜は、いつも通り本を読んで過ごす。

 ある晩、楓花は、本を読む手を止めた。

 

 【捕獲バブルは、対象自体にガードを張り、ガート内側からの衝撃に対してガードする。対象を閉じ込めることが出来る。保持時間は、術者による。術者のイメージ力が必要なため、補助用の指輪あり。】


 「へぇ…捕獲バブル…指輪?」


 本の裏表紙に厚みがある。スライド式のレバーが裏表紙の内側についていた。スライドさせて本自体を慎重に傾けると、指輪が3つ出てきた。


 ・捕獲バブルの補助指輪:術者の能力に応じるがガードの展開を補助する。


 「そのままだね…。これも吸収されるのかな?それとも、付け外し可能?」

 

 大和では使えないから、泉の家に行ったら試そう。

 3つ共同じ表記だね。

 だったら、2つは戻しておこう。

 指輪を1つだけとりだし、手に持った。


 バブルか…泡ってことよね?海の中で丸い輪の中で出ようと叩いているイメージがわいてきた。泡だったら弾けちゃう。

 ガードってアニメの影響なのか、楓花のイメージは円形だ。

 円形であれば、内部圧力に強いというのもある。ガスタンクが丸いのは、内部圧力に耐えるためだろう。でも、生き物を入れるなら…呼吸ができないといけない。

 バブルの名前は無視して、弾けないものプラスチックのように固いというよりは、気体を通す布のようなもので丈夫。ゴムのように伸び縮ができるなら、その方がいい。

 そんな素材あったかな?いや、イメージだから、存在しなくてもいいもの?

 楓花は、指輪を持ったまま、水を入れても通さない、気体だけを通す透過膜のような効果がゴム素材で、破れない素材のイメージを膨らませていった。


 

 「とりあえず、この指輪はしまっておこう。指輪ケースは…これでいいかな?」

 

 プラスチックの透明ケースにティッシュに包んだ指輪を入れた。ケースには捕獲バブルの指輪と書いた。忘れないように、キャンピングカーに乗せる。

 



 週末、いつものように金曜の夜に泉の家へ向かった。

 仕事終わりに着くとちょうど深夜だ。

 エルが出迎えてくれるので、挨拶をすると朝8時まで、寝室のベッドで休む。

 

 「ご主人様、朝ですよ。起きられますか?」

 「ん?うん…エルありがとう。」

 

 「コーヒーを淹れますね。」

 「うん」


 長耳の妖精メイドに起こしてもらうとか、本当にメルヘンだ。

 エルはエルだから忘れてしまうけれど、本当は妖精で実態を持たないのよね。


 「ご主人様、どうかしましたか?」

 「ううん、エルがかわいいなと思って…。その衣装ってどうしてその形なの?」


 エルが首を傾げ考えているようだ。

 

 「ご主人様のお好み、もしくはイメージに沿ったものと思いましたが…。どのようなものがいいですか?」

 「今のが、いいよ。似合っている。」

 

 私の好みやイメージか…、私がミニスカメイドをイメージしていたら、そういう姿だったのだろうか?

 エルのこのロングスカートのきっちりした姿が萌えだけど…男性漫画にあるような、ふわふわミニスカメイド服やニーソは…うん、イメージじゃないね。絶対領域の可愛さはわからなくもないけれど、メイド服にはいらないや。


 「そうだ。捕獲バブルって知っている?」

 「捕獲バブルですか?ガード内に持ち込みする時に使いますね。主に獲物に使えます。」

 「へぇ…」

 「ご主人様がお使いになるのですか?」

 「うん、やってみようと思って…補助の指輪もあるし…。」

 「かしこまりました。練習でしたら、バスルームで水を閉じ込めて浮かせてみてはいかがでしょう?」

 「それは楽しそうね。やってみましょう。」


 楓花にとっては、これが初めての魔法らしい魔法の行使だ。

 わくわくしてくる。

 わくわくするのに、年齢は関係ないね。

 若い時は思わなかったけれど、年齢を重ねても気持ちの面では若い頃と変わらない。


 「ご主人様、水を包んで持ち上げるイメージをしてみましょう。」


 指輪を付け、エルのサポートを受けながら、イメージを具現化させていく。

 集中力が必要なようで、結構きつい。脂汗が出てくる。

 初日は、小さな玉を作り浮かせるところで弾けてしまった。

 それすらも5回に1回の成功だ。これでは、まず使えない。

 この家にいる間は、毎日練習することにした。




 

 「シャインマスカットが成りました。ご主人様の持ってきた木の果実です。」


 パンと牛乳とチーズオムレツにサラダの朝食を食べ終えると、エルがシャインマスカットを持ってきた。

 洗ってあるようで水滴がついている。

 

 「大粒に育ったね。」

 「はい、小さい房も込みですが10房できています。」

 「そんなに?たった2本の苗木にしては上等ね。」


 楓花は、大きな一粒を摘まんで口に入れた。

 パリッとした皮が弾け、たっぷりの果汁が溢れてくる。

 うん、この食感がたまらない。間違いなくおいしい。糖度もかなり高そうだ。

 これが楓花にとっては、年に3回も収穫できるなんて、なんて幸せなの。

 苗木を増やそうかな?

 イチゴとシャインマスカットだけは、いくらあっても嬉しい。

 ここの果物はどれも美味しいけれど、シャインマスカットだけは別格だ。


 オレンジのような甘い柑橘類も美味しいし、リンゴも数種類ある。梨も洋ナシも美味しい。巨峰も甘味が強くておいしいけれど、手が汚れるのが難点ね。

 畑では、スイカにメロンも作っていて、果物は豊富に食べられる。とても美味しいけれど、それでもやっぱりシャインマスカットだけは別だ。

 うん、苗木を増やそう。

 せめてあと2本、そうしたら4か月ごとに20房くらいのシャインマスカットが食べられる。それって幸せだ。毎週1房持ち帰れるし、敬一郎さんになら、お裾分けをしてもいいだろう。

 楓花は、聖水で育った特別な野菜や果物をたっぷりと食べている。

 その一口ごとに、ほんのわずかに力が強まっていることには気が付いていない。



読んでくださりありがとうございます。

リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。