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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第8章 ギルド

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3日目になった。


 「それでは、昨日の「カビや細菌は高温に弱いものが多い」というお話しをしたのは覚えていますか?」

 「はい」

 「その高温に弱いものを死滅させるために、使う道具のすべてを煮沸します。煮沸後は素手で触ってはいけません。素手はどんなに手を洗っても、きれいではないのです。」

 

 3日目になると、手を洗ってから触れたシャーレにも色の違う何かが育ち始めていた。手を洗わなければとんでもなく汚いが、洗ってもきれいにはならない。それを理解し始めていた。

 

 「手の皮膚には、黄色ブドウ球菌などの細菌が住んでいます。手を洗ってすぐはきれいでも、時間とともに表皮に出てきますので、そこは覚えておきましょう。では、次に煮沸消毒についてお話しします。」

 「煮沸消毒とは、ぐつぐつと煮ることで消毒する方法です。完全には無理ですが、かなりのところまで減らすことができます。このぐつぐつとしている状態で水は100度になっています。常時泡が上がってくる状態を10分維持します。この時に煮た道具を取り出すための道具も煮ることが大切になります。トングや引き上げたものを入れるトレーや籠などのことですから、忘れないように。」

 「また、薬瓶も同様に煮沸消毒をします。煮沸できない素材の場合には、塩素という毒を使った消毒などもありますが、それについて今回は説明しません。」

 「他には、直接火で炙る方法もあります。」


 彼らは、シャーレの中に普段は見えないカビや汚れを見つけていた。

 楓花は、彼らの後ろからそこに何があるのかを鑑定していた。

 

 「それでは、石鹸で手洗いをしてきてください。今日は、この癒し草をシャーレの培地に当てていきます。洗浄前、洗浄後、それから乾燥癒し草、様々な物を試しましょう。

 

 彼らは、楓花の示した3種類の他にもいくつかを試したようでシャーレは8つになっていた。



 

 5日目、彼らのシャーレの中は色取り取りのカビたちで賑やかな彩になっていた。


 「こんなものが手についていたのか?」

 「酷い色だ。」

 「先生がいらした。席に戻ろう。」

 

 「おはようございます。今日の授業をお願いします。」


 受講生たちが、挨拶をしてくれるようになっていた。

 

「おはようございます。それでは始めましょう。」

 「今日はそのカビや細菌を別々に採取します。こちらの白金耳を火で炙って消毒をします。一度離して空中で放熱させます。それから1種類を取り、新しいシャーレにこのように縦横になぞります。蓋をして番号を付けて何を取ったか日にちも書いてください。」

 「次に、別の白金耳を火で炙って消毒し、放熱してから別の色を取ります。このように色ごとに取り分け、同じようにしましょう。」

 「出来上がった物は、それぞれトレイに乗せて、トレイに名前を書いてください。窓辺に置いて、布をかけて置きましょう。」

 「元のシャーレは、こちらに入れてください。」


 それを楓花は自分の研究のために確保した。


 「癒し草を当てたシャーレはどのようになっているのか見てみましょう。」

 「薬草にこれほどの物が付いていたのか?」

 「だから、よく洗う必要があるのか…。」

 「沸騰させてぐつぐつ煮なければ、これがどんどん増えていくのか?」

 「そういうことになるな…。」

 「それじゃあ、毒を飲むような物ではないか…?」


 どうやら、衛生の内容を理解してきているようだ。

 よかったと楓花は思った。


 

 

 7日目、彼らが育てたカビや微生物の形をよく観察してもらった。


 「それでは、次に薬草の見分け方を覚えましょう。ポーションは乾燥した薬草でも作れますが、その場合…乾燥前の薬草と比べると重さは少ないですが、数が必要になります。乾燥というのは、水分を飛ばした状態ですから当然ですね。」

 「今回は、癒し草について覚えてください。癒し草は、採取範囲が広く手に入れやすい物です。」

 「こちらに用意した癒し草を仕分けてください。鮮度がよくない物や薬効成分が低い物は省きます。」

 「外した物はどうするのですか?」

 「大量に使えば薬になるのかどうか、後で試してみましょう。」



 8日目、分別した薬草を使い楓花の指示の元で下級ポーションを作った。

 器具の煮沸消毒を行い、詰めるための道具も煮沸する。

 煮沸でも生き残る細菌はいるけれど、それは現段階ではどうにもできない。出来る限りの手を尽くした上で、どのくらいの品質保持期限を取れるのかを知ることが大切なのだ。

 下級ポーションには、決められた容器はない。

 そのために、ギルドでは新しい器を用意していた。


 「こちらがギルドで販売する下級ポーションの容器となります。」


 直径1㎝のストロー状容器が出来てきていた。

 しかも、かなり長い。片側は熱で圧着してあるものだ。


 「このように柔らかいですから巻いて、蒸し器に入れます。1段に5本入りますね。これをこのように積み重ねます。」

 「30分蒸したら、こちらの組み立てた道具にセットします。口をこのようにセットしますが、内側に触れないように注意してください。下にくる部分は、このようにこの筒の中へ入れます。」


 それらを巻いて蒸し器に入れて、100℃の蒸気に30分当てる事にした。1mの筒であり、それを専用の道具にセットする。

 10㎝の木枠とその上5㎤の空白地帯、そしてまた木枠とそれが6段になっている。


 「では、中に入れていきましょう。入れる量はこちらのメスシリンダーの63mlです。」


 漏斗をセットし、ストローの内側の側面に当たるようにし、ポーションを流し込んだ。


 「では、次にこちらの道具で一番下のこの木枠の上部を挟み、上にある木枠まで挟んだまま押し上げます。そうしましたら、こちらのボタンを押して離しましょう。このようになり、下に液が落ちて来なければ成功です。そうしましたら、この木枠のちょっと長くなっているところに合わせてもう一度ボタンを押します。これで1段終わりです。一つ上の木枠でまた同じ動きをしましょう。」

 「これで10mlより気持ち多めの筒が6つ出来ました。器具から外して、このくっついている幅の狭い間を挟みで切ります。これで下級ポーションの出来上がりです。」

 「6個を1つのトレイに乗せて、鑑定をしてみましょう。その時に保持期間も気にして見てみましょう。見えた保持期限を書き込みます。」


 楓花の説明に、受講生たちが詰めていき、保持期間を見て書き込む。

 元々筒状の状態で下級ポーションとの印字を入れてある。そこに手書きの保持期限が入っていくと商品っぽくなっていた。大和でいうところの、細長いゼリーの入った袋の中身が液状という品だ。


 「これが、癒しの薬ギルドの品となります。明日から、薬の補助を行う人や治療師希望者がやってきます。皆さんは、今回習った事を彼らに教えてください。ポーション作り以外を教えてください。パッケージの方法については、調合師にのみ教えてください。」

 「皆さんは16人いますから4人ずつ4つのグループに分かれて、教える側に立ってください。日数は私の講義の2倍差し上げます。」

 「その後、私が講義を行います。それまでは、冊子をよく読み、シャーレの観察を行い記録してください。」


 楓花の次の週末まで、彼らにとって16日もあった。

 その間に治癒師は、現在患者の治療に当たっている者たちを1週間、半数ずつ交代で連れてきて講義を受ける事になっていた。領内4か所にあり、アートンとヒルストンからも来るので彼らの半数でも12人になっていた。更に治癒師希望者で読み書き出来る者が20名いた。総勢44名になる。

 それとは別に、薬類を調合する者も育てる計画があった。

 調合師として働いてもらう人数は同じく20名だ。

 調合師希望者には2週間かけてじっくりと教わってもらうつもりだ。




読んでくださりありがとうございます。

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