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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第1章 物語の始まり

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9


 楓花は、顔を洗い四角いシールを手にした。 

 電気ケトルで湯を沸かすよう乗せると、ブルーシートを手に取って戻った。


 「お待たせしました。申し訳ないのですが、ここにこう肘から手を付けてもらえますか?」

 

 外の3人は楓花の真似をしてガードに手を置いた。

 大丈夫、もしこの人たちが私に悪意をもっているならば中に入れないはず。

 あのマニュアルを信じるしかない。


 3人の手首に四角いシールを貼った。

 すると手が入り込んだ。


 「すいません。その気を失っている方たちの手もお願いします。」

 「ああ、ありがとう。」

 

 2人の手をガードにつけてくれたので、シールを貼った。

 

 「これで入れると思います。」

 「ありがとう。助かった…」


 5人が入ってきたので、楓花は車との中間地点にブルーシートを広げた。大き目の2㎡サイズが2枚あるから1人ずつ寝かせられる。

 

 「とりあえずここに寝かせてください。今、お湯をお持ちします。」

 

 降ろされた2人は肩からざっくりと爪痕があった。 

 顔の怪我でなかったのが救いだろうか…。急いで病院に連れて行った方がよさそうだけれど、森の中だし、先に応急処置をした方が良さそうだ。

 とにかく洗って怪我を消毒して、抗生物質が必要よね?

軟膏か何か入れていたかな?

 

 楓花は急いでキャンピングカーに戻ると、応急箱とその棚にあった常温のペットボトルの水とお湯を大き目のバスケットに入れてそれを腕にかけて戻った。

 

 2人の服は脱がされていたが、かなり傷が深い。皮膚がえぐられていた。

 1人は少女でもう1人は少年だったらしい。手足が細く、身体が薄い。

 楓花は応急箱の中からラテックスグローブを取り出し、手に嵌めた。


 「触ってもいいですか?」

 「もちろん、助けてくれるのか?」

 「応急手当なので、終わったら医者へ見てもらった方がいいです。」

 「医者?…」

 

 楓花は水のペットボトルのキャップを開けて、少女に声を掛けた。


 「今から傷口を洗うので、水を掛けます。しみるかもしれませんが我慢してくださいね。」

 「ん…」


 少女は朦朧としているようだ。楓花は背中の傷口にかけた。

 とにかく汚れを流さないと、傷口がわからない。

 

 「うあっ…」

 

 女の子は、まだ若そうだ。若いというよりも幼い。

 日焼けしているけれど、折角きれいな肌をしているのにもったいない。

 

 「痛いだろうけど、我慢してね。もう少し洗うよ。」


 水が2/3残っているペットボトルにお湯を加えてぬるま湯にした。温かくなれば少しは痛くないかもしれない。それで洗い流す。

 ひどい傷で背中の1/4近くに爪で引っかかれた傷があった。

 ゴミなどは流れたのか見当たらないので、傷口に消毒液をかけた。ガーゼに抗生物質入りの塗り薬を塗りつけ、それを傷口へと当てて、医療用テープで止めた。

 

 「包帯は後にしますね。もう一人も応急手当をしないと…」

 「はい、お願いします。」

 

 もう1人は少年のようだ。こちらは前身の右肩から胸にかけて傷がひどい。

 少女と同じようにぬるま湯で洗い流してから消毒液をかけ、軟膏をつけたガーゼを張り付けた。

 落ち着いてから、包帯を巻いた。



 「こんな治療してもらえるなんて…」

 「応急処置ですから、お医者様に見てもらった方がいいですよ。」

 「いえ、たぶん大丈夫そうです。顔色がすごくよくなりました。」

 「そうですか?それでは一安心ですね。でも、お医者様には見てもらってくださいね。」

 

 「はぁ、よかった。それなら俺らはブラックベアーをどうにかするか。」

 「そうだな…」


 男性2人は熊のところへ行ってしまった。

 残った女性が背負ったバックをおろして、毛布を取り出すと2人にかけた。

 

 「熊をどうするの?」

 「どうって…捌いて持って帰るのよ。そうしないと売れないからね。」

 「なるほど…捌けるのなら、あのウサギもしてもらいたいです。」

 「あのウサギ?もちろんよ。助けてもらったのですもの。今日はもう少しで日が暮れるから、このガードの中に1晩いてもいいですか?」

 「それは構いませんが、それだとこの方たち…。」

 「大丈夫です。あのままだったら確実にもうダメでしたけど、治療してもらえたおかげで顔色がいいから助かると思います。」

 「そうですか?」

 「はい」


 

 熊はガードの向こう側の太い木の枝へと吊り下げられているようだ。

 




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