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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第10章 カライア帝国と港町

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誤字報告ありがとうございます。

資格が□になっていました。もはやなぞなぞですね。ご連絡感謝です。


 「なんと…ポーションのような物と聖水か…。人と天幕に?よくわからないが…かけるか…」

 

 辺境伯は、自分自身へと吹きかけた。

 

 「閣下!わからないものを使うのはお待ちください。今、鑑定レンズをお持ちしました。」


 辺境伯は、妙にすっきりとした感覚に驚いた。

 教会から送られてくる聖水とは明らかに違う本物だ。


 「失礼します。あ…本物の聖水です。こちらは、初級癒し水に初級消毒薬、初級軟膏だそうです。」

 「初級?下級ではなく?」

 「はい、初級でございます。」

 

 辺境伯は、籠の中に入った癒し水を取り出していく。10袋も入っていた。

 袋の中に液体入りの小袋が20本も入っていた。

 手が震えてきた。200本のポーションのような物…これがあれば耐えられる。

 これで、なんとか元帥閣下が来る1週間後まで耐えられそうだ。


 「前線で戦っている中で、弱っている者にこれを飲ませろ。」

 「は」

 「こちらの薬を前線と傷病官へ届けろ。使い方は、これを写して…あ…同じ物が4枚もある。これを持っていけ。」

 「では、閣下もお飲みください。その前に、私が1本飲みます。」


 隣で見ていた騎士団長の言葉は、自分が毒見をするという意味だろう。

 元帥閣下が毒を送るとは考えられないが、念のためでもある。

 飲む前に、その場にいる全員に聖水を吹きかけた。

 1吹きするだけで、誰もが表情が明るく変わった。先ほどの自分のように、重い苦しさから解放されたのだろう。助言通りに天幕にも吹きかける。


 癒し水の効果は、劇的だった。

 飲んだ騎士団長の顔の傷が、見る見るうちに薄くなった。

 信じられないスピードで、傷が癒えていく。

 傷を多少治すと書いていたが、これは多少という表現に見合わない。

 

 これは…初級ポーションの癒え方ではなかった。

 明らかに、高位のポーションだ。


 「は?」

 

 騎士団長が、信じられないという顔をしていた。

 

 「閣下…これは、高位のポーションでは?」

 「初級癒し水と呼ぶそうだ。これで前線を持ち直せる。グリフォン隊の到着まで、一週間はかかるだろうが、これで耐えよう。」

 「ははっ!」


 現場の士気が上がった。

 先ほどまでとは、明らかに様子が違う。

 辺境伯は、騎士の1人に聖水のスプレーを預け、人々と天幕へ吹きかけるように指示をした。

 

 その日の夜、グリフォン隊が治療師を連れてやってきた。


 「こんなに早く来てくださるとは…。」

 「かなり無理をさせたので、グリフォンを今日前線に出すことはできない。丘の上に拠点を作らせてもらった。そこにグリフォンを戻すが、重傷者はそちらで治療しよう。」

 「それは助かります。拠点はどうぞご随意に…。」

 「治療師を連れてきた。どこに向かわせればよいか?」 

 「前線から離れた場所に救護所を設置しました。そちらへお願いしたい。重傷者もそちらにいます。」

 「わかった。案内をしてもらえるかな?」

 「もちろんです。」


 騎士の一人に、救護所へ案内するよう指示を出した。


 「ところで…治癒士ではないのですか?治療師とはいったい…」

 「治療師は、先に持たせた薬の扱いに優れた者達だ。治癒師と違い治癒魔法は使えない。」

 「そうでしたか…しかし、あの薬の効果は絶大です。怪我が恐ろしいスピードで治っていきました。」

 「そうだろう?あれは、薬師たちに作らせた。」

 「薬師ですか?薬師というのは…効きもしない下級ポーションを作るのでは?」

 「そう思うのも無理はない。だが、我が領では薬師の育成を始めている。彼らには、高位の魔導士が丁寧に教えている。先に送った物は、初級ポーションを使った薬だ。今回持って来た薬は、下級が大半だ。」

 「先の物が初級で、今回下級なのですか?」

 「緊急だったので先に渡した物は、効果の高い物を用意した。今回、薬師たちは下級と初級ポーションを使った薬を使い治療する。それで無理なら、大魔導士の元へ運び治療を行う。グリフォン隊は10数人しかいない。騎士の戦力としては、少なく補充には心許ない。だが、騎士や兵士のケガが治り前線に戻れたなら、力強いだろう?」

 「それは確かにそうです。ですが、グリフォン隊の騎士たちは1騎100人力ともいわれております。」

 「ははっ…それは大袈裟だ。戦況を詳しく教えてもらえるか?」

 「はっ…」


 元帥閣下は、どう見ても成人したばかり、やっと青年に入った年齢に見える。

 これで、私より遥かに年上なのだから恐ろしい。見た目に油断した者たちが、少なくない人数いたようだが…この方の戦歴も戦略も超える者などいないだろう。

 辺境伯は、現在の状態と実行中の作戦を説明した。

 積極的な物ではなく、防衛を軸にしていた。


 そこから作戦を立て直し、指揮官を数人ずつ集め、新しい作戦を知らせる。

 夜明け前、グリフォン隊が丘の上から飛び立った。そのまま戦艦と山の中へ向かい、攻撃を開始した。

 

 戦艦に落とされたのは、焼夷弾とクラスター爆弾という物らしい。

 しばらくすると、戦艦3隻が沈んでいくのが見えた。

 その後、山へ向かったグリフォン隊が何かを落とした。

 夜明け直前、攻撃に備えていた敵の天幕を狙った攻撃だった。


 戦いは、たったこれだけで終わった。


 結局、グリフォン隊が全てを塗り替えた。

 辺境伯の騎士団たちは、後処理を始めた。

 戦艦から逃げてきた者を、陸で待ち構えて捕らえた。

 森の敵地へ赴き、彼らの生き残りを捕らえた。


 辺境伯と騎士団長が出来る限りの差配をしているうちに、もう時間がないことを自覚し始めた。

 寒くて堪らないのだ。いくら初級癒し水を飲んだといっても、ここが限界のようだ。

 忙しいと気が付かずに済むのだが、昨日の薬で治った小さな傷と違い、致命傷を避けた傷までは治らなかった。

 致命傷ではないが、じっとりと身体の中を蝕んでいく感覚はあった。

 だが、今はまだ早い。


 「閣下、そろそろご挨拶へ行きますか?」

 「そうだな。」

 

 騎士団長の顔は白い。もう体温のコントロールもできていないのだろう。

 辺境伯は、自分を棚上げして騎士団長を慮った。

 捕虜の尋問などが落ち着くと、辺境伯は騎士団長を連れ、元帥閣下のいる丘の上へと参じた。


読んでくださりありがとうございます。

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