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誤字報告ありがとうございます。
資格が□になっていました。もはやなぞなぞですね。ご連絡感謝です。
「なんと…ポーションのような物と聖水か…。人と天幕に?よくわからないが…かけるか…」
辺境伯は、自分自身へと吹きかけた。
「閣下!わからないものを使うのはお待ちください。今、鑑定レンズをお持ちしました。」
辺境伯は、妙にすっきりとした感覚に驚いた。
教会から送られてくる聖水とは明らかに違う本物だ。
「失礼します。あ…本物の聖水です。こちらは、初級癒し水に初級消毒薬、初級軟膏だそうです。」
「初級?下級ではなく?」
「はい、初級でございます。」
辺境伯は、籠の中に入った癒し水を取り出していく。10袋も入っていた。
袋の中に液体入りの小袋が20本も入っていた。
手が震えてきた。200本のポーションのような物…これがあれば耐えられる。
これで、なんとか元帥閣下が来る1週間後まで耐えられそうだ。
「前線で戦っている中で、弱っている者にこれを飲ませろ。」
「は」
「こちらの薬を前線と傷病官へ届けろ。使い方は、これを写して…あ…同じ物が4枚もある。これを持っていけ。」
「では、閣下もお飲みください。その前に、私が1本飲みます。」
隣で見ていた騎士団長の言葉は、自分が毒見をするという意味だろう。
元帥閣下が毒を送るとは考えられないが、念のためでもある。
飲む前に、その場にいる全員に聖水を吹きかけた。
1吹きするだけで、誰もが表情が明るく変わった。先ほどの自分のように、重い苦しさから解放されたのだろう。助言通りに天幕にも吹きかける。
癒し水の効果は、劇的だった。
飲んだ騎士団長の顔の傷が、見る見るうちに薄くなった。
信じられないスピードで、傷が癒えていく。
傷を多少治すと書いていたが、これは多少という表現に見合わない。
これは…初級ポーションの癒え方ではなかった。
明らかに、高位のポーションだ。
「は?」
騎士団長が、信じられないという顔をしていた。
「閣下…これは、高位のポーションでは?」
「初級癒し水と呼ぶそうだ。これで前線を持ち直せる。グリフォン隊の到着まで、一週間はかかるだろうが、これで耐えよう。」
「ははっ!」
現場の士気が上がった。
先ほどまでとは、明らかに様子が違う。
辺境伯は、騎士の1人に聖水のスプレーを預け、人々と天幕へ吹きかけるように指示をした。
その日の夜、グリフォン隊が治療師を連れてやってきた。
「こんなに早く来てくださるとは…。」
「かなり無理をさせたので、グリフォンを今日前線に出すことはできない。丘の上に拠点を作らせてもらった。そこにグリフォンを戻すが、重傷者はそちらで治療しよう。」
「それは助かります。拠点はどうぞご随意に…。」
「治療師を連れてきた。どこに向かわせればよいか?」
「前線から離れた場所に救護所を設置しました。そちらへお願いしたい。重傷者もそちらにいます。」
「わかった。案内をしてもらえるかな?」
「もちろんです。」
騎士の一人に、救護所へ案内するよう指示を出した。
「ところで…治癒士ではないのですか?治療師とはいったい…」
「治療師は、先に持たせた薬の扱いに優れた者達だ。治癒師と違い治癒魔法は使えない。」
「そうでしたか…しかし、あの薬の効果は絶大です。怪我が恐ろしいスピードで治っていきました。」
「そうだろう?あれは、薬師たちに作らせた。」
「薬師ですか?薬師というのは…効きもしない下級ポーションを作るのでは?」
「そう思うのも無理はない。だが、我が領では薬師の育成を始めている。彼らには、高位の魔導士が丁寧に教えている。先に送った物は、初級ポーションを使った薬だ。今回持って来た薬は、下級が大半だ。」
「先の物が初級で、今回下級なのですか?」
「緊急だったので先に渡した物は、効果の高い物を用意した。今回、薬師たちは下級と初級ポーションを使った薬を使い治療する。それで無理なら、大魔導士の元へ運び治療を行う。グリフォン隊は10数人しかいない。騎士の戦力としては、少なく補充には心許ない。だが、騎士や兵士のケガが治り前線に戻れたなら、力強いだろう?」
「それは確かにそうです。ですが、グリフォン隊の騎士たちは1騎100人力ともいわれております。」
「ははっ…それは大袈裟だ。戦況を詳しく教えてもらえるか?」
「はっ…」
元帥閣下は、どう見ても成人したばかり、やっと青年に入った年齢に見える。
これで、私より遥かに年上なのだから恐ろしい。見た目に油断した者たちが、少なくない人数いたようだが…この方の戦歴も戦略も超える者などいないだろう。
辺境伯は、現在の状態と実行中の作戦を説明した。
積極的な物ではなく、防衛を軸にしていた。
そこから作戦を立て直し、指揮官を数人ずつ集め、新しい作戦を知らせる。
夜明け前、グリフォン隊が丘の上から飛び立った。そのまま戦艦と山の中へ向かい、攻撃を開始した。
戦艦に落とされたのは、焼夷弾とクラスター爆弾という物らしい。
しばらくすると、戦艦3隻が沈んでいくのが見えた。
その後、山へ向かったグリフォン隊が何かを落とした。
夜明け直前、攻撃に備えていた敵の天幕を狙った攻撃だった。
戦いは、たったこれだけで終わった。
結局、グリフォン隊が全てを塗り替えた。
辺境伯の騎士団たちは、後処理を始めた。
戦艦から逃げてきた者を、陸で待ち構えて捕らえた。
森の敵地へ赴き、彼らの生き残りを捕らえた。
辺境伯と騎士団長が出来る限りの差配をしているうちに、もう時間がないことを自覚し始めた。
寒くて堪らないのだ。いくら初級癒し水を飲んだといっても、ここが限界のようだ。
忙しいと気が付かずに済むのだが、昨日の薬で治った小さな傷と違い、致命傷を避けた傷までは治らなかった。
致命傷ではないが、じっとりと身体の中を蝕んでいく感覚はあった。
だが、今はまだ早い。
「閣下、そろそろご挨拶へ行きますか?」
「そうだな。」
騎士団長の顔は白い。もう体温のコントロールもできていないのだろう。
辺境伯は、自分を棚上げして騎士団長を慮った。
捕虜の尋問などが落ち着くと、辺境伯は騎士団長を連れ、元帥閣下のいる丘の上へと参じた。
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