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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第1章 物語の始まり

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6


  

 「ナビの音声切り替え?それは便利かも…」

 

 楓花はなんとなくボタンを押した。


 『音声ナビに切り替わります。』

 

 アナウンスが聞こえた。

 とりあえず、ここがどこかわからないけれど、野原のど真ん中にいるのは安全なのかがわからない。

 もし道路の一部だったらと不安になる。

 ここは、予定通り?ではないけれど、釣りでもしながら考えよう。

 湖があれば、水もあるだろうし、道路ということもないだろう。

 

 「ナビ、近くの湖を検索。」

 『かしこまりました。近くの湖は7キロ先のフロッグ湖、12キロ先の虹湖があります。』

 

 フロッグ?虹?

 

 どちらも、大和にはない湖の名前だった。

 フロッグはカエル?虹って虹?

 名前から考えると、カエルがいっぱいいそうで嫌だ。

 楓花の頭の中には、カエルの卵が大量に浮かんでいた。

 背筋がぞわっとして、肩を竦めた。 


 「虹湖に案内して」

 『かしこまりました。虹湖への案内を開始します。走行中は、ガード範囲50㎝、ステルス走行を推奨します。』

 「それってどうやってセットするの?…セット方法を教えて?」

 『ナビに許可をいただければ、音声で操作できます。』

 「ナビに操作の許可をします。ガード範囲50㎝、ステルス走行に設定。」

 『かしこまりました。ガード範囲50㎝、ステルス走行に設定します。』

 

 アクセルを踏み、野原を進み、出てきたがたがた道や木々を抜けて湖のほとりへと到着した。


 楓花は助手席に置いたバッグにつけていたチェーンを取り外し、カーゴパンツのベルトへとつける。チェーンの先には鍵がついていて、車のスマートキーもあった。鍵はポケットにと入れる。

 肌身離さない方が良さそうだ。

 車のスマートキーのボタンは4区画のうち2つにオープンとロックがついていて、あとの2つに機能はなかった筈なのにステルスとガードの2つが加わっていた。

 うっかり押さないようにスライド式のキーロックをかけた。


 楓花が積み込んだ釣り竿はキッチンの前に転がっていて、積み込んだ位置の近くにあるらしい。

 外で使う折り畳みのテーブルや椅子は、ベッドとロッカーの間の隙間に押し込まれていた。

 それらを持って、外に出ると風が強い。

 これでは、釣りをするのも厳しそうだ。

 そうだ、ガードを広げたらどうだろう?

 運転席に戻った。

 

 

 「ナビ、ガードの範囲を2mに広げて」

 『かしこまりました。ガード範囲を2mに拡大しました。』

 

 エンジンを停めているのに、失敗したと思ったがナビは反応した。なんだ、よかった。

 楓花はわからないなりに使ってみる。

 

 もう一度外に出ると、風は収まっていた。完全に止まってはいないがかなり和らいでいた。

 ただ、周囲に葉が飛んでいるので、2m外側には風が強く吹いているらしい。

 釣り場には、それでは足りなかったのでガードを10mにまで広げた。


 車と湖の間に、折り畳みの椅子を出した。

 魚を入れるバケツも用意していた。

 

 「さーって何が釣れるかな?」

 

 楓花は、釣り竿に疑似餌をつけて湖へと投げ入れた。

 ウインドブレーカーを着ているので、あまり寒くないはずと思っていたけれど、ずっといると寒い。

 一度車内に戻り、持ってきたバックの中からヒーター入りのベストを取り出した。

 これは、全体に電熱線が入っているタイプのため値段は高かった。

 それを着て、スイッチを入れる。 

 すぐに暖かくなってきた。上にウインドブレーカーを重ねて着れば風も防いで良さそうだ。春と言ってもまだまだ寒い。


 釣り糸がピンと張り、引かれた。

 ぐっと引っ張り、糸を巻く。それを何度も繰り返した。

 そろそろかな?

 え…重い…まずいな、私の力で上げられるだろうか?

 楓花は事故の影響で握力が弱い。握力頼みでは無理だと悟り、釣り竿を太ももで挟んで引き上げた。


 うわぁ…上がったけれど、大きい!

 鮭ほどではないけれど、いや…鮭くらいはあるかも…。

 

 釣り上げたからか暖かくなったので、その恰好で釣りを続けた。

 案外、自分の手でも釣れるのねと思いながら、5匹のニジマスのような魚を釣り上げることができた。


 小さなテーブルに新聞紙を広げて、そこで魚の腹を開き、内臓を取り出した。湖の水で洗い、そのまま焼くようにする。

 下処理を終えたものの、あまりにも人の手が入っていない景色は、やはり大和ではなさそうだ。


 そもそも、ステルスだのガードだのと言っている時点で大和でも、大和のあった世界でもないのだろう。

 

 説明書の説明に「ステルスは、光を乱反射し、そのものを隠す作用の物もあるが、この車に搭載した物理ステルスは存在がなかったように対象をすり抜ける。」と書いてあった。

 つまり、ぶつかっても相手に衝撃は起きないらしい。

 どういう原理かわからないけれど、その説明を信じるのならそうなのだろう。


 ニジマスに見えるから捌いたけど、違ったら困るか…。

 鑑定のようなスキルはない。

 どうしようか…あっ!

 楓花は、魚5匹を袋に入れて冷蔵庫へと入れてみる。


 「冷蔵庫の中には何が入っている?」


 出てきたリストの中に「〇虹湖のトラウト5匹1p」と表示された。

 

 「トラウトなら食べられそうかな…?」

 

 車に積んできた金串を刺し、塩をしておく。

 石を積んで周囲の枝を集めた。ガード範囲の内側でチャッカマンを使って火を付けた。

 魚を焼くと、香ばしい香りがしてきてお腹が空いたと自覚する。

 ここがどこかはわからないけれど、とにかく食べられる物であるなら、生きていけるだろう。


読んでくださりありがとうございます。

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