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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者: 夢
第8章 ギルド

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6


 楓花は3時間ほど走り、町を見つけたので入ってみることにした。

 一応、空間移動の登録をしておく。


 「こんにちは、お肉を売りに来ました。」

 「へ?はぁ…魔導士様が、肉をですか?」

 「いらなければ他の町へ行きますが…。」

 「要ります。どうぞ中へお進みください。」


 楓花は門の中へと入った。

 町は寂れている。それもかなりだ。

 肉だけではなくいろいろと足りなさそうだ。

 

 なんとなく不安になってくる。

 

 「こんにちは、肉を売りに来ました。」

 「これはこれは…魔導士様、こんな田舎へようこそお越しくださいました。」

 

 お腹のでっぷりと出ている、脂ぎっているギルドマスターが出てきた。

 あまりいい街ではないかも…ギルド職員たちはそれなりだったが、町の人たちは瘦せすぎていた。


 「肉を売ってくれるというのは…」

 「狼肉ですけど、要りますか?」

 「もちろんでございます。狼肉とは有り難い。」

 「どのくらい買い取れますか?」

 「おかしなことを聞きますな。あるだけあったほうがいい。」

 「そうですか、では車から降ろしますから荷車をもってきてください。」


 楓花は車に戻り、倉庫のドアを開けた。肉を荷車に下す。荷車の床面が埋まるころ、唐突に剣を突き付けられた。

 楓花は身を引いてガード内に入る。

 ギルドマスターとその周りを兵士が囲んでいた。


 「なんのおつもり?」

 「許可なく町に侵入した罪です。有り金と肉をすべていただきましょう。魔導士様は、まあ年はいっていそうですが、悪くない。わたしがかわいがってやろう。」


 下品な笑みを浮かべたギルドマスターがそんなセリフを言っていた。

 いや、無理だよ。

 年がいっているってそりゃあ若くはないけれど、こんなおっさんに言われる筋はない。

 楓花は、降ろした肉は諦めることにした。

 ガード内にいるから安心ではあるけれど、急いで倉庫のドアを閉め、運転席に乗り込む。

 

 嘘でしょう?

 こんな目に合うことがあるの?


 楓花は深呼吸をして、気持ちを落ち着けると空間移動で町の外へ移動した。

 それからさらに東に走り、別の町で肉を売った。

 こちらでは、特段何もなく普通に肉を売ることが出来た。



 泉の家に帰ると夜になっていた。 

 

 「おかえりなさいませ。ご主人様。」

 「エル、ただいま。疲れたわ…。」

 「大変でしたね。お茶を淹れましょう。」

 「うん、お願い。」


 今日は、何を食べようかな?

 簡単でいいか…木の実ウサギを焼いて食べよう。

 あとは出た脂で野菜を痛めて、あとはどうしようかな…ごはんを炊こう。

 ごはんを炊いて、肉と野菜。それでいいや。

 エルの淹れてくれたお茶を飲み、エルに作り方を説明しながら料理していった。


 

 朝、目が覚めて階段を降りると、エルが朝食を作ってくれていた。

 ごはんは炊き立てだ。

 お味噌汁は、野菜を煮た汁にインスタント味噌汁を加えたもの。

 トラウトの切り身を焼いた物ときゅうりの漬物、白菜のお浸しだ。

 

 異世界の妖精メイドが作る大和食!

 なんだかテンションが上がる。

 

 とにかく、今日はここでゆっくりと過ごす!

 楓花はそう思ったけれど、キャンピングカーのガードの確認をしないといけなかったと思い直した。


 キャンピングカーを取り出して、ガードの外まで走った。

 

 「ナビ、ガードを3mにして。」

 『かしこまりました。ガードを3mにしました。』

 「ありがとう。今から補強するね。」


 楓花は、魔石の中から透明なクリスタルを取り出した。

 改めて鑑定をする。


 『キャンピングカーの守護壁:部分的に劣化している。要補強。』

 

 「ギリギリだったのね。過信していたわ。」 


 通常であれば100年は保つはずだった守護壁は、年に10数回程度、獣からの攻撃を想定していた。何かの折にパレードや騎士一個団に取り囲まれても大丈夫な守護壁だ。

まさか魔の森で常時内外から攻撃を受けることは想定されていなかった。内側から外への攻撃も守護壁には負担だったのだ。

 

 楓花は、取り出したクリスタルをガードの表面へ近づけると、ゆっくりとそれを伸ばすようにイメージをした。

 ガードの状態のイメージが明確になる。地面との境界や地中の数か所がかなり傷ついていた。いつも魔物が来る場所なのだろう。そこの穴を埋め平に伸ばすイメージで修復していく。ガラスのリペアのようなイメージだ。

 新しく加えた物と元から在った物がうまく交じり合わないと破断してしまいそう。端境がわからないように、じっくりと馴染ませた。

 それを何度か繰り返した。


 『キャンピングカーの守護壁:完全なる真円。通常であれば200年は保つ。』


 「あら、素敵…でも魔の森だとまた弱るのよね?」

 「そうだ、浸透膜の逆で内側は通すってできればいいのにね。」


 楓花は何となく、アクアマリンを手に取った。

 内側からの攻撃のダメージは受けない。薄く薄く延ばしていく。

 守護壁が光った。そしてすぐに光は落ち着く。


 『キャンピングカーの守護壁:完全なる真円。外側からの攻撃を防御し、内側からの衝撃は一切素通りする。通常であれば200年は保つ。』 

 

 よさそう?

 魔導術は、術者の理解度に応じて術の幅が異なっていた。

 楓花に自覚はないが、科学知識があるので、より具体的なイメージを術に反映させることが出来ていた。


 楓花は、キャンピングカーに乗って泉の家へ戻ると、今度は泉の家の守護壁にも同じ術を使った。

 疲れたので、お昼寝ならぬ朝寝をする。


 昼前に起きて、キャンピングカーから取り出した魔石入りのバケツから魔石を取り出していく。それをエルが種類に分けてくれた。


 クリスタルとディアマンテ、どちらも透明な石だけれど結晶の仕方が異なっていてすぐにわかる。

 エメラルドにサファイアなども結構な大きさで出てきていた。

 そして、金が半分以上を占めていた。大きさはバラバラだった。つまり、ブラックオークなどから出たものだろう。

 これを売れば、それなりの価値になる。

 大和では、数日前の金の取引価格が1g当たり2万7千円を超えていた。

 小さいこれ1つでも10万円近いかもしれない。


 そうか…家の金庫の金のインゴットの意味が分かった。

 つまり、これから作ったもの?

 そういえば、菱沼さんというお名前…菱沼貴金属という会社があったはず。

 ご実家だとしたなら、どうにか出来ないだろうか?

 それが出来たら、大和の現金も手に入れられる。

 少しは生活の不安がなくなるかもしれない。


 


読んでくださりありがとうございます。

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