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今日も長いです。
楓花は、受講生たちとおやつ休憩を取り、会話を楽しんでいたが、敬一郎に促されてカップを置いた。
「では、まだお聞きしていない方もいますが、お茶の時間はここまでにしましょう。あと1時間以内にしなくてはならないことがあります。教室に移動しましょう。」
「皆さん、今からノートと鉛筆、消しゴム、シャーレを配ります。」
「ノートの紙や鉛筆、消しゴムは無くなりそうになったら、警備へ声をかけて追加をもらってください。ノートは、学んだことを書き留めるための物です。」
「楓花さん、少し失礼。書くための道具は支給する。ただし、この学び舎と寮のある敷地からの持ち出しは許さない。頑張っている者には、夏になれば1週間の休暇を与える。その時に作れるポーションなどがあれば、持ち帰られるようにしよう。」
「はい!」
「という訳ですが、学んだ物は皆さんの力になります。頑張って覚えてください。」
「では、今日は…ばい菌について学びましょう。」
「こちらにシャーレがあります。皆さんのお手元にもありますね。このシャーレの中には培地というものが入っています。今、お手元にあるシャーレの蓋を開けて、手のひらをべったりとくっつけてみましょう。このようにします。」
風花は、シャーレを持ち上げて手のひらを当てて見せる。
受講生たちが、全員やり終えるのを待つ。
「終わりましたら、蓋についている紙にご自分の名前と今日の日付を書き込んでください。それから、こちらに来て封印をしてください。」
記入を終えた者から順番に封印をしに行く。
封印といっても紙テープで蓋を止めるだけだ。
セロハンテープは敬一郎に使用を止められたのだ。
「こちらに何もしていない物、自分の手を当てたものを置きましょう。次に、手を洗いましょう。洗い方は先ほどと同じです。手を洗ったらもう一度、同じ作業をしてください。」
窓辺に用意した長机の上に用意されたトレイには、各人それぞれが手洗い前後の手を付けたシャーレが並んだ。何もしていないシャーレと風花と受講生16人の2個ずつ34個のシャーレが並んでいた。そこに黒い布をかけた。
「では、こちらのシャーレの中がどうなっていくか毎朝観察してノートに記録してください。ノートの紐を緩めて板を上にして開いてください。〇が書かれた紙があります。こちらの〇の中にシャーレの中身を絵で表してください。色が欲しいならこちらに色鉛筆を用意しました。1セットしかありませんから、失くさないように。」
「ファイ。」
「では、今日の授業はここまでです。」
風花は、屋敷に用意してもらった部屋へ向かった。
お風呂のお湯は半分だけ用意してもらっている。
車を取り出し、キャンピングカーのシャワーで体を洗ってから部屋に用意してもらったお風呂に浸かった。
サナとリリーとララも、団欒室に来ていた。
受講希望だったけれど、今日の様子だとなんとも言えない。でも後ろから見ているくらいなら大丈夫だろうか?
「ララさん、よく来てくれたわね。」
「はい!ポーションのお勉強ができると聞いて、楽しみ!」
「では、2人にもお勉強道具を渡すわね。サナには難しいから、後ろの席で文字の練習をしましょうね。」
「うん!」
楓花は、3人の成長に驚いていた。
サナは、完全な幼児体系から少し手足が伸びてきていた。
リリーとララは、背が伸びていて楓花の肩くらいまで成長していた。
敬一郎も来て、5人で食事をしてから、団欒室でおしゃべりをする。
2時間ほどおしゃべりを楽しむと、子供たちは部屋に帰る。
そこから、敬一郎と1時間ほど会話をして部屋に戻る。それが今回9日間のルーティーンになった。
講義2日目、楓花と一緒に3人の子供たちと一緒に、サナに付き添うメイドがやってきた。
「この子は、サナとリリー、ララといいます。この講義に参加しますので、ご承知ください。皆さん、シャーレは御覧になりましたか?絵を書いていないなら、30分差し上げますので、書いてください。書き終わった方は、こちらの冊子をお持ちになって目を通してください。」
「はい!」
昨日と違って、受講生たちにやる気があるようだ。
30分の間に、楓花は3人の手をシャーレにつけてから、一緒に手を洗ってもう一度つけてもらった。それに名前を書いて、窓辺に並べた。
「リリーさんとララさんは、明日から自分のシャーレの様子をこのノートに記入してください。円の中には絵を書いてほしいの。」
「はい」
「では、この冊子を1冊ずつ渡すわね。この冊子もノートも敷地からは持ち出せないから、ララさん気を付けてくださいね。」
「はい、わかりました。」
「皆様、よろしいでしょうか?」
「はい」
「では、席に着いたことですし、自己紹介をしましょう。こちら側の前から順番に行きます。名前と略歴などをお願いします。」
「では、私からですね。私は代々ヒシ家にお仕えしているトウヨ子爵家のリュシーと申します。家は薬草園を管理しています。ヒシ家で作るギルドですから、若輩ながら薬師となりお支えいたしたく…。」
長い…。演説のような自己紹介に困ってしまう。
取り敢えず、ケイさんの家にお仕えしている家臣の子息らしい。
上品な銀髪を後ろで1本にまとめていた。見た目は麗しいけれど、面倒な性格かもしれない。
「俺は、ファイだ。薬師である父に学び、一子相伝の技でポーションを作ってきた。自信をもってやってきたが、昨日のフーカ先生のポーションには及ばなかった。この講義を聞いて何が違うのか知りたいと思う。」
ファイは、昨日のポーション作りで、唯一の良を作った赤髪の男性だった。
その後も、次々に自己紹介をしてもらった。
リュシー以外は、庶民だった。
リュシーは子爵家の生まれではあるけれど、後継ぎではないので貴族家への婿入りができなければ、貴族家につながりのある庶民として生きていかなくてはならない。
そう考えると、ギルドで立場を得たいというところだろうか?
「皆さん、昨日作ったポーションを覚えていますか?」
「はい。」
「私の作った物と皆さんの作った物で大きな違いがありましたね。何かわかりますか?」
「品質です。」
「他には?」
「効果?」
「他には?」
「材料。」
「他には?」
「日持ちですか?」
「そうです。正確には保持期限です。なぜ違うかわかりますか?」
「なぜ?」
なぜ?という問いかけに皆が押し黙った。
「薬を作るために、薬効以外の物が多いからです。そしてその一部は、私がばい菌と表現した物たちです。」
「では、それらを抜けばいいのですね?」
「抜くというのは難しいことです。ばい菌には、カビや細菌やウイルスなど目に見えない悪いモノがいます。彼らは見えませんが、生きていて増殖します。」
「見えないのに、増える?」
「はい、正確に言えば見えるようにはできます。昨日のシャーレがありましたね。今日見ていかがでしたか?手洗い前の物には何かが出てきていて、手洗い後の物には少なくなっていませんでしたか?」
「はい、何かモアっとした物が出ていました。」
「そうですね、それがばい菌です。正確には、カビや細菌です。ウイルスはもっと小さいので目では見えません。これから1週間かけて、それらは成長しますから観察してください。それと、同じ培地で使わなかった物も同じように観察してください。」
そこから、冊子を見てもらいながらカビや細菌についての知識を教えていった。それと同時に、リリーやララには「フーカ先生、質問よろしいですか?」をしてもらったり、問いかけに対して「はい!」と手を挙げてもらったりした。
それを指名して当ててくことで、勝手に話し始める人が減っていく。
注意ばかりしていては、お互いに疲れてしまう。
子供たちの行動を見て、学んで貰う事にした。
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