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講義8日目、受講生たちはポーションづくりに精を出していた。この日、優のポーションを50本作れるようになれば、薬師としてポーション工房への勤務が許されるようになる。
半数の者たちは、受講生を卒業し、8人が残った。
見習いたちは、楓花の指導の元で患者の治療をしていた。
治療師は2人1組で治療に当たる。その後ろで、調合師たちは、湯冷ましの準備や足りなくなった薬の補充をしていた。
中には、下級ポーションや薬では間に合わない患者へ、初級以上を使えるように、管理者と確認するのも仕事だ。
管理者には、最初は楓花がついていた。優のポーション50本を最初にファイが作ると、その役目をファイへ渡した。
「俺?」
「ええ、こちらの箱が初級のポーション、塗り薬、癒し薬、消毒薬ね。こちらが中級です。それ以上が必要なら私に声をかけてください。薬を出したら、こちらの帳簿に渡した日付と相手の名前を書くこと。」
「わかった…だが、これ…」
「私の作った物ですから、貴重な物ではないわ。安心していいからね。」
ファイは、驚いていた。
自分で作った!?
フーカ先生そんなことまで?
中級以上を作れる大魔導士は現在2人だけだと聞いていた。
フーカ先生がその魔導士様なのか?
いや…一人は200才を超える老人だと聞いている。もう一人は、森に住んでいると聞いた。森の大魔導士様は、小さくて細いと聞いている。どちらの特徴とも合わない。
だが、フーカ先生が作れるというなら、いつか薬師達に作り方は教えてくれるだろう。
初級でさえ、作り方は秘匿され作れるのは3人だとされていた。そこにもフーカ先生の名はない。それがなぜなのかはわからないが、先生が作れるというなら作れるのだろう。
この薬師学校から、何人かが薬師ではなく、魔導士と認めてもらえるかもしれない。
いや、もしも中級ポーションを作れるのなら、大魔導士にだって認めて貰えるはずだ。
「ファイ、癒し草を取りに来た。」
「ああ、数量は?そこにある用紙に名前と時間を書くように」
その後、続々と卒業出来たメンバーがやってきては、ファイの仕事や治療しているのを見ていた。
楓花は、日曜日の昼間に当たる9日目、ヒシフォートを離れた。
リリーとサナを連れて、ララを自宅まで送る。
ララは、冊子の持ち出しは許されなかったものの、自分で作った下級ポーション:良を持ち帰っていた。
「なんと!フーカ様、うちの娘がポーションを作れるようになったのですか!?」
「作れると言ってもまだ良で、ギルドの基準には届いていないです。ですが、ララさんが作ったものですから、皆さんで使うとよろしいです。」
「おぉ…なんと!しかし、良で基準に届いていないとは、立ち上げるギルドの基準はそこまで厳しいのですか?」
「はい、優以上になります。正規品のパッケージはこのように印が押されます。」
楓花は、検査に通った印を押した物を見せた。容器というよりは袋に入っているポーションは、今までにない物だった。容器の再利用は出来ない。
「こちらが下級ポーションです。初級・中級とこのように印の色を変える事にしました。こちら見本ですので、差し上げます。」
「量は今までのポーションの1/3です。様子を見て3本まで使うと思った方がいいでしょう。小分けになっているので衛生的に保存できます。」
「なるほど、そういう事ですか。」
カリシア商会会頭は、ララの父親の顔から商売の顔になっていた。
「もし、ララがその…優の品を作れるようになれば、こちらの容器に入れてもらえるのでしょうか?」
「もちろんです。どのような形になるかは、これから決めます。」
「それはありがたい事です。」
「もう、お父様!」
「ははっ。怒るな。我が家からヒシフォート家公認の薬師が登場するかもしれないのだ、喜ばしいではないか。」
楓花は、リリーとサナを連れてヒシフォートへ送った。
「じゃあ、サナ、リリーさん。また来るわね。」
「はい、フーカさんが次に来るまでには一人前になっているからね。」
「頼もしいね。リリーさん、きちんと休みながら練習してね。」
「はい!」
「フーカぁ…」
「サナは、リリーさんが頑張りすぎないように見ていてね。」
「うん!」
サナの頭を撫でまわし腕から降ろした。リリーさんの頭もそっと撫でる。
リリーさんが照れくさそうに笑うのを見て、姿勢を正した。
「では、ケイさん、ギルバートさん、皆様、サナとリリーをお願いします。」
楓花は、挨拶をすると車へ乗り、ヒシフォートを離れた。
それから、泉の家で2泊ゆっくりと過ごして家へと帰った。
そこから数日は、仕事を終えると天龍を迎えに行き、天龍の6人と楓花でライトフラワーの採取を行った。
ケインさんとアーサーさんは、獣狩りだ。
腹を空かせたブラックベアーは、痩せて美味くないと聞いていたけれど、居合わせる事はなかった。まだ冬眠中なのだろうか?
ツリーホーンと角ウサギが多かった。
ライトフラワーの採取に飽きると、角ウサギの肉で干し肉を作った。
テンさんとダンさんは、干し肉作りが始まるとケインさんたちの元へ行き、解体を手伝いに行った。
「フーカさんのお陰であの2人の解体技術は、かなり上がったみたい。」
「そうなの?」
「普段なら、周囲の警戒をしながら教えるしかないけど、ここならガード内で安心して、じっくり教えられる。2人もしっかり聞きながら、それも何体も出来るからね。」
「そう?それならよかった。」
「解体して、必要な物を見分けることも大事だし、持ち帰られるなら丸ごと使うことも覚えないとならないし。どうするにしても、基礎である解体技術がないとね。」
「そうなのね。」
楓花は、ルーシーの言いたいことはわかった。
でも、自分では解体はしたくないし、出来ないので少し気の毒に思ってしまった。
楓花だって、彼らにとって覚えるメリットは理解している。でも、まだ子供なのにと思ってしまうのだ。
それから、いつものようにヒルストンとアートンへ肉を卸し、天龍のギルドハウスへ送った。
いつもの通りの過ごし方だった。
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