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アートンを出た楓花は、ヒシフォートへ行き敬一郎と会談室にいた。
「こちら、私の作った下級ポーションとハムと燻製肉と干し肉です。」
「随分といろいろ作りましたね。」
「ええ、まあ。それとこちらはケイさん用のよ。」
「これは、ありがとう。後で楽しみます。」
敬一郎は、自分用をアイテムバックへ収納した。
楓花が並べた下級ポーションを、敬一郎が手に取った。
「では、鑑定させてもらいますね。」
「はい、どうぞ。」
「確かに下級ポーションですね。最高ランクですが…なぜ下級ポーションを作ろうと思いましたか?」
「一般的なのが下級ポーションと聞いたので、作ってみました。これが金貨1枚って高いなって思っています。」
「なるほど、ですが…これを売っている薬師たちもいますので…。」
「でしたら、その方たちにきちんとした物を売ってもらうか、何かありませんか?」
「そうですね…今は名乗った者勝ちではあります。」
「認定式にしませんか?」
「ギルドを立ち上げるということでいいですか?」
「そこまで大袈裟になる?」
「なりますね。その代わりギルドの認定がついた品であれば、効果があると広まればそう悪いことではないでしょう。」
「なるほど…」
「まずは領内になりますが、やってみましょうか?薬師たちを集めて、それぞれのポーションの品質も確認します。もし、講義希望者がいたら作り方の伝授はできますか?」
「それは、もちろんします。」
「旦那様、フーカ様、僭越ながら口を挟んでもよろしいでしょうか?」
「ギルバート、なんだ?」
「そこまでなさるのであれば、薬師を集めたうえで、フーカ様の技術を学ぶ気持ちがある者に絞って講習をし、その者たちの品をギルドの商品として扱うのはいかがでしょう?」
「ほぅ…」
「それだと、薬師の方のプライドが傷つきませんか?」
「その程度で傷つくのであれば、へし折ったほうがよろしい。そもそも、彼らが十分なポーションを作ってこなかったから、今まで大変な状態が続きました。領内にはまともな薬師はいないはずですし、いたとしたら学ぶべきです。」
「では、こうしましょう。薬師でなくても構いません。勉強熱心で改善をすることを厭わない方を集めて教育しましょう。」
「楓花さん、そうするならそれなりに時間をとる必要がありますよ。」
「ええ、もちろんです。海の日を入れた3連休の金曜の夕方からの9日間で詰め込むのはどうでしょうか?7月8月なら3連休を何度かと8月には夏休みもあります。その時には9連休をとれます。」
「なるほど、それはいいですね。すぐに受講者を集めましょう。」
「ケイさん、直接雇用も可と付け加えてください。ギルドで寮も用意できるなら、その方がいいです。」
「わかりました。手配しましょう。むしろ機密保持のためにも住み込みがいいかもしれない。講義や練習、それからポーションを作る建物の造りに希望はありますか?」
「はい、できましたら…」
「楓花さんお隣に行ってもよろしいですか?」
「もちろん、どうぞお越しになって。」
楓花と敬一郎が並んで相談を進めている。
その様子をギルバートや他の使用人たちは微笑ましく見ていた。
その日は、楓花は屋敷へと泊り、サナとリリーと過ごした。
ヒシフォートの屋敷を出た楓花は、泉の家へ向かった。
ここで2晩過ごして帰れば日曜日の夕方だ。
楓花は、畑に肥料を撒いた。
それから、少しこの家の散策をする。
パントリーにドアがあったので、気になっていた。
パントリーの奥のドアの向こう側には地下に降りる階段があった。
それを降りると、巨大な部屋が3つ並んでいた。
部屋には「食糧庫」「魔石庫」「武器庫」とあった。
食糧庫には、棚が無数に置かれ、その棚にも時間停止が掛けられている。
楓花は、それらの魔法が弱っていないかを見てはクリスタルを使っていた。
残年数100年近い物が多いけれど、一部は20年しかない物もあった。
「エル、あとは大丈夫?」
「はい、全て90年以上になりました。」
「それは良かったわ。」
地下の食糧庫には、大量の穀物類と野菜、それに果樹から収穫しただろう果物が、大量に積み上げられていた。
「多いのね。」
「先代は、野菜を作るだけで食べませんでした。果物もそうです。」
「随分前から貯め込んでいるのね。時間停止出来るの?」
「はい、こちらは時間停止です。」
「それって、何を食べていたの?」
「こちらです。」
エルが出してきたのは、1本で200キロカロリーと栄養を取れるエネルギーバーだった。これらも箱でおかれていた。
なるほど、確かに効率良く栄養は取れるかもしれないけれど、体にはよくなさそうだ。
楓花は、3つの部屋の前の廊下でキャンピングカーを取り出した。
「エル、このお肉を食糧庫に入れてくれる?」
「かしこまりました。ご主人様。」
「では、出すから待ってね。入れ物がいっぱいになったら、袋を抜いて口を結んでね。」
「かしこまりました。ご主人様。」
楓花は、手持ちの肉を一度全部出すことにした。
毎回、倉庫に出し切れないので、出せるだけにしていたのだ。
バケツではなく、袋に合わせた箱を用意したので長方形になるように肉を詰めることができた。形よく入れたので、倉庫の棚に並べやすいし重ねることもできた。
結果、その日の午前中は、肉を取り出して終わってしまった。
倉庫の一角の棚を4本使い各棚1段に3段ずつ入っている。
ブラックベアーとオーク、木の実ウサギと角ウサギだ。肝と心臓も相当量あった。
狼肉は、キャンピングカーの倉庫の棚へ並べていた。狼肉は苦手なので、全部売るつもりだ。喜んで食べてもらえるところへ行った方がいい。
思ったよりも沢山ありすぎていた。一度では運びきれそうもない。
フーカは、ヒルストンの外にある野原へ空間移動すると、そのまま東に走った。ヒルストンよりも魔の森から離れているなら、肉は足りていないと思ったからだ。
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