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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第11章 日常

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 楓花は、戦争処理を終えヒシフォートで15日目を迎えた。

 こちらにいられるのは、あと1週間はあった。


 薬師の育成などもあり、かなり疲れてしまっていた。


 ライラさんは、慣れない生活で疲れたようで、お屋敷ではメイドたちの世話を受けていた。

 ララさんは、屋敷近くにある薬師の工房へ通い、見習いの仕事を手伝っていた。手伝いも楽しいらしい。

 楓花は、ララさんとライラさんたちを自宅まで送っていく。



 その後、泉の家へ向かい数日を過ごした。

 

 畑の野菜や果物と保管している肉や魚を食べる。

 パンやごはんも補助的に食べていた。

 午前中は、パソコンや読書をして過ごす。時折、外へ出て畑の手入れもしていた。

 午後からは、薬草の研究や薬の制作、ポーションの制作をして過ごす。

 

 「うん、穏やかでいい時間…こういう時間が欲しかった。」

 「ご主人様、お茶のお時間です。」

 「エル、ありがとう。」


 お茶を飲みながら、今度サナに会いに行く時には、どんな玩具を持っていこうと考え始めた。アッシュにも何がいいだろうか?

 自分が子供の頃に遊んだ木の人形や積み木のような玩具はどうだろう?

 それとも…もう少し複雑な物がいいだろうか?

 

 楓花は単純に、どんな玩具なら楽しく遊んでいられるか?を考えていた。もちろん、もっともらしい言い訳をつけて遊ばせるつもりだった。


 玩具で遊んでいた時の親に怒られた苦い記憶が思い起こされた。

 怒られない言い訳を与えたら、夢中になっても怒られないかな?


 

 

 いつも通り、エルと一緒に料理をして準備をする。

 木の実ウサギは、下味をつけて小麦粉をたっぷり塗してから焼くと、肉の油がこんがり焼けていた。カリカリの衣になっておいしい。

 一緒に焼いた野菜と生の野菜を添えれば、立派なひと皿だ。

 パンの代わりは、小麦を牛乳で溶いて薄く焼いたものだ。

 

 「おいしい…」


 口に出して、ふと思い出した。




 「美味しいも美味しくないも口に出してはいけない」


 それは祖母の言葉だった。


 「どうして?言ってもいいじゃない」

 

 学校では、「美味しい時は、美味しいと言ってよい」と学んだ。美味しくないは、個人の味覚だから 「私の口には合わない」程度の表現にすることも学んだけれど、何も言うなとは教わっていない。


 「そんなことを言ったら、料理している使用人の首が飛ぶ。」

 「おばあちゃん、これは私が作ったし、使用人なんていないのに何を言っているの?」

 

 あの時は、ケラケラと大笑いした。

 今思うと、あの頃から徐々に祖母は記憶の混乱を見せるようになっていたように思う。

 今なら、ヒシフォートのお城のような暮らしなら理解できる。

 些細な一言が、評価につながってしまうのは恐ろしい。

 ケイさんは、どう考えて生活しているのだろう?


 祖母は、実家の使用人のいない暮らしをどう思って過ごしていたのだろう?

 旧華族出身の祖母は、ずっと幼い頃の記憶と現状の剥離に不満を感じて過ごしていたように思う。

 ライラさんのように、少しずつ様子を見ながら覚えたのだろうか?

 記憶の奥底にしかいない祖母を思いだそうとするけれど、楓花はもうあまり思い出せなくなっていた。


 

 

 「ご主人様、お茶のお代わりをどうぞ。」


 エルの声に顔を上げた。

 いつもなら、声をかけずに注いでくれている。

 思考の海に沈んでいたからだろうか。この声掛けはエルの気遣いのようだ。


 「エル、ありがとう。おいしい。」

 「それでしたら、よかったです。」

 「そろそろ戻らないと…」

 

 大きく伸びをしてスマホを見る。連休はあと2日になっていた。

 こちらで寝て、帰れば向こうでは朝になる。

 2日か…家の掃除などをしていれば、あっという間だろう。

 向こうの畑も最近は、あまり手入れ出来ていない。

 大和の家の野菜作りは、終わりにするとしても、収穫を終えてからだ。また使うにしても片づけるにしても手入れは必要だ。


 「エル、次に来るのは20日後くらいかな?そこで来なければ…30日後かもう少しあとね…。」

 「かしこまりました。」

 

 エルは感情を表さない。

 頻繁に来ても、来なくても変わらない。

 妖精ってそういうものなのだろうか…。


 

 翌朝、大和へ戻ると朝の10時過ぎだった。

 久しぶりのはずなのに、家に入ってみても、きれいなままだ。

 埃が溜まっているかと思ったけれど、ないみたい…?

 この家にも、キャンピングカーと同じリペアか何かの機能があるのかもしれない。

 布袋を持って、外へ出た。郵便ボックスを見て、広告と封筒やハガキなどにざっくり分けて布袋へ入れる。広告が多いのは本当に迷惑だ。広告であふれてしまえば、ご近所さんから、だらしない家に見えてしまう。

 宅配ボックスは、家の中から取り出せる仕組みだから、覗いてみる。

 母からプリンが届いていた。お土産用のパッケージなので、日持ちのするもののようだ。

 他には、親戚からのそうめんなどもあった。


 お返ししないと…楓花は、こういった儀礼は好きではなかった。

 暑中見舞いやお歳暮は、何を送るべきか悩む。

 自分なら現金がいいけれど…だからと言って、現金のやり取りというわけにもいかない。お酒を飲む家ならお酒、そうでなければジュースのセットを贈る手配をした。




読んでくださりありがとうございます。

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